死亡後の預金引き出しで葬儀費用は払える?凍結後の対策と注意点を解説

死亡後 葬儀 費用
監修
行政書士法人杉山事務所
所属行政書士会:大阪会 / 登録番号:22260069

大切なご家族が亡くなられた直後、悲しむ間もなく直面するのがお葬式の準備です。その際、まとまった現金が必要となりますが、亡くなった方の銀行口座から葬儀費用を準備できるのか不安に思う方は少なくありません。銀行は契約者の死亡を把握すると口座を凍結するため、お金を簡単に動かせなくなってしまいます。本記事では、口座凍結の前後で現金を準備する具体的な手順や、親族間のトラブルを防ぐための注意点、そして費用の負担を減らすための補助金制度について詳しく解説します。いざという時に慌てず、適切な対応をとるための参考にしてください。

目次

死亡後に故人の預金を引き出して葬儀費用に充てるための基本知識

ご家族が亡くなった際、その方が遺したお金をお葬式のために使いたいと考えるのはごく自然なことです。ここでは、お金を引き出す前に知っておくべき銀行の対応や、法律上の基本的な考え方について解説します。

銀行が死亡の事実を知ると口座は凍結される理由

銀行は、口座の名義人が亡くなった事実を知ると、その瞬間に口座を凍結します。これは、亡くなった方のお金が遺産分割の対象となる相続財産になるためです。もし凍結せずに誰でもお金を引き出せる状態にしておくと、一部の親族が勝手にお金を持ち出してしまい、他の親族との間で深刻なトラブルに発展する危険性があります。銀行側はこうした事態を防ぎ、財産を安全に守る義務があるため、入出金や引き落としが一切できない状態にするのです。

葬儀費用としての利用自体は法律上認められている

口座が凍結されると聞くと、故人のお金をお葬式に使ってはいけないのではないかと心配になるかもしれません。しかし、社会通念上妥当な範囲内であれば、故人の財産から葬儀費用を支払うこと自体は法律上も認められています。問題となるのは、使い道ではなく引き出し方のルールです。適切な手順を踏んで引き出し、用途を明確に証明できれば、後々大きな問題になることはありません。

銀行口座の凍結前に預金を引き出す際の手順と気をつけるべきリスク

銀行が死亡の事実を把握する前であれば、物理的にお金を引き出すことは可能です。しかし、この段階での引き出しには大きな責任が伴います。後々のトラブルを防ぐために守るべきポイントを解説します。

凍結前ならキャッシュカードによるATMからの引き出しは可能

役所に死亡届を提出したからといって、即座にすべての銀行に連絡がいくわけではありません。ご家族が銀行の窓口に直接亡くなった旨を伝えない限り、しばらくの間は口座が凍結されないことが一般的です。そのため、暗証番号を知っていれば、ATMから現金を引き出すこと自体は可能です。お葬式の支払いや当面の生活費など、どうしても現金が必要な場合にこの方法をとる方は多くいらっしゃいます。

他の相続人からの事前の同意を必ず得る

ATMで引き出せるからといって、自分一人の判断で勝手にお金を引き出すのは大変危険です。後になって他の親族から、自分の取り分を勝手に使い込んだのではないかと疑われ、遺産相続の争いに発展するケースが後を絶ちません。こうした事態を防ぐため、事前にお金を引き出す理由と金額を親族に説明し、全員からの同意を得ておくことが何より重要です。

引き出した現金は葬儀費用のみに使い領収書を保管する

引き出したお金は、お葬式に関連する支払いにのみ使用してください。残ったお金を自分の生活費など私的な用途に使うことは厳禁です。また、何にいくら使ったのかを第三者にも明確に証明できるよう、葬儀会社や寺院などから発行される領収書や明細書は、1枚残らず大切に保管しておきましょう。これにより、お金の使い道に関する疑念を晴らすことができます。

銀行口座の凍結後に葬儀費用を準備する預貯金の仮払い制度の活用

もし銀行口座が凍結されてしまった場合でも、一定の金額までならお金を引き出せる制度が存在します。ここでは、手続きの全体像と具体的な活用方法を解説します。

預貯金の仮払い制度を利用するための基本的な流れは以下の通りです。

  • 仮払い制度の対象となる上限額の計算
  • 金融機関へ提出する必要書類の収集
  • 銀行窓口での申請手続き

これらのステップについて、詳しく深掘りして解説していきます。

預貯金の仮払い制度の仕組みと引き出し上限額

預貯金の仮払い制度とは、遺産分割の話し合いが終わる前であっても、当面の生活費やお葬式の支払いなどのために、故人の口座から一定額を引き出せる仕組みです。ただし、引き出せる金額には上限が定められており、無制限に引き出せるわけではありません。

引き出し可能な上限額は、金融機関ごとに以下の計算式で求められる金額、または150万円のいずれか少ない方の金額となります。

$$ \text{預金残高} \times \frac{1}{3} \times \text{法定相続分} $$

たとえば、ある銀行に600万円の預金があり、申請者の法定相続分が2分の1の場合、計算上は100万円となります。この場合、150万円を下回っているため100万円が引き出し上限額となります。

仮払い制度の申請に必要な書類一覧

仮払い制度を利用するには、自分が正当な権利を持つ相続人であることを銀行に証明する必要があります。以下の表は、一般的に必要となる書類と取得先をまとめたものです。

必要な書類の名称取得先・準備方法備考
故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本本籍地の市区町村役場転籍している場合は複数の役場で取得が必要
相続人全員の戸籍謄本各相続人の本籍地の役場または法務局が発行する法定相続情報一覧図
申請する方の印鑑証明書お住まいの市区町村役場発行から3ヶ月〜6ヶ月以内のもの
申請する方の本人確認書類お手元にある運転免許証など写真付きの公的な身分証明書

銀行によって専用の申請書が用意されている場合もあるため、事前に窓口や電話で確認しておくと手続きがスムーズに進みます。

故人の預金から葬儀費用を支払う際に注意すべき相続放棄への影響

故人のお金をお葬式に使う場合、お金の引き出し方や使い方によっては、法的な不利益を被る可能性があります。特に故人に多額の借金がある場合は細心の注意が必要です。

相続放棄ができなくなる単純承認のリスク

相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産(借金など)もすべて引き継がないための法的な手続きです。もし、故人の預金を自分のために使ったり、財産を処分したりすると、法律上は相続を承認した(単純承認)とみなされ、後から借金が発覚しても相続放棄ができなくなってしまいます。借金が残されている可能性がある場合は、安易に故人のお金に手をつける前に専門家へ相談することが重要です。

豪華すぎる葬儀や私的な利用は絶対に避ける

葬儀費用として故人のお金を使うこと自体は単純承認にあたらないとされていますが、それはあくまで一般的な規模のお葬式である場合です。故人の財産状況に見合わない、身分不相応に豪華すぎるお葬式を行った場合や、お葬式の余ったお金を個人の生活費や遊興費に使ってしまった場合は、財産の処分とみなされて単純承認が成立してしまう恐れが高まります。

葬儀費用の負担を減らす公的補助の申請と相続税の控除

お葬式にはまとまったお金がかかりますが、国や自治体の制度を利用することで、経済的な負担を少しでも和らげることができます。ここでは、申請すればもらえるお金と、税金の負担を減らす方法を解説します。

国民健康保険や社会保険から支給される葬祭費と埋葬料

亡くなった方が加入していた健康保険の種類に応じて、お葬式の終了後に補助金を受け取ることができます。

  • 葬祭費(国民健康保険・後期高齢者医療制度)
  • 埋葬料・埋葬費(健康保険組合・協会けんぽ・共済組合など)

それぞれの制度について、詳しく見ていきましょう。

国民健康保険加入者が受け取れる葬祭費

自営業の方や年金受給者などが加入する国民健康保険、または後期高齢者医療制度に加入していた方が亡くなった場合、お葬式を行った喪主に対して葬祭費が支給されます。金額は自治体によって異なりますが、おおむね3万円から7万円程度です。お葬式が終わった後、市区町村の窓口で申請手続きを行います。

会社員などの社会保険加入者が受け取れる埋葬料

会社員などで社会保険(協会けんぽや健康保険組合など)に加入していた方が亡くなった場合は、埋葬料として一律5万円が支給されます。こちらは勤務先を管轄する年金事務所や健康保険組合に申請します。いずれの補助金も、自動的に振り込まれるわけではなく、期限内に自ら申請しなければ受け取れないため注意が必要です。

相続税の計算時に遺産総額から葬儀費用を差し引く方法

もし故人の遺産が多く、相続税の申告が必要になった場合、お葬式にかかった費用の一部を遺産の総額から差し引く(控除する)ことができます。これにより、支払うべき相続税の額を減らすことが可能です。控除の対象となるのは、お寺への読経料や戒名料、火葬代、葬儀会社への支払いなど、お葬式を行う上で必ず必要となる費用です。一方で、香典返しや初七日などの法要費用は控除の対象外となるため、領収書をしっかりと分けて保管しておきましょう。

死亡後の預金引き出しと葬儀費用に関するよくある質問

ここでは、これまでに寄せられたご相談の中から、特に多くの方が疑問に感じるポイントをピックアップして回答します。

複数の銀行に口座がある場合はそれぞれから引き出せますか?

はい、預貯金の仮払い制度は金融機関ごとに適用されます。そのため、A銀行とB銀行の両方に口座がある場合、それぞれの銀行に対して別々に申請を行い、各銀行の計算式の上限額(最大150万円ずつ)まで引き出すことが可能です。複数の口座を活用することで、高額な葬儀費用にも対応しやすくなります。

遺言書がある場合の手続きはどうなりますか?

法的に有効な遺言書が残されている場合、預貯金の払い戻し手続きは遺言書の内容に従って進められることになります。この場合、遺産分割協議を行う必要がなく、遺言によって財産を受け取る方が単独で口座の解約や引き出しの手続きを行えるケースが多くなります。ただし、遺言執行者が指定されているかどうかなどで銀行側の対応が変わるため、まずは遺言書のコピーを持って銀行窓口へ相談することが重要です。

まとめ

死亡後の預金引き出しは、口座凍結前後のルールを正しく理解し、適切な手続きを踏むことで葬儀費用に充てることが可能です。

ただし、親族間のトラブルや借金を背負う相続放棄のリスクを避けるためには、ご自身だけで判断せず、専門家の知見を交えて慎重に進めることが何より大切です。

ニコニコ終活は全国対応で、葬儀の手配から相続に関する不安まで、何度でも完全に無料でご相談いただけますので、お一人で悩まずにぜひお気軽にご連絡ください。

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