預貯金の遺産分割協議書の書き方とひな形!残高を書かない理由と注意点

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行政書士法人杉山事務所
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預貯金を相続人の間で分けるための遺産分割協議書には、どの金融機関の口座を誰が取得するのか、またはどのような割合で分けるのかを明確に記載する必要がありますが、現在の口座残高や具体的な金額は書かないのが手続き上の鉄則です。

遺産分割協議書に金額を記載してしまうと、その後に利息がついたり手数料が引かれたりして実際の残高と1円でもズレが生じた場合、金融機関の窓口で書類不備とみなされ、協議書を作り直さなければならないリスクがあります。

ニコニコ終活にご連絡いただくお客様の中にも、ご自身で作成した書類が銀行で受理されず、ご親族から再度実印をもらうことになり大変な思いをしたというお声が少なくありません。

この記事をお読みいただくことで、金融機関での手続きをスムーズに進めるための正しい遺産分割協議書の書き方や、代表者が預貯金をまとめて解約して各相続人に分配する際の実用的なひな形と手順が分かります。

目次

預貯金の遺産分割協議書ですぐに使えるひな形と文例

相続が発生した際、故人の銀行口座からお金を引き出したり名義変更したりするためには、遺産分割協議書が必要になることがほとんどです。ここでは、コピーしてそのまま参考にしていただける実践的なひな形と文例をご紹介します。ご家族の分割方法に合わせて適切なものをご活用ください。

1人の相続人がすべての預貯金を取得する場合のひな形

特定の相続人(例えば配偶者や同居していた長男など)が、故人の預貯金をすべて受け継ぐ場合のシンプルで一般的な文例です。金融機関ごとに口座を特定する情報を列挙していきます。

預貯金の遺産分割協議書
遺産分割協議書

被相続人〇〇〇〇(令和〇年〇月〇日死亡)の遺産について、共同相続人全員で遺産分割協議を行った結果、以下のとおり分割することに合意した。

第1条(預貯金の分割)
共同相続人のうち、相続人〇〇〇〇は、被相続人が有していた以下の金融機関の預貯金一切を取得する。

(1)金融機関名:〇〇銀行 〇〇支店
    口座種別:普通預金
    口座番号:〇〇〇〇〇〇〇
    名義人 :〇〇〇〇

(2)金融機関名:〇〇信用金庫 〇〇支店
    口座種別:定期預金
    口座番号:〇〇〇〇〇〇〇
    名義人 :〇〇〇〇

第2条(その他の財産)
本協議書に記載なき遺産および後日判明した遺産については、相続人〇〇〇〇が取得する。

第3条(協議の成立)
上記分割内容を確認し、共同相続人全員が異議なきことを確認し、本協議書〇通を作成し、各自署名押印する。

令和〇年〇月〇日

相続人(住所)〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地
(氏名)〇〇〇〇     印

相続人(住所)〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地
(氏名)〇〇〇〇     印

代表者が解約して複数人で分ける換価分割のひな形

きょうだい複数人で預貯金を均等に分けるような場合、銀行の窓口で1つの口座を分割して振り込んでもらうのは手続きが複雑になります。そのため、代表の相続人が一旦全額を自分の口座に払い戻し(解約)、その後に各相続人の口座へ指定の割合や金額を振り込むという形をとるのがスムーズです。

この場合、協議書に「代表者が手続きを行うこと」と「代償として他の相続人にいくら支払うか(または何割渡すか)」を明記しておかないと、後から税務署に贈与税の対象として疑われる可能性があるため注意が必要です。

Markdown

第1条(預貯金の取得と解約手続き)
共同相続人のうち、相続人〇〇〇〇は、被相続人の以下の預貯金を取得し、その解約および払い戻しに関する一切の権限を委任されるものとする。
(金融機関情報の記載は前述と同様)

第2条(代償金の支払い)
相続人〇〇〇〇は、前条により取得した預貯金等を取得する代償として、相続人△△△△に対し、金〇〇万円(または取得した預貯金総額の〇分の〇)を令和〇年〇月〇日までに指定の口座に振り込んで支払う。なお、振込手数料は〇〇が負担する。

預貯金の遺産分割協議書を作成する際の重要な注意点

ひな形を使って協議書を作成する際、少しの書き間違いや認識のズレが原因で金融機関での手続きがストップしてしまうことがあります。やり直しを防ぐために、以下の3つの重要な注意点をしっかり押さえておきましょう。

  • 金融機関名や口座番号を正確に特定して記載する
  • 預金残高や具体的な金額は絶対に記載しない
  • 複数人で分ける場合は代表者が手続きを行う旨を記載する

金融機関名や口座番号を正確に特定して記載する

預貯金を相続財産として記載する目的は、金融機関に対して「どの口座のことを指しているのか」を明確に伝えるためです。そのため、銀行名や信用金庫名だけでなく、支店名、口座の種別(普通預金、定期預金、当座預金など)、そして口座番号を正確に記載しなければなりません。

通帳やキャッシュカードを手元に置きながら、一文字ずつ確認して記入してください。また、故人の名前の漢字が旧字体である場合などは、金融機関に登録されている通りの名義を記載するとより確実です。

預金残高や具体的な金額は絶対に記載しない

読者の皆様が最も迷われやすいポイントですが、預貯金の遺産分割協議書には「金5,000,000円」などのように、死亡時や協議時点での残高を記載してはいけません。

銀行口座は、故人が亡くなった後も定期預金の利息がついたり、生前に利用していたクレジットカードの未払い分が引き落とされたりして、残高が変動することがあります。もし協議書に金額を書いてしまうと、窓口で解約手続きをする際の実際の残高と差異が生じてしまいます。金融機関は書類の不一致を非常に厳しくチェックするため、結果として「この協議書は無効です」と判断され、親族全員から実印をもらい直す事態に陥ってしまいます。口座情報のみで特定し、金額は書かないのが最大の防衛策です。

複数人で分ける場合は代表者が手続きを行う旨を記載する

前述のひな形でも触れましたが、特定の口座を相続人全員で直接分割するのは非常に困難です。金融機関側も、相続人全員の口座へ細かく分割送金するような対応は原則として受け付けていません。

そのため、必ず相続人のうち1名を代表者として定め、その代表者が全額を解約して一括で受け取る旨を協議書に明記します。その上で、代表者が他の相続人に分配するという流れ(換価・精算の手法)を記載することで、金融機関での手続きは代表者一人の署名や身分証明書でスムーズに進めることが可能になります。

預貯金とその他の財産で異なる遺産分割協議書の記載方法

相続財産は預貯金だけでなく、ご自宅などの不動産や、株式などの有価証券が含まれることも多くあります。これらの財産は、それぞれ特定の仕方が異なるため、遺産分割協議書にまとめる際は注意が必要です。代表的な財産ごとの記載方法の違いを比較してみましょう。

財産の種類特定するために必要な情報金額や残高の記載の有無
預貯金金融機関名、支店名、口座種別、口座番号記載しない(利息等で変動するため)
不動産所在、地番、地目、地積、家屋番号など記載しない(評価額は変動するため)
有価証券証券会社名、支店名、銘柄名、数量(株数)記載しない(株価は日々変動するため)

不動産の記載方法と預貯金の違い

不動産を記載する場合は、預貯金のように通帳を見るのではなく、必ず法務局で取得できる「登記事項証明書(登記簿謄本)」を確認しながら記載します。住所(住居表示)ではなく、登記上の「所在」や「地番」を一言一句違わずに書き写す必要があります。不動産の場合も、固定資産税評価額などの金額は協議書には記載しません。

有価証券の記載方法と預貯金の違い

株式や投資信託などの有価証券は、預貯金と同様に預けている証券会社名や支店名を記載します。さらに、口座番号だけでなく、「〇〇株式会社の株式〇〇株」といったように銘柄と数量を記載して特定します。株価は日々大きく変動するため、協議書に「評価額〇〇円」と記載することは絶対に避けましょう。

預貯金の相続手続きをスムーズに進めるための全体の流れ

遺産分割協議書の作成は、預貯金の相続手続きという大きな流れの中の一つのステップです。全体像を把握しておくことで、協議書をどのタイミングで作成すればよいのか、どのような準備が必要なのかが明確になります。基本的な手順を確認していきましょう。

  • 金融機関への死亡連絡と口座の凍結
  • 残高証明書の取得と遺産の確定
  • 遺産分割協議の実施と協議書の作成
  • 金融機関での解約・払い戻し手続き

金融機関への死亡連絡と口座の凍結

故人が亡くなられたら、まずは取引のあった金融機関に死亡の事実を連絡します。この連絡を行った時点で、その口座は凍結され、現金の引き出しや引き落としが一切できなくなります。これは、一部の相続人が勝手にお金を引き出してトラブルになるのを防ぐための重要な措置です。

残高証明書の取得と遺産の確定

口座が凍結されたら、相続人であることを証明する戸籍謄本などを提示し、亡くなった日時点での「残高証明書」を金融機関から発行してもらいます。協議書には残高を書きませんが、遺産分割の話し合い(誰がいくらもらうか)をするためには、正確な残高を親族全員で共有し、遺産の総額を確定させる必要があるためです。

遺産分割協議の実施と協議書の作成

遺産の全体像が明らかになったら、相続人全員でどのように分けるかを話し合います。全員の合意が得られたら、本記事でご紹介したひな形を参考に遺産分割協議書を作成します。完成した協議書には、必ず相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付します。

金融機関での解約・払い戻し手続き

遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書、故人の生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本など、必要書類がすべて揃ったら金融機関の窓口に提出します。書類に不備がなければ、およそ1週間から数週間程度で、代表者の指定した口座に預貯金が振り込まれ、相続手続きが完了します。

預貯金の遺産分割協議書に関するよくある質問

預貯金の遺産分割に関して、ご家族の方からよくいただく疑問点をまとめました。同じようなお悩みをお持ちの方はぜひ参考にしてください。

ゆうちょ銀行の場合はどのように記載すればよいですか

ゆうちょ銀行の口座は、他の一般的な銀行のような「支店名」や「口座番号」とは異なり、「記号」と「番号」で管理されています。遺産分割協議書に記載する際は、通帳に記載されている「記号(5桁)」と「番号(最大8桁)」をそのまま記載して問題ありません。もし、他の銀行から振り込みを受けるための「店名(漢数字)」や「口座番号(7桁)」が通帳に印字されている場合は、そちらを併記しておくとより丁寧です。

口座番号がわからない場合はどうやって調べますか

通帳やキャッシュカードが見当たらず、口座番号が不明な場合は、金融機関の窓口で相続人としての正当な権利を証明(戸籍謄本などの提出)した上で、「残高証明書」や「取引明細」の開示請求を行うことができます。これにより、故人がその金融機関に保有していたすべての口座情報を洗い出すことが可能です。複数の支店に口座がある可能性もあるため、全店照会をお願いすることをおすすめします。

遺産分割協議書は手書きでもパソコンでも問題ありませんか

遺産分割協議書は、手書き(自筆)でもパソコンで作成・印刷したものでも、どちらでも法的な効力に違いはなく問題ありません。金融機関の窓口でもパソコンで作成された書類で滞りなく受理されます。ただし、最後に相続人がおこなう「署名」の部分だけは、各自が手書き(自署)し、必ず市区町村に登録している実印を押印するようにしてください。

預貯金の遺産分割協議書についてのまとめ

預貯金の遺産分割協議書は、銀行名や口座番号で対象を正確に特定しつつ、残高や金額は記載しないことが手続きをスムーズに完了させるための最大のポイントです。

ほんのわずかな記載不備や金額のズレがあるだけで、金融機関から書類の修正と相続人全員の実印のもらい直しを求められるケースは現場でも非常に多く見受けられます。代表者が一旦解約して分配する方法など、その後の手続きの流れまで見据えて正確に作成することが不可欠です。

ニコニコ終活では全国対応で、何度でも完全に無料でご相談いただけます。遺産分割協議書の正しい書き方がわからない方や、ご親族との話し合い、複雑な相続手続きに不安を感じている方は、ぜひお気軽にニコニコ終活の無料相談をご利用ください。

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