換価分割する遺言書の書き方と具体的な文例|不動産売却の相続トラブルを防ぐポイント

換価分割 遺言書 書き方
監修
行政書士法人杉山事務所
所属行政書士会:大阪会 / 登録番号:22260069
運営者
ニコニコ終活責任者 飯塚
ニコニコ終活(担当:飯塚)
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不動産などの財産を売却して現金で分ける換価分割を遺言書に残す際は、財産を売却して換価すること、売却代金から諸経費や税金を差し引くこと、残金を誰にどの割合で分けるかの3点を明記し、手続きを主導する遺言執行者を指定することが最も確実な書き方です。

これら必要な記載が漏れていたり費用の精算ルールが不明確なままであると、残された親族間で不動産手続きの押し付け合いが起きたり、仲介手数料や解体費用の負担をめぐる揉め事に発展するリスクが伴います。

ニコニコ終活にご相談いただくなかでも、誰も住まなくなる予定の実家をどう処分すべきか、子どもたちに金銭的・心理的な負担をかけたくないという親御さんからの切実なお悩みをお伺いします。売却から分配までの道筋を正しく遺言に記しておくことが、ご家族の今後の安心に直結します。

遺言書にどのような文言を記載すればスムーズに不動産の売却と現金の分配が進むのか、実際の作成に役立つ具体的な文例とともに、無効にならないための必須事項や注意点を順を追ってお伝えします。

目次

換価分割を指定する遺言書の書き方と具体的な標準文例

換価分割の遺言書(いわゆる清算型遺贈)を作成する際は、法律に則った正しい書き方で記載しなければ、死後に不動産の売却手続きがストップしてしまう恐れがあります。まずは遺言書に不可欠な要素と、具体的な文例について詳しく解説します。

換価分割の遺言書に記載すべき3つの必須項目

遺言書に換価分割の意向を残す場合、単に実家を売って分けてほしいと書くだけでは不十分です。手続きを担う方が迷わず実行できるよう、以下の3つの項目を必ず記載してください。

  1. 不動産などの財産を売却(換価)して現金化すること
  2. 売却にかかる諸経費や税金を売却代金から差し引くこと
  3. すべての経費を引いた後の残額を、誰にどの割合で分けるか明記すること

これらの項目がなぜ必要なのか、それぞれ具体的に深掘りして解説します。

不動産などの財産を売却して換価すること

どの不動産を売却するのかを特定し、それを現金化するという意思を明確にする必要があります。財産の特定が曖昧だと法務局での登記手続きができず、売却の前提となる相続登記の段階でつまずく原因になります。対象となる土地や建物を誰の目にも明らかにするための記述が求められます。

売却代金から諸経費や税金を差し引くこと

不動産の売却には、不動産会社への仲介手数料、測量費、場合によっては家財の処分費用や建物の解体費用など、多額の経費がかかります。また、譲渡所得税などの税金が発生することもあります。これらを売却代金から控除(精算)する旨を遺言に明記しておかないと、一時的に費用を立て替えた相続人が他の親族から支払いを拒否され、トラブルになるケースが多発します。

残金を誰にどの割合で分配するか明記すること

経費を差し引いて残った純粋な現金を、どの相続人にどのような割合で渡すのかを明確にします。長男に2分の1、次男に2分の1といったように、合計が必ず1(100%)になるよう正確な分数や割合で記載します。特定の人物にのみ多く残したい場合も、ここで割合を調整することが可能です。

自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらでも使える文例

ご自身で手書きする自筆証書遺言を作成する場合や、公証役場で公正証書遺言を作成する際の原案としてそのまま活用できる、標準的な換価分割の文例をご紹介します。

【遺言書の記載例(抜粋)】

換価分割に関する遺言書文例_A4

このように、売却の対象、費用の精算ルール、分配割合、そしてそれを実行する人物(遺言執行者)の権限をセットで記載することが、円滑な換価分割の絶対条件となります。

換価分割の遺言書を作成する際の重要ポイントと注意点

換価分割は現金を公平に分けられる優れた方法ですが、不動産取引という複雑な手続きを伴うため、書き方や進め方にいくつか注意すべき点があります。ここでは、遺言書作成時に絶対に押さえておくべきポイントを解説します。

手続きを主導する遺言執行者の指定が不可欠な理由

換価分割の遺言書においては、遺言執行者の指定が最も重要と言っても過言ではありません。遺言執行者とは、亡くなった方に代わって遺言の内容を実現する権限を持つ人物のことです。

  • 遺言執行者がいない場合の手間
    • 遺言執行者を指定していないと、不動産の売却手続き(買主との売買契約や登記手続きなど)を相続人全員で協力して行う必要が生じます。一人でも非協力的な相続人がいたり、遠方に住んでいて書類のやり取りに時間がかかったりすると、売却のタイミングを逃してしまいます。
  • 権限の集中によるスムーズな売却
    • 遺言の第2条の文例で示したように、遺言執行者に売却に関する一切の権限を与えておけば、その人物が単独で不動産会社とのやり取りや売買契約を進めることができます。複雑な手続きを一本化し、残された家族の負担を劇的に減らすことができるのです。

不動産情報は登記簿謄本を確認し正確に記載する

遺言書に記載する不動産の情報は、普段使っている住所(住居表示)ではなく、法務局で管理されている登記事項証明書(登記簿謄本)の通りに記載する必要があります。

住所と登記上の地番は異なっていることが多く、不正確な記載をしてしまうと、法務局で「対象となる不動産が特定できない」と判断され、名義変更の手続きを受け付けてもらえないリスクがあります。必ず最新の登記簿謄本を取得し、一言一句間違えないように転記してください。

親族間のトラブルを防ぐために形式の確実性を重視する

自筆証書遺言は手軽に作成できる反面、全文を手書きしなければならないというルールや、日付・署名・押印の不備で無効になってしまうリスクが常に付きまといます。換価分割のように内容が複雑で、多額のお金が動く遺言の場合は特に注意が必要です。

形式の不安をなくし、確実に換価分割を実行させたい場合は、公証役場で作成する公正証書遺言を強く推奨します。公証人という法律の専門家が関与するため無効になるリスクがなく、遺言書の紛失や改ざんの心配もありません。

換価分割と代償分割や現物分割との違いとメリット比較

不動産を相続する際の分け方には、換価分割のほかにもいくつかの方法があります。それぞれの特徴や違いを理解しておくことで、ご自身の状況に換価分割が本当に適しているかを確認できます。各分割方法の違いについて解説します。

相続における3つの主要な分割方法の特徴と比較

遺産を分ける代表的な方法である「換価分割」「代償分割」「現物分割」の3つについて、その違いを表で分かりやすく比較します。

分割方法特徴と仕組み現金化の有無手続きの手間おすすめなケース
換価分割不動産を売却し、諸経費を引いた後の現金を割合に応じて分ける方法あり大きい(売却手続きが必要)誰も家に住む予定がなく、現金を公平に分けたい場合
代償分割一人が不動産を相続し、他の相続人に代償金(現金)を自身の財布から支払う方法なし中程度(評価額の算出と資金力が必要)同居している家族が引き続き実家に住み続けたい場合
現物分割「長男は土地」「次男は預貯金」のように、財産をそのままの形で分ける方法なし少ない(名義変更のみ)不動産と同等の価値を持つ現金など、十分な他の財産がある場合

換価分割を選択することで得られる最大のメリット

それぞれの方法を比較した上で、換価分割の遺言書を残すことには以下のようないくつものメリットがあります。

  • 1円単位で公平に分割できる不動産は物理的に切り分けることが難しい財産ですが、現金化することで相続人同士が指定された割合通りに、きっちり公平に遺産を受け取ることができます。これにより「誰が多くもらった」という不公平感をなくすことができます。
  • 相続税の納税資金を確保できる相続税が発生する場合、原則として現金で一括納付しなければなりません。換価分割によって得られた現金は、そのまま納税資金として充てることができるため、相続人が自腹を切って税金を支払う負担を回避できます。
  • 空き家問題の予防になる利用予定のない実家をそのまま相続してしまうと、固定資産税の負担や建物の老朽化による維持管理の手間が延々と続きます。遺言で売却を指示しておくことで、将来の空き家問題を未然に防ぐことができます。

換価分割の遺言書の書き方に関するよくある質問

換価分割の遺言書を作成するにあたり、多くの方が疑問に感じるポイントをまとめました。手続きを進める前の不安解消にお役立てください。

遺言執行者は家族や親族を指定しても問題ありませんか?

法律上は、未成年者や破産者でなければ、ご家族や親族を遺言執行者に指定すること自体は可能です。しかし、換価分割を伴う場合は専門家への依頼を強くおすすめします。

不動産の売却には、不動産会社との交渉、売買契約の締結、法務局での登記、多額の現金の管理と送金など、専門知識と膨大な時間が必要です。これを特定の家族に任せるとその方への負担が重くなりすぎ、「売却価格が安すぎる」などと他の親族から不満が出てトラブルになるケースが少なくありません。中立的な立場である司法書士や弁護士などの専門家を指定する方が、結果的にご家族の平和を守ることにつながります。

実家の売却価格がわからない状態で遺言を書いても大丈夫ですか?

はい、売却価格が確定していない状態で作成して全く問題ありません。

遺言書には「いくらで売るか」という金額を書くのではなく、「売却して得た現金から経費を引き、残額を〇分の〇ずつ分ける」という割合を記載します。そのため、将来の不動産市況の変動によって売却価格が変わったとしても、遺言書の効力や分割の公平性には影響しません。

住宅ローンが残っている不動産でも換価分割の指定は可能ですか?

可能ですが、売却代金でローンを一括返済(抵当権の抹消)できることが前提となります。

売却代金よりもローンの残債が多い場合(いわゆるオーバーローン)は、相続人が不足分を自力で支払わなければならなくなります。この場合、相続放棄を選択した方が良いケースもあるため、ローンが残っている不動産については、事前に残債と査定額を確認し、専門家に相談しながら遺言内容を慎重に決める必要があります。

換価分割を成功させる遺言書の書き方まとめ

① 換価分割の遺言書は、不動産を売却して諸経費・税金を差し引いた残額の分配割合と、複雑な手続きを担う遺言執行者を明確に記すことが何よりも重要です。

② ご家族が不動産の処分負担や費用の立て替えで揉めないよう、公平な第三者である専門家を遺言執行者に指定し、確実性の高い公正証書遺言として作成することが、残されたご家族を守る最も安心できる選択肢であると私たちは考えております。

③ ニコニコ終活は全国対応で、遺言書の書き方や文面のアドバイスから、実際の換価分割の手続きサポートまで、何度でも完全に無料でご相談いただけます。大切なご家族が将来の不動産トラブルで悩まないために、少しでも不安があればぜひお気軽にご連絡ください。

ニコニコ終活
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