相続土地国庫帰属制度のその後とは?引き取られた土地の行方と今後の懸念点

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行政書士法人杉山事務所
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相続土地国庫帰属制度を利用して手放した土地はその後、宅地は財務省、農用地は農林水産省、森林は林野庁へとそれぞれ引き継がれ、国によって管理されます。これが引き取られたもらい手のない土地の最終的な行方であり、国に帰属した後は所有権が完全に国へと移転します。

ただし国に引き取られたからといって万事解決というわけではなく、引き取られる土地の大半は有効活用が難しいことから、国の管理コスト増大が深刻な課題となっています。今後は国側の負担を減らすために、引き取りにかかる負担金の引き上げや、審査要件がさらに厳しくなる可能性も指摘されている点には注意が必要です。

ニコニコ終活へ寄せられるご相談の中にも、不要な土地を国に引き取ってもらいたいが、制度が今後どう変わるか分からず不安を感じているというお声が少なくありません。早めに手放すべきか悩まれているご家族の負担を減らすためにも、引き取られた後の状況や今後の国の動向を正しく把握することが大切です。

この記事では、国庫に帰属した土地のその後の管理体制や、国が直面している課題、そして今後の制度見直しのリスクについて詳しく解説します。所有し続けるリスクと手放すタイミングを見極めるための判断材料としてご活用ください。

目次

相続土地国庫帰属制度で引き取られた土地のその後の管理体制

相続土地国庫帰属制度によって無事に国への引き取りが承認された土地は、その後どのような扱いを受けるのでしょうか。所有権が国に移転した後の土地は、その性質や地目に応じて複数の省庁に振り分けられて管理されることになります。

ここでは、土地の種類ごとにどの省庁が管轄するのか、その具体的な管理体制について詳しく解説します。

土地の種類に応じた管轄省庁の割り当て

引き取られた土地は、一括してひとつの窓口で管理されるわけではありません。土地の現状や用途に合わせて、専門的な知識を持つ管轄省庁へと引き継がれます。以下の表は、土地の種類と管轄省庁の関係をまとめたものです。

土地の種類引き継ぎ後の管轄省庁具体的な管理機関
宅地・その他財務省各地域の財務局
農用地(田・畑など)農林水産省地方農政局など
森林(山林)林野庁森林管理局

このように、土地の特性に応じて適切な省庁が管理を担う仕組みが構築されています。それぞれの省庁が引き継いだ後、具体的にどのような管理を行うのかを順番に見ていきましょう。

宅地などは財務省が引き継ぎ管理する

宅地や雑種地、または特定の用途に分類しにくいその他の土地については、財務省が引き継いで管理を行います。具体的には、全国に配置されている財務局が実務を担当することになります。

財務省の役割は、主に国有財産としての適正な管理と処分です。草刈りや不法投棄の監視など、周辺住民に迷惑がかからないような最低限の維持管理が行われます。もし将来的に民間で活用できそうな土地であれば売却が検討されることもありますが、国庫帰属制度を利用する土地の多くは売却困難な土地であるため、基本的には現状維持のための管理が続くことになります。

農用地は農林水産省が担当する

田んぼや畑などの農用地については、農業振興の観点から農林水産省が管轄を引き継ぎます。実際の管理は、各地域を管轄する地方農政局などが担うことになります。

農用地は放置すると雑草が生い茂り、周囲の農地に病害虫の被害をもたらすなど、周辺環境への悪影響が出やすいという特徴があります。そのため、国庫に帰属した後は、周囲の営農環境を悪化させないための適正な管理が求められます。地域の農業委員会などとも連携しながら、農地としての機能が完全に失われないよう、あるいは周辺への被害を防ぐための措置が講じられます。

森林や山林は林野庁の管轄となる

広大な面積を占めることが多い森林や山林については、林野庁が管轄し、地域の森林管理局が実務を担当します。日本の国土の多くを占める森林の保全は、治山や防災の観点からも非常に重要です。

林野庁では、引き取った森林が土砂崩れなどの災害を引き起こさないよう、また保安林としての機能を持つ場合はその機能を維持するための管理を行います。しかし、奥地にある手入れの行き届いていない山林を引き取ることが多いため、間伐や林道の整備などにかかる労力は大きく、現状維持だけでも相当な手間がかかっているのが実情です。

国が引き取った後の土地を取り巻く現状と増大する管理コスト

制度の開始により、長年買い手がつかずに困っていた土地を手放せる道が開かれました。しかし、国側から見ると、引き取った後の土地の管理には大きな課題が山積しています。

ここでは、国庫帰属制度によって引き取られた土地が直面している現状と、国を悩ませている管理コストの問題について深掘りして解説します。

商業利用や有効活用が難しい土地が大半を占める理由

相続土地国庫帰属制度は、もともと引き取り手のない土地の受け皿として創設されたという背景があります。そのため、国に集まってくる土地は以下のような特徴を持っています。

  • 立地条件が悪く、民間での売却や賃貸が不可能な土地
  • 地形が険しい、またはインフラが整っていない土地
  • 商業施設や住宅地への転用が極めて困難な土地

これらの特徴について、さらに詳しく見ていきましょう。

立地条件が悪く民間取引が不可能な土地

国に引き取られる土地の多くは、交通の便が悪く、過疎化が進む地域に存在しています。不動産市場に出しても買い手がつかず、無償で譲ろうとしても断られてしまうような土地です。国が引き取った後も、このような立地条件が変わるわけではないため、国として何か新しい事業に活用したり、民間に再売却したりすることはほぼ不可能です。

地形が険しくインフラが整っていない土地

急傾斜地にある山林や、道路に接していない土地なども多く含まれます。水道や電気などのインフラが引き込まれていないことも珍しくありません。このような土地を安全な状態に保つだけでも費用がかかり、ましてや有効活用するために造成を行うとなれば、莫大な税金が必要となってしまいます。

国の管理負担増加と税金投入に対する課題

活用が難しい土地ばかりが集まることで、国の管理負担は日々増加しています。土地を保有している限り、パトロールや草刈り、不法投棄への対応、災害時の安全確認など、継続的な管理作業が発生し続けます。

これらの管理費用は、制度利用者が申請時に支払う負担金だけではとても賄いきれず、最終的には国民の税金が投入されることになります。使い道のない土地の維持管理に多額の税金が使われ続けることは、国家財政の観点からも大きな問題となっており、政府内でも制度の持続可能性について議論が交わされるようになっています。

今後の相続土地国庫帰属制度の見通しと要件変更のリスク

増大し続ける管理コストと使い道のない土地の増加を背景に、政府は制度の運用見直しを検討し始めています。これから制度の利用を考えている方にとっては、今後の動向が非常に重要となります。

ここでは、今後予想される管理の簡素化や、制度利用のハードルが上がるリスクについて解説します。

政府が検討を進める管理の簡素化とは

国は膨大な管理コストを少しでも抑えるため、管理の簡素化に向けた運用見直しを進めています。これは、すべての土地に対して画一的な手厚い管理を行うのではなく、土地の状況に応じたメリハリのある管理へ移行しようという試みです。

具体的には、周辺に民家がなく、放置しても周囲の環境に悪影響を及ぼすリスクが極めて低いと判断される山林や原野などについては、定期的な見回り頻度を減らしたり、草刈りなどの維持管理作業を最低限にとどめたりする方針です。これにより、限られた予算と人員を、よりリスクの高い土地の管理に集中させる狙いがあります。

負担金の引き上げや引き取り要件が厳格化される可能性

国の負担が限界に近づきつつある現状を踏まえ、専門家の間では、今後制度の利用条件が厳しくなる可能性が指摘されています。これから申請を検討している方は、以下のポイントに注意が必要です。

  • 原則20万円から設定されている負担金が引き上げられるリスク
  • 国が引き取りを拒否する要件がさらに追加されるリスク
  • 審査基準が厳格化し、承認されるまでの期間が長期化するリスク

これらの懸念点について、それぞれ詳しく確認していきましょう。

負担金が引き上げられるリスク

現在、土地を国に引き取ってもらうためには、10年分の管理費用に相当する負担金(原則として1筆あたり20万円から)を納付する必要があります。しかし、実際の管理コストがこの金額を大きく上回っているケースが多いことから、将来的に負担金のベース額が引き上げられる、あるいは面積に応じた加算額が大きくなる可能性が十分に考えられます。

引き取り要件が厳格化されるリスク

現在は、建物がある土地や土壌汚染がある土地などは引き取り不可とされていますが、今後はさらに厳しい条件が追加されるかもしれません。例えば、境界が少しでも不明確な場合は一切受け付けないなど、国が引き取った後にトラブルになりそうな要素を事前に完全に排除する方向へ審査基準が傾く恐れがあります。

審査基準の厳格化による手続きの長期化

申請件数が増加する一方で、国側の審査体制が追いつかず、手続きが長期化する懸念もあります。さらに審査基準が厳しくなれば、現地調査や追加書類の要求などが増え、承認されるまでに現在以上の時間がかかるようになるかもしれません。手放したいタイミングですぐに手放せなくなるリスクがあることは覚えておくべきです。

相続土地国庫帰属制度の利用に関するよくある質問

相続土地国庫帰属制度はまだ始まって間もない制度であるため、実際に利用を検討される方からは多くの疑問が寄せられます。

ここでは、引き取られた土地のその後や、これからの手続きに関するよくある質問にお答えします。

引き取られた土地がその後売却されることはありますか?

国庫に帰属した土地の所有権は国にあるため、財務省などの判断により、将来的に民間へ売却される可能性自体はゼロではありません。しかし、現実的にはこの制度で引き取られる土地の大半は、不動産市場で価値がつかない立地や形状のものです。そのため、引き取られた土地がすぐに売却されて活用されるケースは極めて稀であり、基本的には国が長期的に保有・管理し続けることになります。

負担金は今後どのくらい値上がりする可能性がありますか?

現時点で具体的な値上げの時期や金額が国から公式に発表されているわけではありません。しかし、現状の20万円という最低負担金額では、長期的な草刈りや不法投棄対策などの実費を賄えないことは明らかです。国の財政負担を軽減するため、今後数年のうちに段階的な引き上げや、土地の条件に応じた費用の細分化が行われる可能性は高いと多くの専門家が予測しています。もし利用条件を満たしているのであれば、制度改定前に早めの準備を進めることをおすすめします。

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