家族が自殺した際の遺体引き取りの流れと手続き費用・安置や拒否の選択肢

家族が自ら命を絶たれた場合のご遺体引き取りは、警察による検視や医師の検案がすべて完了し、死体検案書が発行された後に初めて可能となります。病院で亡くなった場合とは異なり、すぐには引き取ることができず、半日から数日ほどの待機時間が発生することが一般的です。
また、突然の訃報に直面する中で、警察署での身元確認や書類手続きを行わなければならず、検案料やご遺体の状態に応じた処置費用など、通常よりも高額な負担が生じやすい点には注意が必要です。ご事情によっては、ご遺体の引き取り自体を拒否するという選択も法的に認められております。
ニコニコ終活の相談窓口にも、突然の警察からの連絡に激しく動揺し、悲しみの中でどこから手をつければよいのか分からないといったご遺族からのSOSが寄せられます。混乱状態のまま冷静に警察の手続きや葬儀社の手配を進めることは、ご遺族にとって非常に過酷なことです。
この記事では、警察から連絡が来てからご遺体を引き取るまでの具体的な手順、発生する費用の内訳、そして引き取りが難しい場合の対応方法までを詳しく解説します。これから直面する流れを事前に把握し、手続きにおける不安を少しでも和らげるための一助としてお役立てください。
自殺による遺体引き取りまでの具体的な流れと警察での手続き
ご家族が自死された場合、通常の病死とは異なり、事件性の有無を確認するための警察の介入が必須となります。ここでは、警察からの第一報を受けてから、実際にご遺体を安置場所へお連れするまでの詳しい手順について解説します。
まずは全体の手順として、以下の3つのステップで進んでいくことを把握しておきましょう。
- 警察からの連絡と身元確認のための警察署訪問
- 警察による検視および医師の検案による書類発行
- 葬儀社手配による警察署からのご遺体搬送と引き取り
警察からの連絡と身元確認のための面会
警察からご家族へ発見の連絡が入った後、まずは指定された警察署へ向かうことになります。本人確認を厳密に行う必要があるため、警察の指示に従い、ご自身の運転免許証などの身分証明書や、亡くなった方との関係性を証明する戸籍謄本、そして認印などを持参します。
警察署では、対面での身元確認が行われます。非常に辛く、精神的なショックを伴うお時間となりますが、ご遺族として避けては通れない大切な最初の手続きです。お一人で向かうのが不安な場合は、ご親族や信頼できる方に同行していただくことを強くおすすめします。
警察による検視および医師の検案による書類発行
身元が確認された後、ご遺体はそのまま警察の施設に留め置かれ、警察による状況調べである「検視」と、監察医や警察医による医学的な「検案」が行われます。これらは事件性がないか、死因が何であるかを法的に判断する重要なプロセスです。
この検視・検案が完了するまでには、状況によって半日から数日かかることも珍しくありません。すべての調査が終わり、死亡診断書の代わりとなる「死体検案書」が医師から発行されて、初めてご遺族への引き渡し許可が下りることになります。
葬儀社手配による警察署からのご遺体搬送
警察からご遺体の引き渡し許可が下りるタイミングに合わせて、ご遺体を搬送するための寝台車を手配する必要があります。ご遺体を一般の自家用車で搬送することは衛生面や法律の観点から推奨されていないため、専門の葬儀社へ依頼するのが基本です。
事前に葬儀社へ連絡し、引き渡しの日時に合わせて警察署までお迎えをお願いする流れとなります。警察署からご自宅、あるいは葬儀社が手配する専用の安置施設へとご遺体を移動させ、そこからその後の葬儀や火葬のお打ち合わせへと進んでいきます。
自殺後のご遺体引き取りにかかる費用内訳と追加で発生する料金
警察が介入するご遺体の引き取りでは、通常の葬儀費用に加えて特殊な費用が発生します。突然のことで費用の準備に戸惑うご遺族も多いため、どのような名目でいくらくらいかかるのか、病院で亡くなった場合と比較しながら整理しておきましょう。
以下の表は、病院で亡くなった場合と警察が介入した場合(自殺など)の初期費用の違いをまとめたものです。
| 費用の種類 | 病院で亡くなった場合 | 警察が介入した場合(自殺など) |
| 書類発行費用 | 死亡診断書:数千円〜1万円程度 | 死体検案書:3万円〜10万円以上 |
| 警察での検案料 | 発生しない | 数万円(遺体の状態や地域による) |
| 搬送・安置費用 | 病院から手配(距離による) | 警察署から手配(距離・時間帯による) |
| 特別な処置費用 | 通常のエンゼルケア程度 | エンバーミングや特殊清掃が必要な場合あり |
医師による死体検案書の発行費用と警察の検案料
病院で医師の管理下のもと最期を迎えた場合は「死亡診断書」が発行されますが、自殺や突然死の場合は「死体検案書」となります。この書類の発行には健康保険が適用されないため、全額自己負担となります。
さらに、医師が死因を特定するためにご遺体を調べる「検案料」や、ご遺体を包むための納体袋の費用などが加算されます。これらは地域や処置内容、担当する医師によって変動しますが、総額で数万円から十数万円程度の費用がかかることが一般的です。引き渡しの際に警察署で現金での支払いを求められることも多いため、あらかじめ現金を準備しておく必要があります。
警察署からの搬送費用と安置施設までの料金
警察署から安置場所までの移動には、葬儀社の専用の寝台車を使用します。搬送費用は、移動距離に比例して高くなるシステムが一般的です。
また、引き渡しの時間が深夜や早朝になった場合は、割増料金が加算されることもあります。慌てて遠方の葬儀社を呼んでしまうと搬送費用が高額になる恐れがあるため、安置場所の目星をつけ、なるべく近郊の葬儀社に搬送を依頼することで費用を抑えることができます。
ご遺体の状態保全や修復を行うエンバーミング費用
発見までの日数やご遺体の状態によっては、衛生面の問題からそのままの状態で安置することが難しい場合があります。また、お怪我の跡などが残っている場合、ご遺族の精神的ショックを和らげるために、衛生保全や外見の修復を行う「エンバーミング」という専門的な処置が提案されることがあります。
ご家族が少しでも穏やかなお顔でお別れをするための大切な選択肢ですが、15万円〜25万円程度の別途費用が発生します。必ず行わなければならないものではないため、ご遺体の状態とご予算を踏まえ、葬儀社としっかり相談して判断することが大切です。
家族の遺体引き取りを拒否したい場合の法的な対応と無縁仏という選択
長年の音信不通や複雑な家族関係、あるいは直面した出来事による精神的な負担の大きさから、どうしてもご遺体の引き取りや葬儀を行うことが難しいケースも存在します。そのような場合にどのような選択肢があるのかを解説します。
引き取りが難しい場合、ご遺族は主に以下の2点を理解しておく必要があります。
- 親族であってもご遺体を引き取る法的な義務はないこと
- 引き取りを拒否した後は、自治体によって火葬され無縁仏となること
親族には遺体を引き取る法的な義務はない
結論から申し上げますと、ご家族やご親族であっても、ご遺体の引き取りを強制される法的な義務はありません。ご自身の生活の維持が困難な場合や、過去の経緯からどうしても関わることができないという事情は存在します。
警察から親族としての責任を問われ、強い口調で引き取りを打診されることもありますが、ご自身の生活や精神的な健康を守るためにどうしても無理な場合は、明確に「引き取りを拒否する」という意思を伝えることが可能です。その際、引き取り拒否に関する念書や同意書への署名を求められる場合があります。
引き取り拒否後は自治体によって火葬され無縁仏となる
ご遺族が正式に引き取りを拒否された場合、ご遺体は法律(行旅病人及行旅死亡人取扱法など)に基づき、お亡くなりになった場所の市区町村などの自治体が対応を引き継ぐことになります。
行政の費用負担によって最低限の火葬のみが行われ、遺骨は一定期間自治体で保管されます。その後も引き取り手がない場合は、最終的に無縁仏として合同のお墓などに納骨されるのが一般的な流れとなります。一度無縁仏として合祀されると、後から遺骨だけを取り出すことはできなくなるため、その点だけはご親族間で慎重に確認しておくことをおすすめします。
突然の訃報で後悔しないための葬儀社選びと安置場所の確保
警察署での検視が終わり引き渡し許可が出ると、すぐにご遺体を搬送しなければなりません。深く動揺している中で慌てて葬儀社を決めてしまい、後からトラブルになるケースも少なくないため、注意すべきポイントを整理します。
警察が紹介する葬儀社と自分で手配する葬儀社の違い
ご遺体の引き渡し時に搬送先や手配する葬儀社が決まっていないと、警察が提携している地元の葬儀社を紹介してくれることがあります。急場をしのぐには非常に助かりますが、紹介された葬儀社にそのままお葬式まで依頼しなければならない決まりはありません。
警察が紹介する葬儀社でそのまま葬儀を進めると、想定外の費用がかかったり、ご家族の希望するお別れのプランが選べなかったりすることがあります。まずは搬送と一時的な安置だけをお願いし、その後の葬儀や火葬については、落ち着いてから専門知識を持つ別の葬儀社に改めて相談するという選択肢も持っておきましょう。
自宅安置が難しい場合の専用安置施設の利用と直葬の選択
ご遺体を一時的にお連れする場所として、以前はご自宅が一般的でしたが、マンションの規約やご近所の目、または現場がご自宅であった場合の心理的な負担を考慮して、自宅安置を避けるご遺族が増えています。
その場合は、葬儀社が保有する専用の安置施設を利用することができます。24時間体制で受け入れてくれる施設を事前に探しておくと安心です。また、ご事情から人を呼んでのお葬式を控えたい場合は、儀式を行わず火葬のみを執り行う「直葬(火葬式)」という形式を選ぶことも可能です。ご家族の心の負担が最も軽くなる方法を選んで問題ありません。
自殺での遺体引き取りに関するよくある質問
ここでは、警察が介入するご遺体の引き取りに関して、ご遺族から多く寄せられる疑問について分かりやすくお答えします。
警察での検視や検案にはどれくらいの日数がかかりますか
状況によって大きく異なります。ご遺体の身元がすぐに判明し、明らかな証拠があり事件性がないことが確実な場合は、半日から1日程度で終わることもあります。しかし、身元確認に時間がかかったり、詳しい調査や解剖が必要と判断された場合は、数日から1週間ほどご遺体と対面できず待機となるケースもあります。
遺書がない場合でも引き取りの手続きや流れは同じですか
基本的な引き取りの流れは同じです。ただし、遺書がない場合は、警察が事件性の有無をより慎重に調べるため、ご家族への状況確認や聞き取り調査が長引いたり、検視に少し時間がかかったりする可能性があります。警察からの質問にはご負担も大きいかと存じますが、ありのままを落ち着いてお話しいただくことが大切です。
警察で預かられた遺品はいつ家族に返却されますか
現場にあったスマートフォンやお財布、身の回りの品などの遺品は、事件性の調査のために一時的に警察に預かられます。検視が終了し、事件性がないと判断されてご遺体の引き渡し許可が出たタイミングで、ご遺体と一緒にご遺族へ返却されるのが一般的な流れです。
自殺されたご家族の遺体引き取りに関するまとめ
最後に、この記事で解説した内容の重要なポイントを振り返ります。
自殺されたご家族のご遺体引き取りは、警察での検視・検案と死体検案書の交付を経て、ご遺族が葬儀社を手配して搬送するという流れになります。
突然の悲報に直面し、警察での対応や高額になりがちな費用の工面、そしてご遺体と向き合うお辛い状況を、ご遺族だけで抱え込む必要は決してありません。
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