亡くなった人の年金手続きは3つ!期限や未支給年金の請求方法を解説
ご家族が息を引き取られた後の年金手続きは、受給停止、未支給年金の請求、遺族年金の請求という3つが基本となります。特に受給停止は死亡から10日または14日以内と期限が短く、早急な対応が必要です。
手続きが遅れて年金を多く受け取ると後日返還を求められるほか、未支給年金の受取人を巡って親族間でトラブルになるケースもあります。マイナンバーが年金情報と紐づいている場合は手続きを一部省略できる場合もありますが、状況に応じた確認が欠かせません。
ニコニコ終活の相談窓口でも、悲しみの中で複雑な役所の手続きをどこから始めればよいか分からないというお悩みを伺います。専門家の視点も交えて状況を整理することで、ご家族の精神的、体力的な負担は大きく軽減できます。
この記事では、亡くなられた方の年金手続きにおける具体的な期限、未支給年金を受け取る優先順位、必要書類の準備方法から揉めやすいポイントまでを順序立てて解説します。
亡くなった人の年金手続きで優先すべき3つの基本と期限
年金を受給していたご家族が亡くなられた場合、残されたご遺族が行うべき手続きは大きく分けて3種類存在します。それぞれの目的に応じて期限や提出先が全く異なるため、まずは全体像をしっかりと把握しておくことが円滑に手続きを進めるための第一歩となります。
- 年金の支給を直ちに止めるための受給停止手続き
- 亡くなった月までの未受取分を受け取る未支給年金の請求
- 残されたご家族の今後の生活を支える遺族年金などの請求
早急に行う受給権者死亡届の提出とマイナンバーによる省略
最も急がなければならないのが、国からの年金支給を止めるための手続きです。ご遺族が速やかに年金事務所や市区町村の窓口へ赴き、年金受給権者死亡届という書類を提出する必要があります。
国民年金は亡くなってから14日以内、厚生年金は10日以内と厳格な期限が定められています。年金は死亡した月分まで支給されますが、手続きが遅れて死亡した翌月以降の分までご本人の口座に振り込まれてしまうと、後日一括で返還しなければならないため注意が必要です。
ただし、亡くなられた方の年金記録にマイナンバーが正しく登録されている場合は、国と自治体のシステム連携により、原則として死亡届の提出手続きを省略することができます。ご家族がマイナンバーの連携状況を把握していないことも多いため、ご不安な場合は、事前にお近くの年金事務所へ電話等で状況を確認しておくと安心です。
亡くなった月までの未支給年金を請求する手順
日本の年金制度は偶数月の15日に、その前月までの2ヶ月分が後払いで振り込まれる仕組みとなっています。そのため、亡くなったタイミングに関わらず、必ずと言っていいほど受け取っていない年金が発生します。
亡くなった月までの未支給分については、亡くなった方と生計を同じくしていたご遺族が未支給年金として請求し、受け取ることができます。請求できるご遺族には法律で明確な優先順位が定められており、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹という順番になります。
請求の期限は亡くなった日の翌日から5年以内と比較的余裕はありますが、時間が経つと当時の生活状況を証明する書類を集めるのが難しくなることもあるため、忘れないうちに受給停止の手続きと一緒に済ませておくのが一般的です。
残された家族の生活保障となる遺族年金の請求
亡くなられた方が一家の大黒柱であった場合など、残されたご家族のその後の生活を経済的に支えるために支給されるのが遺族年金です。
遺族年金には大きく分けて遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があり、亡くなった方の年金への加入状況や納付実績、そして生計を維持されていたご家族の年齢などの要件によって、受け取れる種類と金額が決定します。こちらの請求期限も死亡から5年以内と定められています。
ご家庭の状況や、残されたご家族ご自身の年金加入状況によって、最も有利な受け取り方や支給される金額が大きく変わるため、ご自身で判断せず年金事務所の窓口で詳しくシミュレーションを依頼することを強くお勧めします。
年金の種類別に見る亡くなった人の年金手続きの流れと必要書類
亡くなられた方が生前に加入していた年金の種類が国民年金のみなのか、それとも会社員として厚生年金にも加入していたかによって、手続きを行うべき窓口が異なります。ここでは種類別の窓口と準備すべき書類について整理します。
| 亡くなった方の年金種類 | 手続きを行う主な窓口 | 受給停止の期限 |
| 国民年金のみ | 市区町村役場の国民年金窓口 または 年金事務所 | 死亡日から14日以内 |
| 厚生年金を含む | 年金事務所 または 街角の年金相談センター | 死亡日から10日以内 |
国民年金のみを受給していた方の手続き手順
自営業を営んでいた方やフリーランス、専業主婦の方など、国民年金(基礎年金)のみを受け取っていた場合の手続きについて解説します。
主な提出先は、お住まいの市区町村役場に設置されている国民年金の窓口、またはお近くの年金事務所となります。期限は14日以内です。市区町村の窓口を利用すれば、世帯主の変更届や国民健康保険の資格喪失手続き、介護保険証の返納など、亡くなった後に必要となる他の行政手続きと一括して進めやすいという大きなメリットがあります。役所へ行く際は、一度で手続きが終わるよう関連する書類をまとめて持参しましょう。
厚生年金を受給していた方の手続き手順
会社勤めをしていた方や公務員として働いていた方など、厚生年金を受け取っていた場合の手続きについて解説します。
提出先は年金事務所、または街角の年金相談センターとなります。市区町村役場の窓口では手続きが完結しないことが多いため注意が必要です。また、期限が10日以内と国民年金よりも短く設定されているため、お葬式直後の慌ただしい時期ではありますが迅速な対応が求められます。厚生年金に加入していた場合は遺族厚生年金の対象となる可能性が高いため、未支給年金の請求とあわせて窓口で専門の職員に直接相談しながら手続きを進めるのが最も確実な方法です。
年金手続きに必要な共通書類と準備のポイント
年金に関する各種請求や受給停止の届け出を行うにあたり、あらかじめ準備しておくべき公的な書類がいくつか存在します。何度も役所や年金事務所へ足を運ぶ手間を省くためにも、事前に必要書類を把握しておきましょう。
- 亡くなった方の年金証書
- 亡くなった方と請求するご遺族の関係がわかる戸籍謄本
- 亡くなった方と請求するご遺族の世帯全員の住民票の写し
- 請求するご遺族名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 亡くなった事実がわかる書類のコピー(死亡診断書など)
特に住民票や戸籍謄本は、亡くなった方とご遺族が生計を同じくしていたことを客観的に証明するために極めて重要な書類となります。死亡診断書のコピーが求められることも多いため、医師から原本を受け取って市役所に提出してしまう前に、必ず複数枚のコピーをとって手元に残しておくことを強くお勧めします。
亡くなった人の年金手続きで家族が揉めやすい注意点とトラブル対策
お金が絡む年金の手続きは、たとえ日頃は仲の良いご親族間であっても、認識の違いから思わぬトラブルや感情の対立に発展してしまうことがあります。ここでは事前に対策しておきたい、手続き上の注意点について解説します。
未支給年金の受け取り優先順位による親族間の意見の食い違い
未支給年金は、法律によって受け取れるご遺族の優先順位が厳格に決められており、遺言書等で本人が自由に受取人を指定することはできません。このルールが親族間での誤解を生む最大の原因となります。
例えば、長年別居して疎遠だった配偶者と、ずっと献身的に介護をして同居していた子どもがいる場合、法律上の優先順位は配偶者が上になります。介護の負担割合などに関わらずこの順位が優先されるため、不公平感から言い争いになるケースが後を絶ちません。
また、未支給年金は相続財産ではなく、受け取った遺族の一時所得として扱われるため、遺産分割協議の対象にはなりません。生計を同じくしていたという条件を満たしているかの判断が難しい場合もあるため、迷ったときはご親族同士で直接話し合う前に、年金事務所や終活の専門家に事実確認と助言を求めることがトラブル回避の鍵となります。
年金の過払いが発生した場合の返還義務と対処法
死亡届の提出が遅れてしまったり、マイナンバーの連携による自動停止が間に合わなかったりした結果、亡くなった後の期間に相当する年金が故人の口座に振り込まれてしまうことがあります。
これを年金の過払い受給と呼びます。亡くなった後の年金を受け取る権利は誰にもないため、後日、日本年金機構からご遺族宛てに返還を求める通知書と納付書が届きます。すでに口座から引き出して葬儀費用などに使ってしまっていた場合でも返還義務は免れないため、予期せぬ大きな出費となりご遺族のその後の生活を圧迫しかねません。
さらに、悪意を持って死亡の事実を隠し年金を受け取り続けた場合は、詐欺罪に問われる可能性もあります。このような事態を防ぐためにも、とにかく受給停止の手続きだけは何よりも真っ先に行うよう心がけてください。
亡くなった人の年金手続きに関するよくある質問
ご家族が亡くなられた際の複雑な年金手続きに関して、ニコニコ終活の窓口にもよく寄せられる疑問とその具体的な回答をまとめました。
亡くなった人が年金を一度も受け取っていない場合はどうなりますか
国民年金の保険料を長年真面目に納めていたにもかかわらず、年金を受け取る年齢に達する前に亡くなられた場合、条件を満たしていればご遺族が死亡一時金を受け取れる制度があります。
また、自営業の夫を亡くした妻に対して支給される寡婦年金という制度の対象になる場合もあるため、支払った保険料がすべて掛け捨てになってしまうとは限りません。亡くなられた方の年金手帳を持参し、年金事務所でこれまでの加入履歴と受給の可能性をしっかり確認してもらいましょう。
死亡一時金と寡婦年金の違いは何ですか
どちらも国民年金独自の制度ですが、支給される条件と受け取り方が異なります。死亡一時金は、保険料を3年以上納めた方が年金を受け取らずに亡くなった場合、ご遺族に一時金として1回だけ支払われるものです。
一方、寡婦年金は、保険料を10年以上納めた夫が年金を受け取らずに亡くなった場合、婚姻期間が10年以上ある妻に対して、60歳から65歳までの間、継続して年金として支払われるものです。なお、両方の条件を満たしている場合は、ご遺族の状況に合わせてどちらか一方を選択して受け取ることになります。
手続きを忘れて期限を過ぎてしまった場合はどうすればよいですか
悲しみや葬儀後の忙しさから、受給停止手続きの10日または14日という期限をうっかり過ぎてしまった場合でも、気付いた時点ですぐに対応をとることが最も重要です。
期限を過ぎてしまったからといって放置するのではなく、直ちに年金事務所または市区町村の窓口へ連絡し、死亡届の提出手続きを行ってください。遅れれば遅れるほど過払い金が発生し、後で一括返還する際のご家族の経済的負担が大きくなります。未支給年金や遺族年金の請求に関しては5年の猶予があるため、まずは何をおいても支給を止める手続きを最優先で進めましょう。