縁を切った親が死んだら葬儀や引き取りはどうする?法的な義務や対応策

縁を切った親死んだらどうする
監修
行政書士法人杉山事務所
所属行政書士会:大阪会 / 登録番号:22260069

親と縁を切っている場合、警察や役所から突然、親が亡くなったという連絡が来ることがあります。連絡が来ると、葬儀を行わなければいけないのか、遺体を引き取らなければいけないのか、激しい葛藤や不安に襲われることでしょう。長年関わりのなかった親だからこそ、どう対応すべきか悩むのは当然のことです。

この記事では、縁を切った親が亡くなった際の葬儀や遺体引き取りに関する法的義務、連絡が来たときの対処法、そしてトラブルを防ぐための手続きについて分かりやすく解説します。

目次

縁を切った親が死んだら葬儀や遺体の引き取りを行う法律上の義務はあるのか

遺体の引き取りや葬儀を執り行う法的な強制力はありません

  • 遺体の引き取りは義務ではなく権利であるため拒否が可能
  • 拒否された遺体は自治体が火葬・埋葬を行う
  • 葬儀費用や火葬費用を請求される可能性がある

遺体の引き取りは義務ではなく権利であるため拒否が可能

法律上、亡くなった親の遺体を引き取ることは義務ではなく権利とみなされます。どれだけ警察や自治体から強く要請されたとしても、拒否すること自体に罰則はありません。長年の確執や家庭環境の事情から、関わりを持ちたくない場合は、明確に引き取りを辞退する意思を伝えて問題ありません。警察や役所も、最終的には本人の意思を尊重せざるを得ないのが実情です。

拒否された遺体は自治体が火葬・埋葬を行う

親族全員が遺体の引き取りを拒否した場合、遺体は行旅病人及行旅死亡人取扱法や墓地、埋葬等に関する法律に基づき、亡くなった場所の自治体が火葬および埋葬(合葬など)を行います。身寄りのない方や引き取り手のない遺体と同じ扱いになり、自治体が一時的に費用を立て替えて事務的に処理を進めることになります。そのため、遺体がそのまま放置されるといった心配はありません。

葬儀費用や火葬費用を請求される可能性がある

自治体が火葬や埋葬を執り行った場合、その費用は亡くなった本人の遺産から支払われるか、扶養義務者である子どもや親族に対して請求されることがあります。民法上の扶養義務に基づき、役所から火葬にかかった実費の支払いを求められるケースがあるため、引き取りを拒否したからといって、金銭的な請求が完全に発生しないとは言い切れない点に注意が必要です。

ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:親の訃報を聞いて義務感だけで動く必要はありません。まずはご自身の心の平穏を最優先にし、法的に拒否ができるという事実を知ることで、落ち着いて次の行動を考えましょう。

縁を切った親の葬儀や引き取りを拒否する場合と対応する場合の選択肢と費用の違い

拒否する場合と対応する場合における手続きと発生する費用の比較

項目引き取りや葬儀を拒否する引き取って最低限の対応をする
主な対応内容警察や役所からの引き取り要請に対して辞退届を提出する。遺体を引き取り、直葬(火葬のみ)を行って供養する。
法的な義務なし(引き取りを強制されることはない)。引き取った後は、埋葬等を行う義務が生じる。
発生する費用原則無料(自治体から火葬実費の請求が届く可能性はある)。直葬費用(約15万〜30万円)や実費。
メリット関わりを一切断つことができ、精神的な負担を最小限に抑えられる。親族間でのトラブルを防ぎ、自分自身で最後を見届けたという区切りがつく。
デメリット他の親族へ引き取り要請が回り、親族間で不和が生じる恐れがある。費用負担が発生し、手続きや葬儀社とのやり取りに時間と手間がかかる。

ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:どちらの選択肢にも一長一短があります。ご自身の経済状況や、親族との関係性を踏まえて、最も後悔の少ない方法を選択することが大切です。

警察や役所から縁を切った親の訃報連絡が届いたときにとるべき3つの対処手順

突然の連絡に慌てず冷静に対処するための具体的なステップ

  1. 警察や役所からの連絡内容と親の状況を正確に確認する
  2. 引き取りや葬儀を辞退するか関わるかを慎重に判断する
  3. 辞退する場合は遺体引き取り拒否の意思を明確に伝える

警察や役所からの連絡内容と親の状況を正確に確認する

警察や役所から連絡があった際は、まずは冷静に相手の所属、氏名、連絡先をメモし、親がいつ、どこで、どのような状況で亡くなったのかを確認します。この時点ですぐに引き取りの可否を答える必要はありません。一度電話を切り、家族や専門家と相談するための時間を確保することが、後々のトラブルを防ぐために非常に重要です。

引き取りや葬儀を辞退するか関わるかを慎重に判断する

連絡を受けた後、親とのこれまでの関係や、葬儀を行う場合の費用、時間的余裕などを考慮して、関わるべきかどうかを総合的に判断します。他の兄弟姉妹や親族がいる場合は、独断で決めずに相談を取り、誰がどのように対応するかの意思決定を共有しておくことで、親族間の二次トラブルを防ぐことができます。

辞退する場合は遺体引き取り拒否の意思を明確に伝える

関わらないと決めた場合は、連絡をもらった警察署や役所の担当窓口に対して、引き取りを拒否する意思をはっきりと伝えます。曖昧な返答を引き延ばすと、引き取る意思があると誤解されて手続きが進んでしまうことがあります。必要に応じて親族関係や拒否の理由を簡単に説明し、書面での意思表示(辞退届など)を求められた場合は速やかに応じましょう。

ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:突然の電話で動揺してその場で引き受けを約束してしまわないよう、まずは一度電話を切り、冷静に考える時間を必ず作りましょう。

縁を切った親の遺産や借金を引き継がないための相続放棄手続きと注意点

遺体の引き取りを拒否しても相続権は残るため相続放棄が必要な理由

  • 遺体の引き取り拒否と相続放棄は全く別個の手続きである
  • 相続放棄には相続の開始を知ったときから3か月という期限がある
  • 親の遺品整理をしたり財産を処分したりすると放棄できなくなる

遺体の引き取り拒否と相続放棄は全く別個の手続きである

警察や役所に遺体の引き取りを拒否したからといって、法律上の相続権が自動的に消滅するわけではありません。親が多額の借金や未払いの税金などの負債を抱えていた場合、これらを引き継がないためには、家庭裁判所へ行って正式に相続放棄の手続きを完了させる必要があります。これを怠ると、後から借金の督促状が届く原因になります。

相続放棄には相続の開始を知ったときから3か月という期限がある

相続放棄の手続きは、自己のために相続の開始があったことを知ったとき(親の死亡を知った日など)から3か月以内に、家庭裁判所に申述しなければならないと民法で定められています。この期間を過ぎてしまうと、プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続することを承認したとみなされ、借金を背負うことになるため期限の厳守が必要です。

親の遺品整理をしたり財産を処分したりすると放棄できなくなる

親の家片付けや遺品整理を行ったり、親の口座からお金を引き出して葬儀費用以外に使用したりすると、財産を処分したとみなされ(単純承認)、相続放棄ができなくなるリスクがあります。親に借金がある可能性が少しでもあるならば、親の財産には一切手を触れず、早急に弁護士や司法書士などの専門家に相談して手続きを進めるのが賢明です。

ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:遺体引き取りを拒否しても、お金のトラブルを防ぐためには相続放棄の手続きが必須です。期限が3か月と短いため、速やかに行動を起こしましょう。

縁を切った親の葬儀や死後事務に関するよくある質問

親の遺体引き取りを拒否したら他の親族に迷惑がかかりますか?

子どもが遺体の引き取りを拒否した場合、役所は次に順位の高い親族(兄弟姉妹や叔父、叔母、甥、姪など)へと連絡を取ります。そのため、結果として他の親族に引き取りの要請が回り、連絡が届くことで驚かれたり、対応を迫られたりして関係が悪化する可能性はあります。不要なトラブルを避けるためにも、事前に親族間で連絡を取り合い、全員で引き取りを拒否する方針を一致させておくことが望ましいです。

葬儀は行わずに遺骨だけを引き取ることはできますか?

可能です。葬儀などの儀式を一切行わず、火葬のみを自治体や葬儀社に依頼し、その後に遺骨だけを受け取ることができます。これを直葬(ちょくそう)や火葬式と呼びます。費用や労力を最小限に抑えつつ、遺骨の供養だけは自分たちの手で行いたいという場合に選ばれる方法です。ただし、引き取った後の遺骨をどのように処分(納骨や散骨など)するかも考えておく必要があります。

絶縁した親の遺骨の引き取りを後から拒否することは可能ですか?

一度、役所や葬儀社から遺骨を受け取ってしまった場合、後から国や役所にその遺骨を返却したり、引き取りを取り消したりすることは制度上できません。受け取った遺骨は所有物とみなされるため、自分自身の手で寺院の合祀墓に納骨するか、散骨などの手続きを行う必要があります。後から後悔しないためにも、遺骨を引き取るかどうかは事前に慎重に決定してください。

ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:周囲の親族への影響や、引き取った後の遺骨の行方など、先々のことまで見据えた上で、関わり方を決めていきましょう。

まとめ

縁を切った親が亡くなった際、遺体の引き取りや葬儀を行う法律上の義務はなく、拒否することは十分に可能です。

しかし、引き取りを拒否しても相続権は残るため、借金を背負わないためには3か月以内に正式な相続放棄の手続きを家庭裁判所で行う必要があります。

ニコニコ終活は全国対応で、何度でも完全に無料で終活や相続、死後事務に関するご相談を承っておりますので、一人で悩まずにまずはお気軽にお問い合わせください。

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