監修
行政書士法人杉山事務所
所属行政書士会:大阪会 / 登録番号:22260069

大切なご家族を亡くされた直後、深い悲しみの中にありながらも、葬儀の準備と並行して進めなければならないのが死亡届の提出です。
役所への手続きと聞くと難しく感じてしまうかもしれませんが、死亡届は火葬や埋葬を行うために避けては通れない非常に重要な書類です。
書き方を間違えてしまうと受理されない場合もあり、余計な手間や不安が増えてしまうこともあります。
この記事では、死亡届の具体的な書き方や注意点、提出期限などの基本ルールを丁寧に分かりやすく解説します。
死亡届は、人が亡くなったことを公的に証明し、戸籍を抹消するための書類です。また、この手続きを行わなければ、火葬に必要な火葬許可証を取得することができません。まずは、いつまでに、どこへ、何を持っていくべきかという基本を押さえておきましょう。
死亡届の提出期限は、同居の親族などの届出人が死亡の事実を知った日から7日以内と法律で定められています。もし亡くなったのが国外であった場合は、その事実を知った日から3ヶ月以内となります。
この7日間という期間は、葬儀の準備などで慌ただしく過ごしているとあっという間に過ぎてしまいます。正当な理由なく期限を過ぎてしまうと、過料(罰金のようなもの)を科される可能性があるため注意が必要です。カレンダーを確認し、早めに対応することを心がけましょう。

提出先の自治体は、どこでも良いわけではありません。故人の本籍地、亡くなった場所(病院の所在地など)、または届出をする人の住所地のいずれかの市区町村役場に提出します。
例えば、東京に住んでいる方が旅行先の北海道で亡くなった場合、北海道の役場でも、本籍地の役場でも、届出人の自宅近くの役場でも受理されます。多くの場合、葬儀を行う場所の近くや、届出人の利便性が良い役場が選ばれます。夜間や休日でも宿直窓口で受け付けてくれる自治体がほとんどですので、事前に確認しておくと安心です。

死亡届は、通常A3サイズの用紙で、左側が死亡届、右側が死亡診断書(または死体検案書)という構成になっています。病院で亡くなった場合は医師が、それ以外の場合は警察や検視官が右側の診断書部分を記入した状態で渡してくれます。この用紙を受け取ることが、手続きのスタートラインです。
自分たちで用紙を白紙から用意する必要はありませんが、医師から受け取った際に、氏名や生年月日などの基本情報に誤字脱字がないか、その場で確認することが非常に重要です。
死亡届を役所に持参する際は、届出人の印鑑(認印で可、シャチハタなどのスタンプ印は不可)と、窓口に行く方の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)が必要です。
2021年の法改正により、死亡届への押印義務は廃止されましたが、記入ミスがあった際の訂正印として、あるいは他の関連手続き(火葬許可申請など)で必要になるケースが多いため、念のため持参するのがマナーであり実務的です。スムーズな手続きのために、忘れずに用意しておきましょう。

死亡届の提出は葬儀社が代行してくれることが一般的ですが、記入内容の責任は届出人にあります。必ず内容を確認してから預けるようにしましょう。
死亡届の左側、届出人が記入する欄について解説します。基本的には住民票や戸籍の通りに記載する必要がありますが、普段使い慣れない用語も多いため、一つひとつ確認しながら記入していきましょう。
故人の氏名は、戸籍に登録されている通りの漢字で記入します。最近では常用漢字を使うことが一般的ですが、古い戸籍などで旧字体が使われている場合は、できるだけその通りに記入するのが望ましいです。生年月日は、和暦(明治・大正・昭和・平成)で記入します。もし正確な漢字や生年月日が不安な場合は、手元にある保険証や住民票の写しなどを参照してください。生年月日が1日でもズレていると、役所のデータと照合できず受理されないため、慎重に記入しましょう。
死亡した日時と場所は、右側の医師が記入した死亡診断書の内容と一字一句違わないように転記します。日時は「午前・午後」を明確にし、場所は病院の住所や名称を正確に書きます。自分たちの記憶や感覚で書くのではなく、あくまで医師が証明した内容をそのまま写すのがルールです。ここが一致していないと、書類としての整合性が取れなくなり、窓口で訂正を求められる原因になります。
ここが最も間違いやすいポイントです。住所欄には、亡くなった時の住民票上の住所を記入します。一方、本籍地は、戸籍謄本の筆頭者とともに記載されている場所を記入します。住所と本籍地が全く同じという方もいれば、実家の住所に本籍を置いたままという方もいます。もし本籍地が分からない場合は、役所で本籍地記載の住民票を取得するか、親族に確認しましょう。本籍地の筆頭者は、その戸籍の1番目に記載されている人の名前を書きます。
届出人になれる人には優先順位があり、一般的には同居の親族、同居していない親族、同居者、家主・地主の順となります。届出人の欄には、署名をする本人の現在の住所と本籍地を記入します。ここでの署名は自筆が基本です。印鑑は任意となりましたが、前述の通り訂正印としての役割があるため、押印しておくのが無難です。届出人は必ずしも役所の窓口に行く人である必要はありませんが、書類上の責任者であることを理解しておきましょう。
故人が世帯主であった場合、その世帯に他に家族がいるときは、新しく世帯主を決める必要があります。死亡届には、故人と世帯主との続き柄(妻、子、など)を記入する欄があります。もし故人が一人暮らしだった場合は、その世帯は消滅することになります。世帯主の変更届(世帯主変更届)は死亡届とは別に、死亡から14日以内に行う必要がありますが、死亡届の提出時に併せて案内されることが多いので、窓口で確認してみてください。
ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:本籍地が分からないというご相談をよく受けますが、免許証のICチップ内に記録されていたり、住民票で確認したりできます。焦らず確認しましょう。
死亡届の用紙の右側は、医療機関や警察が記入する専門的なエリアです。ここが死亡診断書なのか、死体検案書なのかによって、その後の手続きや心理的な状況が変わってくることもあります。以下の表で主な違いを整理しました。
| 項目 | 死亡診断書 | 死体検案書 |
|---|---|---|
| 発行者 | 診療中の医師 | 警察が嘱託する医師(監察医など) |
| 発行の条件 | 病気などで通院中、または死因が明確な場合 | 事故死、突然死、自死など原因不明の場合 |
| 検視の有無 | なし | あり(警察による現場検証や確認が必要) |
| 発行費用 | 3,000円〜1万円程度(病院による) | 3万円〜10万円程度(地域や状況による) |
病院に入院中であったり、特定の持病で継続的に通院したりしている中で亡くなった場合は、主治医が死亡診断書を作成します。これは、医師が自らの診療管理下にある患者が、その病気が原因で亡くなったことを証明する書類です。この場合、手続きは非常にスムーズに進みます。老衰などで自宅で看取った際も、かかりつけ医がいれば死亡診断書を発行してもらえることが一般的です。
一方で、持病がないのに急死したり、事故に遭ったり、自宅で一人で亡くなっているのが見つかったりした場合は、警察が介入します。事件性の有無を確認するための検視(けんし)が行われ、その結果として発行されるのが死体検案書です。死体検案書の発行には時間がかかることがあり、また費用も死亡診断書より高額になる傾向があります。突然の出来事で動揺されているご遺族にとっては負担が大きいものですが、法的に必要なプロセスとして受け止める必要があります。
ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:検案書が必要なケースでは葬儀日程が組みにくいこともあります。まずは警察の判断を待ち、葬儀社と密に連絡を取りましょう。
死亡届の記入が終わったら、役所の窓口へ提出します。しかし、提出して終わりではありません。その後に続く重要なステップがあります。
死亡届を提出する際、ほとんどのケースで「火葬許可申請書」を同時に提出します。これを提出することで、役所から「火葬許可証」が発行されます。この許可証がないと、火葬場はご遺体を受け入れてくれません。火葬許可証は、火葬が終わると「埋葬許可証」として戻ってきます。これは将来、納骨する際に必ず必要になる非常に重要な書類ですので、紛失しないよう厳重に保管してください。
現在、多くのご家庭では葬儀社が死亡届の提出と火葬許可証の取得を代行してくれます。ご遺族は葬儀社から渡された書類(死亡届の左側)に記入・署名し、印鑑とともに預けるだけで済みます。大変便利なサービスですが、代行してもらう場合でも、必ず記入内容に間違いがないか、自分自身の目で最終確認を行ってください。また、火葬の日時や場所が確定していないと火葬許可申請ができないため、葬儀社との打ち合わせを先に済ませておく必要があります。代行手数料が葬儀費用に含まれているかどうかも、事前に確認しておくと安心です。
ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:役所の手続きを代行してもらうことで、ご遺族は故人様とのお別れに集中できます。信頼できる葬儀社に任せるのも一つの手です。
死亡届を書き間違えてしまった場合、修正液や修正テープは使用できません。間違えた箇所を二重線で消し、その上に届出人の印鑑で訂正印を押します。この際、使用する印鑑は届出人欄に押印したもの(または署名した人のもの)と同じである必要があります。自治体によっては、欄外に捨て印を押しておくことで、軽微な修正を窓口の職員が対応してくれることもあります。
7日間の期限を過ぎてしまったからといって、死亡届が受理されないわけではありません。しかし、遅延理由書を求められたり、簡易裁判所から過料を科されたりする可能性があります。葬儀社が介在している場合は遅れることはまずありませんが、ご自身で手続きを行う場合は、土日祝日も関係なくカウントされる点に注意して、早めに対応しましょう。
死亡届(死亡診断書)は役所に提出すると手元には戻ってきません。しかし、その後の年金手続き、生命保険の請求、銀行口座の解約などで「死亡診断書の写し」が必要になる場面が多々あります。役所で「死亡届受理証明書」を発行してもらうこともできますが、1通ごとに費用がかかります。提出する前に、コンビニなどで必ず数枚(5〜10枚程度)コピーを取っておくことを強くおすすめします。スマートフォンの写真で残しておくのも良いでしょう。
死亡届の書き方は、医師が記入した死亡診断書の内容を正確に転記し、故人の住民票や戸籍に基づいた情報を正しく記載することが最も重要です。
大切な方を亡くされたばかりの時期に、これほど細かな書類作成を行うのは精神的にも大きな負担となりますが、一歩ずつ進めていくことが故人様を送り出す大切な儀式の一部でもあります。
ニコニコ終活は、死亡届の手続きはもちろん、その後に続く相続や遺品整理、死後事務委任など、終活に関するあらゆるお悩みに全国対応で、何度でも完全に無料で相談に乗っております。一人で抱え込まず、まずは私たちプロのアドバイザーにご相談ください。

