死後事務委任契約だけでは死亡届を出せない理由と3つの確実な対策

死後事務委任契約 死亡届を出せない
監修
行政書士法人杉山事務所
所属行政書士会:大阪会 / 登録番号:22260069
運営者
ニコニコ終活責任者 飯塚
ニコニコ終活(担当:飯塚)
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自分が亡くなった後の手続きを第三者に任せる死後事務委任契約を結んでいれば安心と考えている方は少なくありません。しかし実際に亡くなった際、受任者が単独で死亡届を提出できないケースがあることをご存知でしょうか。

戸籍法の規定により、届出人になれる人は厳格に決められているためです。この記事では終活の専門家が、死亡届をスムーズに提出するための具体的な解決策を分かりやすく解説します。

目次

死後事務委任契約の受任者が単独で死亡届を提出できない理由

死後事務委任契約は、亡くなった後の葬儀や納骨、行政手続きなどを代行してもらうための大切な契約ですが、決して万能ではありません。最初のハードルとなるのが死亡届の提出です。なぜ司法書士や行政書士といった専門家の受任者が単独で手続きできないのか、法律のルールを詳しく紐解いていきましょう。

戸籍法で定められた届出人の厳格な基準

人が亡くなった事実を公的な記録に残す手続きは、誰でも勝手に行えるものではありません。戸籍法という法律によって、死亡届の「届出人(書類に署名・捺印し、法的な責任を負う人)」になれる人物が細かく指定されています。

具体的には、同居している親族や、同居していない親族、または亡くなった場所が病院や施設であった場合の病院長や施設長などが対象となります。これは、人の死という極めて重大な事実を正確に国へ報告するため、身元がはっきりしていて責任を負える立場の人に限定しているからです。

専門家や第三者は法律上の届出人に含まれない問題点

上記の厳格なルールを踏まえると、生前にどれだけ固い約束を交わしていても、死後事務委任契約の「受任者」という立場だけでは、届出人として認められないことがわかります。

おひとりさまで老後を迎え、信頼できる専門家に死後のすべてを託したつもりでも、法律上は単なる「第三者」として扱われてしまいます。そのため、いざご逝去された際に、受任者がご自身の名前で死亡届の届出人欄に署名することができず、結果として火葬許可証の取得やその後の葬儀の手配がストップしてしまうという深刻な事態に陥る可能性があるのです。

死後事務委任契約とセットで備える死亡届の提出を確実に行う3つの解決策

専門家などの受任者が単独で死亡届の届出人になれないからといって、決して諦める必要はありません。ご自身の希望通りに死後の手続きをスムーズに進めるための具体的な対策が存在します。

死後事務委任契約 死亡届
  • 任意後見契約を同時に結んでおく
  • 受任者が使者として役所に死亡届を持参する
  • 病院長や介護施設長に届出人になってもらう

これら3つの方法について、具体的な仕組みや注意点を順番に詳しく解説していきます。

任意後見契約を同時に結んでおく方法

もっとも確実で、多くの終活専門家が推奨しているのが、死後事務委任契約と併せて「任意後見契約」を結んでおく方法です。

戸籍法では、親族や施設長などに加えて、「任意後見人」や「任意後見受任者」も死亡届の届出人になれると明確に定められています。つまり、死後事務を頼む相手と同時に任意後見の契約も結んでおけば、その専門家は法的に認められた届出人として、堂々とご自身の名前で死亡届に署名・提出ができるようになります。身寄りのない方にとっては、手続きの遅れを防ぐもっとも安心な選択肢と言えます。

受任者が使者として役所に死亡届を持参する方法

二つ目の解決策は、書類の作成責任者と、窓口への提出者を分けるという方法です。法律上制限されているのはあくまでも「届出人(署名する人)」であって、窓口に書類を持っていく人ではありません。

たとえば、遠方に住んでいるご親族がいる場合、その親族に届出人として署名・捺印だけをしてもらいます。そして、完成した死亡届を死後事務の受任者が「使者(お使いの役割)」として役所の窓口へ提出します。この方法なら、親族にわざわざ役所まで足を運ばせる負担をかけずに、受任者が速やかに手続きを進めることが可能です。

病院長や介護施設長に届出人になってもらう方法

最後は、亡くなった場所の責任者に協力を仰ぐ方法です。戸籍法では、病院や介護施設で亡くなった場合、その施設の「公設所の長(病院長や施設長)」が届出人になれると規定されています。

ご親族が全くいらっしゃらない方や、任意後見契約を結んでいない方の場合、病院長や施設長に届出人欄への署名をお願いし、受任者が「使者」として役所に提出するという流れをとります。ただし、すべての病院や施設が快く引き受けてくれるとは限らないため、生前に入院・入居する段階で、万が一の際の対応について施設側とよく相談しておくことが重要です。

死後事務委任契約と任意後見契約を組み合わせるメリットとデメリットの比較

死亡届の提出を確実に行うための最善策として挙げられる「死後事務委任契約と任意後見契約のセット契約」ですが、良い面ばかりではありません。ご自身の状況に合わせて正しい判断ができるよう、まずはメリットとデメリットの全体像を把握しておきましょう。

  • 生前の財産管理から死後の手続きまで途切れないサポートを受けられる(メリット)
  • 認知症などで判断能力が低下した際も安全に生活を守れる(メリット)
  • 二つの契約を結ぶため、公正証書の作成費用などの負担が増える(デメリット)
  • 制度が異なるため、手続きや専門家との打ち合わせの手間がかかる(デメリット)

ここからは、これらの利点や注意点、さらに単独契約との違いについて詳しく解説していきます。

組み合わせることで得られる具体的なメリットと安心感

二つの契約を組み合わせる最大のメリットは、元気なうちから亡くなった後まで、切れ目のない総合的なサポート体制が整うことです。

死後事務委任契約は、あくまで「亡くなった後」に効力が発生するものです。一方、任意後見契約は「生きている間(判断能力が低下した後)」の生活や財産を守るためのものです。これらをセットにしておくことで、万が一認知症になった際の施設入居手続きやお金の管理から、亡くなった直後の死亡届の提出、そして葬儀や納骨の準備まで、信頼できる一人の専門家にすべてを託すことができ、老後の不安を根本から解消できます。

契約前に知っておくべき費用や手間のデメリット

手厚いサポートが得られる反面、経済的な負担や手続きの手間が増えることはあらかじめ理解しておく必要があります。

どちらの契約も、確実性を担保するために「公正証書」という公的な文書で作成するのが一般的です。そのため、公証役場に支払う手数料や、専門家への依頼費用がそれぞれ発生します。また、任意後見制度は家庭裁判所が関与する厳格な制度であるため、制度の仕組みを理解するための打ち合わせや、書類集めなどの準備に時間と労力がかかります。

死後事務委任契約と任意後見契約の比較と役割の違い

単独で契約した場合と組み合わせて契約した場合の違いを、サポート期間や役割の観点から分かりやすく表に整理しました。ご自身にとってどこまでの備えが必要かを見極める参考にしてください。

項目死後事務委任契約(単独)任意後見契約とのセット契約
サポートが始まる時期亡くなった直後から判断能力が低下した時点から
生前の財産管理・契約できないできる(施設入居契約なども含む)
死亡届の届出人資格原則としてなれないなれる(戸籍法に基づく)
死後の葬儀・各種手続きできるできる(死後事務委任の効力により)
費用の目安契約一つ分の費用契約二つ分の費用(公正証書費用等も倍増)

死亡届や死後事務委任契約に関してよく寄せられる質問

おひとりさまで老後を迎える方や、ご家族と疎遠になっている方から、終活に関するさまざまなご不安の声が寄せられます。ここでは、身元保証や死後事務に関して特に多くいただく疑問にお答えします。

親族がいる場合でも専門家に手続きを依頼できますか

ご親族がいらっしゃる場合でも、長年の関係性からご迷惑をかけたくないとお考えの方や、ご親族が遠方やご高齢で動けないといった事情から、第三者である専門家に手続きをお願いしたいというケースは非常に多く、もちろん依頼可能です。

ただし、ご自身の死後に専門家とご親族の間でトラブル(遺骨の引き取りに関する意見の食い違いなど)が起きないよう、生前にご親族へ「自分の死後は専門家に任せてある」旨を伝えておくか、エンディングノートなどに書き残しておくことを強くおすすめします。

死亡の事実を知ってからいつまでに手続きが必要ですか

大切な方が亡くなった後は、心身ともに負担が大きい時期ですが、公的な手続きには厳格な期限が設けられています。

死亡届は、戸籍法により「死亡の事実を知った日から7日以内」に役所へ提出しなければならないと定められています。この期限を過ぎてしまうと、過料(罰金のようなもの)を科される恐れがあるほか、火葬許可証が発行されないため葬儀を進めることができません。だからこそ、事前に誰がどのように届出を行うのかを明確にしておくことが重要なのです。

まとめ

死後事務委任契約を結んでいても、受任者は単独で死亡届の届出人にはなれませんが、任意後見契約の併用や使者としての提出などの対策で解決可能です。

ご自身の状況に合わせた最適な生前対策を組み合わせることが、ご希望通りのスムーズな手続きとご自身の深い安心につながります。

ニコニコ終活は全国対応で、身元保証や死後事務に関するお悩みを何度でも完全に無料でご相談いただけますので、不安なことがあればぜひお気軽にお問い合わせください。

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