成年後見制度は廃止される?2026年法改正の重要ポイントと今後の対策

成年後見制度そのものが完全になくなるわけではなく、一度始めると途中でやめられない終身制などの使いにくい部分が見直されるというのが正しい解釈です。2026年の法改正により、必要な時に必要な期間だけ利用できる柔軟な仕組みへと生まれ変わります。
ニコニコ終活の無料相談でも親の財産管理に関するお悩みを伺いますが、毎月の専門家報酬が一生続く負担から制度利用をためらうご家族の声を耳にします。今回の改正は、こうした費用面や精神的なハードルを大きく下げる内容です。
ただし新しいルールの運用開始は2028年頃の見込みであり、口座凍結の解除や実家売却など今すぐ対応が必要な場合は現行制度を使わざるを得ません。状況に応じて弁護士などの専門家に法的な判断を仰ぐことも大切です。
本記事では法改正で制度がどう変わるのかという重要ポイントを中心に、ご家族が今すぐ動くべきか新制度を待つべきかの判断基準を分かりやすく解説します。
成年後見制度は廃止されない?2026年法改正による3つの大きな見直し
テレビのニュースなどで成年後見制度の廃止という言葉を耳にして、驚かれた方も多いかもしれません。実際には制度そのものが消滅するのではなく、長年批判されてきた使い勝手の悪さが抜本的に見直されます。ここでは、国会で成立した法改正案における3つの重要な変更点について詳しく見ていきましょう。
今回の法改正で焦点となっているのは、以下の3つのポイントです。
- 途中でやめられない終身制の廃止
- 後見と保佐の類型を廃止して補助へ一本化
- 専門家へ支払い続ける定額報酬制の見直し

途中でやめられない終身制の廃止
現行の仕組みにおいてご家族が最も利用をためらう要因が、この終身制の存在でした。これまでは、親の介護費用を作るために実家を売却したいという単発の目的で制度を利用した場合でも、実家の売却完了後に後見人を辞めさせることができませんでした。一度申し立てを行うと、本人の判断能力が奇跡的に回復しない限り、亡くなるまで制度が続き、他人が財産を管理し続ける状態となります。
改正後は、不動産の売却や遺産分割協議といった特定の目的が完了した時点で、途中で利用を終了できるようになります。必要な期間だけスポットで利用できるようになるため、ご家族の精神的な抵抗感は大きく軽減されるはずです。
後見と保佐の類型を廃止して補助へ一本化
現在の仕組みでは、本人の判断能力の低下具合に応じて、後見、保佐、補助という3つの類型に機械的に分けられていました。もっとも重度な後見に分類されると、本人の印鑑証明書が発行できなくなったり、選挙権に関する議論が生じたりと、本人の権利が大きく制限される課題がありました。
法改正によって、権利の制約が大きすぎた後見と保佐という分類は廃止され、本人の意思決定を尊重できる補助という形に一本化されます。これにより、本人ができることは本人が行い、どうしても支援が必要な部分だけをサポートするという、ニーズに合わせたオーダーメイド型の支援が可能になります。
専門家へ支払い続ける定額報酬制の見直し
ご家族にとって深刻な問題だったのが、専門家への報酬という経済的な負担です。弁護士や司法書士といった専門職が成年後見人に就任すると、財産の額に応じて月額2万円から6万円程度の報酬が発生し、それが本人が亡くなるまで毎月かかり続けていました。仮に10年間続けば数百万円という莫大な出費になります。
改正後は、利用期間が限定的になることに加え、実際に行った作業内容に応じた報酬体系へと見直される予定です。何も特別な作業をしていない月まで高い固定費を払い続けるという理不尽な状況が解消され、ご家族の費用負担は大幅に抑えられることになります。
現行の成年後見制度と新制度の違いをわかりやすく比較
これまでの現行制度と法改正後の新しい制度では、具体的に何がどう変わるのでしょうか。それぞれの違いをひと目で把握し、ご自身のケースにどう影響するのかを理解していただけるよう、重要なポイントを表にまとめて比較しました。
制度変更に伴う主な比較表
| 比較項目 | 現行制度(現在) | 新制度(改正後) |
| 利用期間 | 原則として本人が亡くなるまで一生涯続く(終身制) | 目的が完了すれば途中で終了可能 |
| 類型の分類 | 判断能力に応じて後見・保佐・補助の3類型 | 権利制限の少ない補助に一本化 |
| 専門家の報酬 | 財産額に応じて月額2万〜6万円程度が一生続く | 作業内容に応じた報酬体系に変更 |
| 支援の柔軟性 | 画一的で本人の権利が大きく制限される | オーダーメイド型で本人の意思を尊重 |
| 家族の負担感 | 費用面・精神面ともに非常に重い | 必要な時だけ使えるため負担が軽い |
新制度に移行することで得られる家族のメリット
この比較表からわかる通り、新制度へ移行することの最大のメリットは、無駄な出費と精神的な縛りから解放されることです。例えば、親の銀行口座が認知症により凍結されてしまった場合、お金を引き出す手続きさえ完了すれば、その後は家族で見守っていくという選択が可能になります。
制度がより身近で使いやすいものになることで、認知症の親を抱えるご家族が一人で抱え込まず、適切な法的手続きを踏みやすくなるという社会的意義も含まれています。
法改正された新しい成年後見制度はいつからスタートするのか
制度がここまで使いやすくなるのであれば、新制度が始まってから利用したいと考えるのは自然なことです。ここでは、法改正案が成立してから実際に私たちが利用できるようになるまでのスケジュールについて解説します。
2028年中の運用開始に向けて準備が進行中
新しい仕組みの法案はすでに国会で可決・成立していますが、明日からすぐに使えるわけではありません。裁判所や全国の自治体が、新しいルールに合わせたシステムの改修や実務マニュアルの作成を行う必要があるからです。
法律上、施行日は成立から2年6カ月以内と定められているため、実際の運用がスタートするのは2028年中になる見込みです。現在親の判断能力に不安があるご家族は、この2028年というタイムリミットを念頭に置きながら、今後の財産管理の計画を立てていく必要があります。
今すぐ成年後見制度を利用すべき緊急ケースと今後の対策
新制度のスタートを待つのが理想的ですが、ご家族の状況によっては2028年まで待てない深刻なケースも存在します。ここでは、現行制度を利用してでもすぐに対策を打つべき緊急事態と、その際の判断基準について確認していきます。
制度の利用を先延ばしにできない主なケースは以下の通りです。
- 判断能力が低下して実家などの不動産をすぐに売却したい場合
- 銀行口座が凍結されて生活費や施設費用が引き出せない場合
- 悪質な詐欺被害などに遭い、親の財産を保護する必要がある場合
判断能力が低下して実家などの不動産をすぐに売却したい場合
親が老人ホームなどの介護施設に入居するため、誰も住まなくなる実家を売却して入居資金に充てたいというケースは非常に多く見られます。不動産の売買契約には本人の明確な意思確認が必要ですが、認知症が進行してしまうと契約行為そのものが無効になってしまいます。
売却を急ぐ理由がある場合、2028年の新制度を待っている間に本人の判断能力が完全に失われ、施設費用が工面できなくなるリスクがあります。このようなケースでは、使い勝手が悪くても現行制度を利用して、速やかに売却手続きを進めることが求められます。
銀行口座が凍結されて生活費や施設費用が引き出せない場合
金融機関は、口座名義人が認知症であると判断した場合、財産を保護する目的で口座を凍結することがあります。一度凍結されると、親の年金を引き出すことも、定期預金を解約して病院代を支払うこともできなくなります。
ご家族が生活費や医療費を立て替えるのにも限界があるため、日々の生活が行き詰まる前に現行制度での申し立てを行う必要があります。生活の根幹に関わる問題ですので、新制度を待つという選択肢を取るのは極めて困難だと言えます。
悪質な詐欺被害などに遭い親の財産を保護する必要がある場合
親が訪問販売などで高額な商品を次々と買わされたり、詐欺被害に遭ったりしている場合、早急に財産を管理・保護しなければ老後の資金が底をついてしまいます。このような財産保全の緊急性が高いケースも、すぐに現行制度を活用して後見人をつけるべき状況です。
どのケースにおいても、ご家族だけで判断せず、弁護士や司法書士などの専門家に現状を相談し、法的に今すぐ動くべきかどうかの助言を受けることが解決への第一歩となります。
成年後見制度の廃止や見直しに関するよくある質問
制度の抜本的な見直しが報道されて以降、多くの方から今後の対応についての疑問の声が寄せられています。ここでは、新制度への移行に関するよくある質問とその回答をまとめました。
過去に現行制度で成年後見人をつけた場合も新制度へ移行できますか
すでに現行制度を利用しており、毎月専門家に報酬を支払っている方にとって、新制度のルールが適用されるのかどうかは重大な関心事だと思います。
現状では、すでに後見人がついているケースに対してどのような移行措置が取られるかは、細かいルール(政省令など)が完全に固まっていないため確定していません。しかし、法の下の平等の観点から、既存の利用者に対しても特定の目的が完了した時点での終了を認めるなど、何らかの救済・移行手続きが用意される可能性が高いと考えられています。詳細な情報が発表されるまで、焦らず最新の情報を確認するようにしてください。
法定後見制度ではなく任意後見制度を利用したほうが良いのでしょうか
成年後見制度には、判断能力が低下した後に利用する法定後見制度(今回の法改正の対象)と、まだ元気なうちに将来の代理人を自分で決めておく任意後見制度の2種類があります。
もし親御さんが現在も元気で意思疎通がしっかりと取れるのであれば、任意後見制度や家族信託といった生前対策を今のうちに行っておくことを強くお勧めします。事前に対策をしておけば、そもそも使い勝手の悪かった法定後見制度を利用するリスクを大幅に減らすことができます。元気なうちに行動することが、ご家族の負担を減らす最大のカギとなります。
成年後見制度の廃止に関するまとめ
本記事の内容を簡潔に整理し、今後の対策に向けたポイントをお伝えします。
成年後見制度は廃止されるのではなく、使い勝手の悪かった終身制などの仕組みが見直され、必要な時に必要な期間だけ使える柔軟で負担の少ない制度へと生まれ変わります。
新制度の開始は2028年頃の見込みですが、口座凍結や不動産売却といった緊急事態では新制度を待たずに現行制度を利用する必要があるため、状況を見極めて専門家の意見を仰ぐことが非常に重要です。
ニコニコ終活は全国対応で、ご家族の状況に合わせた最適な財産管理の対策や今後の見通しについて、何度でも完全に無料でご相談いただけますので、少しでも不安を感じたらお気軽にご連絡ください。