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相続土地国庫帰属制度の10年後とは?費用・要件・使えない土地を図解

相続土地国庫帰属制度 10年後

相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈で引き継いだ不要な土地を、一定の要件を満たしたうえで国に引き取ってもらえる制度です。2023年4月にスタートし、国に納める費用は申請時の審査手数料(土地1筆あたり1万4,000円)と、承認後に納める負担金(原則20万円、土地によっては面積に応じて算定)の2種類が基本となります。

よく検索される「10年後」には、負担金が「10年分の標準的な管理費用に相当する額」として計算されるという意味と、相続から10年以上たった古い土地でも申請できるという意味の2つがあります。10年たったら土地が戻ってくる、追加の費用を請求される、ということはありません。

ただし、建物が残っている土地や境界がはっきりしない土地などは引き取ってもらえず、「使えない」と判断されるケースも少なくありません。この記事では、制度の要件・費用・申請の流れと審査期間・申請期限の有無・山林や農地の扱い・使えない場合の対処法・承認後の土地の行方まで、法務省の公表内容をもとにした一般的な説明として整理しました。運用や金額は見直される可能性があるため、最新の情報は法務局で確認してください。

目次

相続土地国庫帰属制度とは?費用・要件・10年後の意味を先に結論

まずは制度の全体像を早見表で確認しましょう。細かな条件はこのあと順番に解説します。

項目内容(一般的な目安)
開始時期2023年4月27日(それ以前の相続で取得した土地も対象)
利用できる人相続または相続人への遺贈で土地を取得した人
申請先土地の所在地を管轄する法務局・地方法務局の本局
審査手数料土地1筆あたり1万4,000円(不承認・取り下げでも返金なし)
負担金原則1筆20万円。市街地の宅地・一部の農地・森林は面積に応じて算定
審査期間標準的な処理期間は8か月程度とされている
申請期限なし(負担金は承認通知の翌日から30日以内に納付)
10年後追加費用なし・土地も返ってこない。国が管理を続ける

負担金は「10年分の標準的な管理費用」に相当する額

国が土地を引き取ると、草刈りや見回り、不法投棄への対応といった管理の責任は国が負うことになります。そこで、元の所有者に将来の管理費用の一部を負担してもらうために設けられたのが負担金です。金額は、その土地の種類や面積に応じた「10年分の標準的な管理費用に相当する額」として算定されます。

10年分といっても毎年払うわけではなく、承認後に一度だけ一括で納めます。納付した時点で所有権は国に移り、10年が過ぎても土地が戻ってくることも、11年目以降の費用を請求されることもありません。

相続から10年以上たった土地でも申請できる

もう一つの「10年」は、相続した時期の問題です。この制度には「相続から何年以内」という期限がないため、親や祖父母の代から10年、20年と放置してきた土地でも、要件を満たせば申請できます。制度が始まった2023年4月より前の相続で取得した土地も対象です。

制度がつくられた背景は所有者不明土地の問題

地方の土地を相続したものの、買い手も見つからず管理もできないまま放置され、やがて所有者がわからなくなる。こうした所有者不明土地が全国で増え、周辺環境の悪化や公共事業・災害復旧の妨げになっていることが、制度創設の背景にあります。同じ流れで、2024年4月からは相続登記も義務化されました(詳しくは後述します)。

相続土地国庫帰属制度を利用できる人の条件

申請できるのは、相続または相続人に対する遺贈によって土地の所有権(または共有持分)を取得した人です。取得の経緯によっては対象外になるため、まずは土地をどう手に入れたかを確認しましょう。

取得の経緯申請の可否補足
相続で取得できる制度開始前の相続でも可
相続人への遺贈で取得できる遺言で相続人が受け取った場合
自分で購入した土地原則できない売買による取得は対象外
生前贈与で取得原則できない相続・遺贈ではないため
法人が所有する土地できない個人の相続が前提
共有名義の土地共有者全員でなら可相続で持分を得た共有者がいれば、購入で持分を得た共有者とも共同申請できる

共有名義の場合、自分の持分だけを国に引き取ってもらうことはできず、共有者全員がそろって申請する必要があります。一人でも反対する人や連絡が取れない人がいると手続きは進められないため、早めに家族・親族で方針を話し合っておくことが大切です。

相続土地国庫帰属制度で引き取ってもらえない土地(却下・不承認要件)

国が税金で管理していく以上、管理に過大な費用や手間がかかる土地は引き取ってもらえません。要件は、申請の段階で門前払いとなる「却下要件」と、審査や実地調査の結果ではじかれる「不承認要件」の2段階に分かれています。

区分引き取ってもらえない土地の例申請前にできる対策
却下建物がある土地自己負担で解体して更地にする
却下抵当権などの担保権、賃借権・地役権などの使用収益権が設定されている土地債務の完済や権利者との話し合いで抹消する
却下通路・墓地・用水路・ため池など、他人による使用が予定されている土地利用状況を整理する(難しい場合は他の方法を検討)
却下特定有害物質による土壌汚染がある土地調査・除去が必要
却下境界が明らかでない、所有権の範囲などに争いがある土地隣地所有者と立ち会い、境界を確認する
不承認勾配30度以上かつ高さ5メートル以上の崖があり、管理に過分な費用がかかる土地現実的な対策は難しいことが多い
不承認ブロック塀・放置車両・倒木などが地上にあり、管理を妨げる土地撤去・処分しておく
不承認浄化槽・廃材・古い基礎など、除去が必要な物が地下にある土地掘り起こして撤去する
不承認不法占拠者がいるなど、隣人等との争いを経ないと管理できない土地トラブルを解消する
不承認災害の危険がある、獣害・病虫害がある、森林の整備が必要など、通常の管理に過分な費用がかかる土地状態によっては整備が必要

建物は却下、塀などの工作物は不承認の対象

もっとも多いつまずきが、古い空き家や倉庫が残っているケースです。建物がある土地は申請自体が却下されるため、解体して更地にする必要があり、その費用はすべて所有者の自己負担です。また、建物以外のブロック塀やフェンス、物置、放置車両なども、管理を妨げると判断されれば不承認になります。

境界の不明確さは山林・農地で特に起こりやすい

長年放置された土地では、境界杭が土に埋もれたり、目印にしていた木が枯れたりして、どこまでが自分の土地かわからなくなっていることがあります。公図や地積測量図を手がかりに隣地所有者と立ち会いを行い、必要に応じて土地家屋調査士に測量を依頼して境界を確認しておきましょう。

ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:
解体や測量、ゴミの撤去に費用をかけたあとで別の要件に引っかかると、その費用は戻ってきません。整備に着手する前に、法務局の事前相談で「他に問題になりそうな点はないか」を一通り確認しておくと、無駄な出費を防げます。

相続土地国庫帰属制度の費用:審査手数料と負担金の目安

国に納める費用は、申請時の審査手数料と承認後の負担金の2種類です。これに加えて、要件を満たすための準備費用や専門家への報酬がかかる場合があります。

費用の種類金額の目安支払うタイミング・方法注意点
審査手数料土地1筆あたり1万4,000円申請時。申請書に収入印紙を貼って納付却下・不承認・取り下げでも返金されない
負担金原則1筆20万円(面積に応じて算定する土地あり)承認通知の翌日から30日以内に一括納付期限を過ぎると承認が失効する
準備費用土地の状態により大きく異なる申請前解体・測量・撤去・伐採など。自己負担
専門家報酬依頼範囲により異なる依頼時書類作成の代行や境界確認など

負担金が20万円で済む土地・面積で算定される土地

負担金は多くの土地で1筆20万円ですが、管理に手間がかかりやすい次の土地は、面積に応じた計算式で算定されます。

土地の種類負担金の決まり方目安
宅地市街化区域または用途地域内は面積に応じて算定。それ以外は20万円面積算定の場合、例えば100平方メートルでおおよそ55万円程度
田・畑市街化区域・用途地域内、農用地区域内、土地改良事業の施行区域内などは面積に応じて算定。それ以外は20万円面積が広いほど高くなる
森林面積に応じて算定例えば3,000平方メートルでおおよそ30万円程度
原野・雑種地など面積にかかわらず20万円1筆20万円

注意したいのは「1筆あたり」という点です。見た目は一つの土地でも、登記上3筆に分かれていれば原則として20万円×3筆で60万円になります。ただし、隣り合う2筆以上の土地で種類が同じものは、申出によって1つの土地とみなして負担金を計算できる「合算の特例」があり、筆数の多い山林などでは費用を抑えられる場合があります。登記事項証明書で筆数を確認し、事前相談の段階でおおよその負担金を聞いておくと安心です。

負担金以外にかかる準備費用と家族間の分担

建物の解体、境界確認のための測量、不法投棄物の撤去、樹木の伐採などが必要な場合は、国に納める費用よりも準備費用のほうが大きくなることもあります。将来の固定資産税や管理費と比べて、手放すメリットがあるかを冷静に比較しましょう。

また、兄弟姉妹で共有している土地では、誰が負担金を出すのかで揉めることがあります。法定相続分で按分するのか、一人が負担する代わりに他の遺産を多めに受け取るのかなど、申請準備の段階で全員が納得できるルールを決めておきましょう。

相続土地国庫帰属制度の申請の流れと審査期間

申請から国庫帰属の完了までは、大きく6つのステップで進みます。全体の流れを図にまとめました。

相続土地国庫帰属制度の申請の流れ相続土地国庫帰属制度の申請の流れ1法務局で事前相談(予約制)登記事項証明書・公図・現地写真を持参2申請書を本局へ提出審査手数料1筆1万4,000円(返金なし)3書面審査・実地調査標準処理期間は8か月程度が目安4承認通知・負担金額の通知不承認・却下なら手数料は戻らない5負担金を一括納付通知の翌日から30日以内(過ぎると失効)6国庫帰属の完了所有権移転の登記は国が行う

ステップ1:法務局での事前相談

事前相談は予約制で、1回30分程度が目安です。土地の所在地を管轄する法務局本局のほか、近くの法務局で相談できる場合もあります。登記事項証明書、公図、現地の写真などを持参すると、制度の対象になりそうか、どんな準備が必要かを具体的に確認できます。この段階で自治体への寄付など別の方法が見つかることもあります。

ステップ2:申請書の提出と審査手数料の納付

承認申請書に、土地の位置や範囲を示す図面、隣地との境界点がわかる写真、土地の形状がわかる写真、印鑑証明書などを添えて、管轄の法務局本局へ窓口持参または郵送で提出します。支局や出張所では受け付けていない点に注意しましょう。審査手数料は申請書に収入印紙を貼って納めます。

ステップ3〜4:審査・実地調査と承認通知

書面審査に加えて、法務局の担当者が現地を訪れ、境界や工作物、崖の有無などを確認します。申請者の立ち会いを求められることもあります。法務省は標準的な処理期間を8か月程度としていますが、土地の状況や積雪などで現地調査が難しい時期を挟むと長引くこともあります。審査中も土地の管理責任は所有者にあるため、草刈りなどは続ける必要があります。

ステップ5〜6:負担金の納付と国庫帰属の完了

承認されると、負担金の額が記載された通知と納入告知書が届きます。通知が届いた翌日から30日以内に、日本銀行や指定の金融機関で一括納付します。納付が確認された時点で所有権は国に移り、所有権移転の登記は国が行うため、自分で登記を依頼する必要はありません。期限を過ぎると承認は効力を失い、再び申請する場合は手数料も改めて必要になるので、審査期間中に資金を準備しておきましょう。

申請期限はある?納付期限と相続登記の義務化との関係

相続土地国庫帰属制度そのものには申請期限がありません。一方で、混同されやすいのが2024年4月1日から始まった相続登記の義務化です。両者の違いを整理します。

項目相続土地国庫帰属制度相続登記の義務化
目的不要な土地を国に引き渡す土地・建物の所有者を登記で明らかにする
期限申請期限なし(負担金の納付は通知の翌日から30日以内)相続で取得したことを知った日から3年以内
罰則利用しなくても罰則なし正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象
対象相続・遺贈で取得した土地(要件あり)相続した不動産全般

2024年4月より前に相続した不動産も義務化の対象で、その場合は2027年3月31日までに登記する必要があります。遺産分割協議がまとまらず期限に間に合わないときは、自分が相続人であることを法務局に申し出る「相続人申告登記」を行えば、義務を果たしたものとして扱われます。義務化の詳細は死亡後の不動産手続きにおける相続登記の義務化と期限でも解説しています。

国庫帰属の前に相続登記は必要?

登記名義が亡くなった親のままでも、戸籍謄本などで相続によって取得したことを示せば申請できる扱いとされています。ただし、相続登記の義務は国庫帰属を申請するかどうかに関係なくかかるため、名義を整理しておくほうが手続き全体はスムーズです。土地の登記には固定資産税評価額の1,000分の4の登録免許税がかかり、司法書士に依頼する場合は別途報酬が必要です。取り扱いは個別の事情で異なるため、法務局で確認してください。

相続土地国庫帰属制度は自分で申請できる?専門家に頼む場合

申請は自分で行うことができます。法務省のホームページには申請書の様式や記載例が用意されており、事前相談で書き方を質問することもできます。ただし法務局の担当者は手続きを案内する立場で、書類を代わりに作ってくれるわけではありません。

進め方向いている人注意点
自分で申請境界がはっきりしていて、平日に法務局へ行く時間が取れる人図面作成や現地写真の撮影など手間が大きい
書類作成を専門家に依頼書類作成に不安がある人、筆数が多い人申請者はあくまで本人。作成代行は弁護士・司法書士などに依頼する
境界確認を専門家に依頼境界が不明確な山林・農地を持つ人土地家屋調査士への測量費用がかかる

なお、この制度の申請は法定代理人を除いて代理人に任せることはできず、専門家に頼めるのは申請書類の作成代行までです。どの窓口に何を相談すればよいかは相続土地国庫帰属制度の相談窓口と専門家との使い分けで詳しくまとめています。

山林・農地を相続土地国庫帰属制度で手放す場合の注意点

山林や農地も申請はできますが、宅地に比べて審査のハードルが高くなりがちです。主なポイントは次のとおりです。

  • 境界杭が見つからず、隣地との境界が不明確になっていることが多い
  • 不法投棄された粗大ゴミや家電、放置車両、倒木があると不承認の原因になる
  • 過密で間伐が必要な森林や、病虫害が広がっている森林は「追加の整備が必要」と判断されやすい
  • 一つの山でも登記上は細かく筆が分かれていることが多く、手数料と負担金が筆数分かかる

森林の負担金は面積に応じて算定され、例えば3,000平方メートルでおおよそ30万円程度が目安です。隣接する複数の森林をまとめて申請する場合は、合算の特例で1つの土地として計算できることがあります。審査に落ちても整備費用は補填されないため、多額の費用をかける前に他の要件をクリアできるか確認しておきましょう。農地については、農用地区域内かどうかなどで負担金の決まり方が変わります。詳しくは農地を相続土地国庫帰属制度で手放すための条件と費用負担をご覧ください。

相続土地国庫帰属制度が使えない場合の対処法

要件を満たさず国に引き取ってもらえない場合でも、手放す方法がなくなるわけではありません。主な選択肢を比較します。

対処法実現のしやすさ費用メリットデメリット
自治体への寄付低い基本的にかからない費用をかけずに手放せる活用目的がないと断られるのが一般的
買取業者への売却中程度収入になる可能性現金化でき、手間が少ない相場より安くなりやすい
隣地所有者への譲渡・売却中程度交渉次第隣地を広げたい人には価値がある関係に影響する恐れがある
相続放棄期限内なら確実手続き費用のみ土地を引き継がずに済む預貯金などすべての財産を放棄することになる

自治体への寄付・買取業者・隣地所有者への譲渡

公園や道路の拡幅など自治体に活用目的がある土地なら、寄付を受け入れてもらえることがあります。可能性は高くありませんが、役所の財産管理の担当窓口に一度相談してみる価値はあります。訳あり物件や地方の遊休地を扱う買取業者は、駐車場や資材置き場としての活用を見込んで買い取ってくれる場合があります。また、畑や庭を広げたい隣地の方にとっては価値がある土地もあるため、無償や格安での譲渡を打診する方法もあります。いずれも登記費用や税金の負担を事前に話し合っておきましょう。田舎の土地の手放し方は田舎の土地の相続と不要な土地の手放し方でも詳しく紹介しています。

相続前・相続直後なら相続放棄も選択肢

相続の開始を知った時から3か月以内であれば、家庭裁判所で相続放棄ができます。ただし、不要な土地だけを放棄することはできず、預貯金や自宅などプラスの財産もすべて手放すことになります。また、放棄の時点でその土地を現に占有している場合は、次の管理者に引き渡すまで保存の義務が残る点にも注意が必要です。手続きの流れは相続放棄の期限と手続き手順をご確認ください。

承認から10年後・その後の土地はどうなる?

国庫に帰属した土地は、種類に応じて国の機関が引き継いで管理します。10年分の負担金はあくまで算定の基準であり、10年後も国が管理を続けます。

土地の種類主な管理の担い手管理の内容
宅地・原野・雑種地など財務省(各地の財務局)国有財産として草刈りや見回りなど最低限の維持管理
農用地(田・畑)農林水産省周辺の営農環境を悪化させないための管理
森林農林水産省(林野庁・森林管理局)土砂災害の防止など森林としての保全

国有財産になった土地は、活用の見込みがあれば将来売却される可能性もゼロではありませんが、この制度で集まる土地の多くは立地や地形の面で民間の需要が少なく、国が長く保有・管理し続けると考えられます。

元の所有者に責任が生じるケース

原則として、国庫帰属後に元の所有者が費用や管理を求められることはありません。ただし、偽りや不正な手段で承認を受けた場合は承認が取り消されることがあり、引き取れない事情があると知りながら告げずに承認を受け、国に損害が生じた場合は損害賠償を求められることがあります。地中の埋設物や土壌汚染など、知っている事情は正直に申告しましょう。

制度の見直しにも注意

国が引き取った土地の管理には継続的な費用がかかるため、制度は運用状況を踏まえて見直しが検討される仕組みになっています。負担金の算定や要件、審査の運用が将来変わる可能性もあるため、利用を考えている方は最新の情報を法務局で確認し、手放すと決めたら早めに準備を始めるのが安心です。

相続から10年以上放置した土地のリスク

古い相続の土地でも申請はできますが、放置期間が長いほど手続きの前提となる話し合いが難しくなります。

  • 相続開始から10年を過ぎると、遺産分割で特別受益や寄与分の主張が原則としてできなくなる
  • 相続人が亡くなるたびに権利が子や孫へ枝分かれし、共有者全員の同意を得にくくなる
  • 相続登記の義務化により、期限を過ぎると過料の対象になり得る
  • その間も固定資産税や草刈りなどの管理負担が続く

2023年4月の民法改正で、相続開始から10年が経過すると、生前の援助(特別受益)や介護の貢献(寄与分)を考慮した分け方の主張が原則として制限され、法定相続分を基準に分けることになりました。過去の事情を考慮してほしい親族と、法定相続分で分けたい親族の間で意見が対立しやすく、協議がまとまらなければ名義の整理も国庫帰属の申請も進みません。話し合いの結果は遺産分割協議書に残しておくことが大切です。作り方は遺産分割協議書を自分で作成する手順で解説しています。

ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:
何十年も前の相続の土地は、まず「今の相続人が誰なのか」を戸籍で確認するところから始まります。共有者が増えるほど同意を得る手間も負担金の分担の話し合いも大変になるため、気づいた時点で家族と情報を共有しておくことをおすすめします。

相続土地国庫帰属制度に関するよくある質問

制度を検討している方からよく寄せられる疑問にお答えします。

承認された土地の所有者が納める管理費用は何年分ですか?

10年分です。法務局の審査で承認された場合、土地の種類や面積に応じた10年分の標準的な管理費用に相当する額を「負担金」として一括で納めます。原則は1筆20万円ですが、市街地の宅地や一部の農地、森林は面積に応じて算定されます。

10年たったら土地が戻ったり、追加費用を請求されたりしますか?

どちらもありません。負担金を納めた時点で所有権は国に移り、10年後以降も国が管理します。納めた負担金が返還されることもありません。

負担金を30日以内に払えなかったらどうなりますか?

承認は効力を失い、土地は手放せないままになります。改めて手放したい場合は、最初から申請し直し、審査手数料も再度納める必要があります。審査期間中に資金を準備しておきましょう。

審査に落ちたら手数料や整備費用は戻りますか?

戻りません。審査手数料は却下・不承認・取り下げのいずれでも返金されず、要件を満たすためにかけた解体や伐採などの費用も補填されません。複数筆をまとめて申請すると手数料も筆数分かかるため、事前相談で見込みを確認してから申請しましょう。

共有名義の土地でも申請できますか?

共有者全員が共同で申請すれば可能です。自分の持分だけを国に引き取ってもらうことはできません。費用の分担も含めて、事前に全員の合意を得ておきましょう。

まとめ:相続土地国庫帰属制度は要件と費用を確認してから

相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈で取得した不要な土地を国に引き取ってもらえる制度です。申請期限はなく、相続から10年以上たった土地でも利用できます。費用は審査手数料が1筆1万4,000円、負担金が10年分の管理費用相当として原則20万円(面積に応じて算定する土地あり)で、審査には8か月程度が目安です。一方で、建物がある、境界が不明確といった土地は引き取ってもらえず、準備費用がかさむこともあります。使えない場合は寄付や売却、相続放棄などの方法も比べて検討しましょう。制度の内容は見直される可能性があるため、最新の情報は法務局で確認してください。

ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:
国庫帰属の申請に進む前に、相続人の確認、遺産分割の話し合い、相続登記と、片付けるべき手続きが重なっていることがよくあります。どこから手を付けるか整理するだけでも、気持ちがずいぶん軽くなります。

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