成年後見制度の改正をわかりやすく!いつからどう変わるのか

成年後見制度 改定 わかりやすく
監修
行政書士法人杉山事務所
所属行政書士会:大阪会 / 登録番号:22260069
運営者
ニコニコ終活責任者 飯塚
ニコニコ終活(担当:飯塚)
相談対応毎月10,000件以上

成年後見制度の改正によって、不動産売却や相続手続きといった目的が済めば途中で制度を終わらせることができるようになり、本当に必要なサポートだけを依頼するオーダーメイド型の利用が可能になります。

ただし、この新しい制度が実際に始まるのは2028年頃と見込まれており、制度を終了させる際にも家庭裁判所の判断が必要になるため、必ずしも想定通りに手続きが進むとは限らない点には注意が必要です。

ニコニコ終活の窓口に寄せられるご相談のなかにも、親の認知症に備えたいものの、一度始めると一生続く現行の制度に不安を感じて一歩を踏み出せないというお悩みがあり、より使いやすい仕組みを求めるご家族の切実な思いを日々実感しております。

本記事を通して、現行制度の問題点が今回の改正でどのように改善されるのかをわかりやすく把握し、ご家族の財産管理や将来の不安にむけて今から取り組める具体的な対策を検討できるようになります。

目次

成年後見制度の改正で変わる3つの重要ポイント

今回の成年後見制度の改正は、長年指摘されてきた使い勝手の悪さを抜本的に見直す非常に大きな変更となります。まずは現行制度と改正後の制度がどう違うのか、比較表で全体像を確認したうえで、重要な3つのポイントを深掘りして解説します。

比較項目現行の成年後見制度改正後の成年後見制度(予定)
制度の期間一度始めると本人の死亡まで原則継続目的が達成されれば途中で終了可能
制度の類型後見・保佐・補助の3つの類型補助に一本化してオーダーメイド設計
代理権の範囲生活全般にわたる包括的な管理必要な範囲に限定した部分的な支援
支援者の交代途中で交代させるのは極めて困難本人の利益に合わない場合は解任しやすくなる

このように、これまでの硬直化した仕組みから、利用者のニーズに合わせた柔軟な制度へと移行します。具体的に変わるポイントは以下の3点です。

  • 目的が達成されれば途中で終了できる制度へ
  • 3つの類型から補助への一本化でオーダーメイド対応が可能に
  • 本人の自己決定権の尊重と支援者の交代がしやすくなる見直し

これらのポイントについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。

目的が達成されれば途中で終了できる制度へ

現行の成年後見制度では、本人の判断能力が完全に回復しない限り、制度を途中でやめることは原則として認められていませんでした。しかし改正後は、利用のきっかけとなった目的が終われば、制度を終了させることができるようになります。

たとえば、実家の空き家を売却するためだけに制度を利用した場合、無事に売却手続きが完了すれば、家庭裁判所の判断により支援を終わらせることが可能です。これにより、特定の手続きのためだけに専門家へずっと報酬を払い続けなければならないといった金銭的な負担や心理的なハードルが大きく下がります。

3つの類型から補助への一本化でオーダーメイド対応が可能に

現在の制度は、本人の判断能力の低下具合に合わせて、後見、保佐、補助という3つの類型に分かれています。改正案ではこれを最も柔軟な補助に一本化し、支援の内容を個別に設計できる仕組みへと作り直される方向です。

これまでは財産のすべてを支援者に管理されるケースが多くありましたが、新制度では不動産の売却手続きだけを手伝ってほしい、特定の介護契約だけを代行してほしいなど、必要なサポートだけを自由に組み合わせて依頼できるようになります。このオーダーメイド化により、本人が自分でできることは自分で続けながら、足りない部分だけを補うことができるようになります。

本人の自己決定権の尊重と支援者の交代がしやすくなる見直し

必要最小限のサポートに留めることで、本人の自己決定権がこれまで以上に尊重されるようになります。本人ができる領域まで支援者が勝手に決めてしまうことを防ぎ、本人の意思や残された能力を最大限に活かすことが重視されています。

さらに、選任された専門職の支援者と本人や家族の相性が合わない場合、これまでは明確な不正がない限り交代が困難でした。改正案では、支援方針の対立などで本人の利益にならないと家庭裁判所が判断した場合には、支援者の解任や交代がしやすくなる新たなルールが盛り込まれており、家族にとっても安心できる仕組みに変わります。

なぜ成年後見制度の改正が必要だったのか背景をわかりやすく解説

そもそも、なぜここまで大掛かりな制度改正が行われることになったのでしょうか。その背景には、制度を利用したご家族からの多くの不満や、国際的な人権意識の高まりがありました。ここでは現行制度の抱える主な課題を整理します。

現行制度の課題として、主に以下の3点が指摘されてきました。

  • 一度始めると途中でやめられない縛りの強さ
  • 財産や生活のすべてを管理されてしまう不自由さ
  • 本人の意思が尊重されにくい仕組みの問題

これらの課題について、一つずつ具体的に解説します。

一度始めると途中でやめられない縛りの強さ

成年後見制度を利用し始めるきっかけの多くは、親の預金口座が凍結されて生活費が下ろせない、施設入居のために実家を売却したいといった具体的な目的を持っています。しかし、その目的を果たした後も、本人が亡くなるまで支援者がつき続けるのが現行制度の最大のネックでした。

目的が終わった後も毎月数万円の専門家報酬を支払い続ける必要があり、それが何年も続くとなれば家計への負担は計り知れません。この一生続くという縛りの強さが、成年後見制度の利用をためらわせる一番の要因となっていました。

財産や生活のすべてを管理されてしまう不自由さ

特に後見という最も重い類型が選ばれた場合、支援者には包括的な代理権が与えられます。これにより、本人の財産は厳格に管理され、自分のお金であっても自由にお小遣いとして使うことが難しくなります。

家族が親のために少し良い洋服を買ってあげたいと思っても、支援者から贅沢品だと判断されればお金を引き出すことができません。本来は本人を守るための制度であるにもかかわらず、結果として本人の生活の質を下げ、家族の自由を奪ってしまう側面が強く批判されてきました。

本人の意思が尊重されにくい仕組みの問題

現行制度は、本人の財産を減らさないことにとにかく重きを置いた仕組みになっています。そのため、本人が孫に教育資金を援助したいと望んでいたり、長年応援してきた団体に寄付をしたいと考えていたりしても、財産を減らす行為として支援者に拒否されてしまうことがほとんどです。

形式的な財産保護が優先され、本人の想いや意思が後回しにされてしまう状況は、国連の障害者権利条約の観点からも問題視されてきました。本人の本当の幸せは何なのかという視点が欠けがちだったことが、今回の抜本的な見直しに繋がっています。

改正案で新設される特定補助制度と支援者の見直しルール

改正案では、これまでの制度を柔軟にする一方で、判断能力が著しく低下した方を守るための新たなセーフティネットも用意されています。ここでは、新しく導入される特定補助制度と、支援者に関するルール変更について解説します。

今回の改正案に含まれる新たな仕組みは、大きく以下の2つに分けられます。

  • 重要な財産行為を保護する特定補助制度
  • 本人の利益を守るための解任事由と説明義務の追加

それぞれどのような内容なのか、詳しく見ていきましょう。

特定補助人を付する処分による重要な財産行為の保護

3つの類型が補助に一本化されると、判断能力が大きく低下している方への保護が手薄になるのではないかという懸念があります。そこで、特定補助人を付する処分という新たな仕組みが設けられる予定です。

これは、不動産の売買や高額な預金の引き出しなど、生活に大きな影響を与える重要な財産行為について、必要に応じて特定補助人が取り消すことができる権利を持つ仕組みです。本人の自由を尊重しつつも、悪徳商法などの被害からしっかりと財産を守るためのバランスを取った制度設計と言えます。

本人の利益を守るための新たな解任事由と説明義務

支援者と家族の間でトラブルが起きても、これまでは支援者が横領などの犯罪行為をしない限り、解任することはほぼ不可能でした。しかし改正後は、支援方針を巡る関係性の悪化などで本人の利益のために特に必要があると家庭裁判所が認めた場合、支援者を解任できるようになります。

また、支援者は本人に対してしっかりと情報を提供し、意向を確認しながら職務を進めることが明記されました。家族への報告義務が法律上明確に定められているわけではない点には注意が必要ですが、これまでよりも本人の気持ちに寄り添った柔軟な対応が期待できる仕組みへと進化します。

成年後見制度の改正はいつから始まるのかと今すぐできる対策

成年後見制度の改正案の内容は非常に魅力的ですが、明日からすぐに使えるわけではありません。ここでは、新制度がいつから始まるのかというスケジュール感と、今すぐできる将来への備えについて解説します。

新制度の開始に向けた流れと、私たちが取れる対策は以下の通りです。

  • 新制度の施行は2028年頃の見込み
  • 施行を待たずにできる家族信託や任意後見による備え

それぞれどのような点に気をつけるべきかを確認していきましょう。

新制度の施行は2028年頃の見込み

民法の改正に向けた議論は進んでいますが、法律が成立してから実際に運用がスタートするまでには準備期間が必要です。現在のところ、新しい成年後見制度が実際に利用できるようになるのは、2028年頃になると見込まれています。

もし現在、親の認知症が進行しており、生活費のための預金引き出しや施設入居費用の捻出のために実家を売らなければならないなど、差し迫った状況にある場合は、2028年まで待つことは現実的ではありません。その場合は、現行の成年後見制度を利用して急場をしのぐ必要があります。

施行を待たずにできる家族信託や任意後見による備え

親がまだ元気で判断能力が十分にある状態であれば、成年後見制度の改正を待つのではなく、今のうちから別の対策を立てておくことが最善の選択です。代表的な方法として、家族信託と任意後見制度があります。

家族信託は、信頼できる家族に財産の管理や処分の権限を託す仕組みで、成年後見制度のような裁判所の関与や専門家への継続的な報酬なしに、柔軟な財産管理が可能です。また、任意後見制度は、自分が元気なうちに将来の後見人を自分で選び、支援してほしい内容をあらかじめ契約しておく制度です。状況に合わせてこれらの手段を組み合わせることで、認知症による口座凍結リスクを確実に回避できます。

成年後見制度の改正に関してよくある質問

成年後見制度の改正について、多くの方が疑問に感じるポイントをまとめました。それぞれの疑問に対してわかりやすくお答えします。

改正前に成年後見制度を利用し始めるとどうなりますか?

改正前の現行制度で後見・保佐・補助の利用を開始した場合、2028年頃とされる新制度の施行後には、原則として新しい法律のルールが適用される見通しです。

そのため、現在すでに制度を利用している方や、これから新制度が始まる前までに現行制度の利用を始める方であっても、施行後には目的達成による途中終了や、支援のオーダーメイド化といった新しい制度のメリットを受けられる可能性が高いと考えられています。ただし、具体的な移行措置の詳細は今後の国会審議等で決定されるため、最新の情報を注視していく必要があります。

すでに後見人がついている場合も途中で終了できるようになりますか?

新制度が施行されれば、すでに後見人がついているケースであっても、制度を利用するきっかけとなった目的が達成されており、今後継続して保護する必要性が低いと家庭裁判所が判断した場合には、途中で終了できるようになる予定です。

たとえば、過去に遺産分割協議を行うためだけに後見人をつけたものの、協議終了後もずっと後見人がつき続けているようなケースでは、新制度のもとで終了の申し立てを行うことで、負担を軽減できる可能性があります。ご自身のケースが終了の対象になるかどうかは、施行後に専門家へ相談することをおすすめします。

まとめ

本記事では、成年後見制度の改正について、一度始めるとやめられない仕組みから目的達成で終了可能になる点や、必要な支援だけを選べるオーダーメイド化など、いつからどう変わるのかをわかりやすく解説しました。

ニコニコ終活としては、この改正によってご家族の負担が大幅に軽減されると期待しておりますが、新制度の開始は2028年頃とまだ先であるため、親御様が元気なうちに家族信託などの生前対策を進めておくことが、確実な財産保護に繋がると考えております。

ニコニコ終活は全国対応で、成年後見制度に関するお悩みや将来の財産管理の不安について、何度でも完全に無料でご相談いただけます。状況に応じた最適な解決策をご提案いたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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