成年後見制度を利用しない理由と3つのデメリット!代わりの生前対策も解説

成年後見制度を利用しない最大の理由は、毎月発生する専門家への高額な報酬や、家族であっても柔軟な財産管理ができなくなるという厳格な制約にあります。一度制度の利用を開始すると、ご本人がお亡くなりになるまで原則としてやめることができず、精神的にも経済的にもご家族の負担が続く点に注意が必要です。
ニコニコ終活へご相談にお見えになる方の中にも、親の認知症対策として成年後見制度を検討したものの、費用や使い勝手の制約に驚き、他の負担が少ない方法を探しているというお声が寄せられています。
本記事では、法定の成年後見制度が敬遠されがちな具体的なデメリットと、認知症になる前に準備できる家族信託や任意後見制度といった代替策について詳しく解説します。最後までお読みいただくことで、大切なご家族の財産を守るための最適な判断基準と、今すぐ取るべき具体的な手順が分かります。
成年後見制度を利用しない理由と知っておくべき3つのデメリット

成年後見制度は、認知症などで判断能力が低下した方の財産を守るための大切な公的制度です。しかし、実際に制度の詳細を知ると、利用をためらうご家族が少なくありません。ここでは、成年後見制度を利用しない主な理由として挙げられる3つの大きなデメリットについて詳しく解説します。まずは全体像として、以下の3点が挙げられます。
- 専門家への報酬が一生涯発生する経済的負担
- 柔軟な運用ができない厳格すぎる財産管理と制限
- 申立て手続きの手間とご本人の心理的負担
それぞれのデメリットについて、深く掘り下げて見ていきましょう。
専門家への報酬が一生涯発生する経済的負担
成年後見制度を利用する際、ご家族が最も直面しやすい壁が費用面の問題です。特に、第三者の専門家が後見人に選ばれた場合の継続的なコストは、事前の想定を大きく上回ることがあります。
家族を候補にしても専門家が選任される実態
ご家族が自ら後見人になろうと家庭裁判所に申し立てを行っても、必ずしも希望が通るとは限りません。管理する預貯金や不動産などの財産が多かったり、親族間で財産管理に対する意見の対立があったりする場合、家庭裁判所の客観的な判断により、弁護士や司法書士などの専門家が第三者として選任されるケースが多くあります。
毎月2万円から3万円の報酬が亡くなるまで続く
専門家が後見人に就任した場合、ご本人の預貯金などの財産から毎月報酬を支払う必要があります。一般的な目安として、月に2万円から3万円程度の負担が発生し、管理する財産額が大きい場合はさらに高額に設定されます。この支払いはご本人が亡くなるまで一生涯続くため、累計すると数百万円単位の出費になることも少なくありません。
柔軟な運用ができない厳格すぎる財産管理と制限
成年後見制度はご本人の財産を減らさないこと、つまり徹底した保護を最優先とする仕組みです。そのため、ご家族から見ると非常に不便で窮屈に感じられることが多く、これが利用しない大きな理由となっています。
投資や生前贈与など積極的な財産活用が不可
後見人がつくと、ご本人の財産は厳格に管理され、現状維持が求められます。例えば、資産を増やすための投資や、お孫さんへの教育資金の贈与、相続税対策としての生前贈与などは原則として認められなくなります。ご家族が良かれと思って提案しても、ご本人の直接的な利益に直結しない支出は家庭裁判所から許可が下りないのです。
自宅の売却や大規模修繕への高いハードル
ご本人が介護施設に入所するため、空き家となった自宅を売却して入居資金に充てたいと考えるケースはよくあります。しかし、居住用不動産の処分には家庭裁判所の許可が別途必要となり、資金的にどうしても売却しなければならない正当な理由がない限り認められません。また、後見人は年に1回、家庭裁判所へ収支状況を報告する義務があり、家族であっても生活費として自由に財産を引き出すことは不可能です。
申立て手続きの手間とご本人の心理的負担
制度の利用を開始するまでの道のりも決して平坦ではありません。手続きの煩雑さに加えて、ご本人やご家族の心理的な葛藤が、制度利用を遠ざける要因となっています。
膨大な必要書類と複雑な家庭裁判所への申立て
家庭裁判所に成年後見の申立てを行うには、医師の診断書、戸籍謄本、詳細な財産目録や収支予定表など、多岐にわたる専門的な書類を不備なく集めて作成する必要があります。日中お仕事をされているご家族にとって、これらの準備は多大な時間と労力を要し、大きなストレスとなります。
判断能力の低下を認めたくないご本人の抵抗感
制度を利用するには、ご本人の判断能力が低下していることを公的な手続きとして認める必要があります。判断能力が低下し始めていても、ご本人が強く拒否されるケースも珍しくありません。無理に手続きを進めればご家族間の関係に亀裂が入る恐れもあり、非常に慎重なコミュニケーションと対応が求められます。
認知症になる前にできる成年後見制度に代わる生前対策
成年後見制度を利用しない理由となる数々のデメリットを回避するためには、ご本人の判断能力がしっかりしている元気なうちに、別の対策を講じておくことが極めて重要です。事前対策として主に選ばれている2つの有効な選択肢をご紹介します。
- 家族信託による柔軟な財産管理
- 任意後見制度による将来の備え
それぞれの制度の仕組みと、どのようなメリットがあるのかについて詳しく解説していきます。

家族信託による柔軟な財産管理
近年、成年後見制度を利用しない理由を解消できる新しい選択肢として、家族信託を選ぶ方が非常に増えています。家族信託とは、ご自身の財産管理を信頼できるご家族に託す仕組みです。
認知症による口座凍結を確実に防ぐ
家族信託をご本人が元気なうちに契約しておけば、万が一認知症を発症しても、銀行口座が凍結されて生活費や施設入居費が引き出せなくなる事態を防げます。ご家族が受託者としてあらかじめ法的な管理権限を持っているため、ご本人の代わりにスムーズに預金の引き出しや実家の売却手続きを行うことが可能です。
家庭裁判所の介入がない自由な運用
法定の成年後見制度とは異なり、家庭裁判所への定期的な報告義務や厳格な財産制限がありません。ご本人の希望を事前の契約書にしっかりと盛り込んでおくことで、生前贈与の継続や不動産の有効活用、修繕など、ご家族の生活状況に合わせた柔軟な財産運用が実現できます。
任意後見制度による将来の備え
もう一つの有力な選択肢が、任意後見制度です。これは、将来ご自身の判断能力が不十分になったときに備えて、あらかじめご自身でサポートしてくれる後見人を選んでおく制度です。
信頼できる人を自分で選べる安心感
法定後見制度では、誰が後見人になるかを最終的に家庭裁判所が決定しますが、任意後見制度では、ご家族や信頼できる友人をあらかじめご自身で指定できます。ご自身の価値観や希望をよく理解している人に将来の生活支援や財産管理を託せるため、精神的な安心感が大きく異なります。
任意後見監督人の報酬には注意が必要
任意後見制度を利用する際の注意点として、いざ制度がスタートする時期になり家庭裁判所に申し立てを行うと、任意後見人が正しく仕事をしているかを見守る任意後見監督人が必ず選任されます。この監督人には専門家が就くことが多く、月額1万円から2万円程度の報酬が本人の亡くなるまで発生し続ける点は理解しておく必要があります。
法定後見制度と家族信託・任意後見制度の比較表
これまで解説してきた法定の成年後見制度と、代わりの対策となる家族信託、任意後見制度の違いを分かりやすく表にまとめました。ご自身の状況にどの制度が合っているか、比較検討する際の参考にしてください。
| 比較項目 | 成年後見制度(法定後見) | 家族信託 | 任意後見制度 |
| 対策を始める時期 | 判断能力が低下した後 | 判断能力がある元気なうち | 判断能力がある元気なうち |
| 財産管理者の決定 | 家庭裁判所が決定 | 本人が信頼できる家族を指定 | 本人が信頼できる人を指定 |
| 財産管理の柔軟性 | 低い(現状維持・保護が原則) | 高い(契約内容による) | 中程度(本人の希望を反映可能) |
| 継続的な専門家報酬 | 専門家選任時は月額2〜3万円 | 原則不要(家族が無報酬の場合) | 監督人に月額1〜2万円程度 |
| 裁判所への定期報告 | 年1回必要 | 不要 | 任意後見監督人を通じて報告 |
このように、ご本人がお元気なうちに対策を始めることで、費用の削減や柔軟な対応が可能になります。成年後見制度を利用しない理由となるデメリットの多くは、早めの生前対策によって根本的に解決できるのです。
成年後見制度を利用しない理由に関するよくある質問
ニコニコ終活の無料相談でも、成年後見制度のデメリットやそれに代わる対策について多くのご質問をいただきます。ここでは、ご相談者様からよく寄せられる疑問とその回答をまとめました。
認知症になってからでも家族信託はできますか?
原則として、重度の認知症が進行し、ご自身の財産を管理・処分する意味が理解できない状態になってしまうと、家族信託の契約を新しく結ぶことはできません。
そのため、物忘れが少し気になり始めた段階や、まだ健康でしっかりしているうちに、早めに専門家へ相談して手続きを進めることが何よりも重要です。もし既に契約内容を理解できないと判断された場合は、柔軟な対策はとれず、法定の成年後見制度を利用するしか選択肢がなくなってしまいます。
成年後見人を家族が務めれば費用はかかりませんか?
ご家族が成年後見人に選ばれ、無報酬で後見業務を行う場合は、専門家への継続的な支払いは直接的には発生しません。
しかし、ご家族が後見人になった場合でも、ご本人の財産額や親族の状況により、家庭裁判所の判断で後見監督人と呼ばれるチェック役の専門家がつけられることがあります。その場合、後見監督人に対する報酬が一生涯発生するため、完全な費用ゼロになるとは言い切れない点にご注意ください。
どの生前対策制度を選べばいいか分かりません
ご家族の資産状況、ご本人の健康状態、そしてご家族間でどのような希望があるかによって、最適な制度は大きく異なります。
例えば、実家などの不動産を将来的に柔軟に活用・売却したいなら家族信託、介護契約などの身上保護を重視するなら任意後見制度が向いている場合があります。それぞれの制度には複雑な法律や税務が絡むため、ご自身だけで判断せず、生前対策の専門家に全体的な状況を伝えて客観的なアドバイスを受けることを強くお勧めします。