相続土地国庫帰属制度は自分で手続きできる?手順と費用の注意点

相続土地国庫帰属制度 自分で
監修
行政書士法人杉山事務所
所属行政書士会:大阪会 / 登録番号:22260069
運営者
ニコニコ終活責任者 飯塚
ニコニコ終活(担当:飯塚)
相談対応毎月10,000件以上

不要な土地を手放すための相続土地国庫帰属制度はご自身で手続きを進めることが可能です。専門家に依頼せず費用を抑えたいとお考えの方にとって自力での申請は有力な選択肢となります。

一方で申請には境界の確認や写真撮影から法務局への図面提出まで多岐にわたる専門的な準備が求められます。また建物が残っていたり境界が曖昧だったりする場合は制度の対象外となるため事前の要件確認が欠かせません。

ニコニコ終活の窓口でも実家の土地を手放したいけれど何から始めればよいか分からないという切実なご相談が寄せられます。制度を利用できる土地なのか費用はどれくらいかかるのか不安に感じる方は少なくありません。

本記事ではご自身で相続土地国庫帰属制度の申請を行うための具体的な手順や必要書類に加えて審査手数料や負担金などの費用面を詳しく解説します。

目次

相続土地国庫帰属制度を自分で申請するための要件と注意点

相続土地国庫帰属制度を利用して不要な土地を国に引き取ってもらうためには、法律で定められた厳しい要件をクリアする必要があります。せっかくご自身で準備を進めても、後から対象外の土地であることが判明すると時間と労力が無駄になってしまいます。まずは申請資格と引き取りが不可能な土地の条件をしっかりと確認しておきましょう。

申請できる人の条件は相続または遺贈による取得のみ

この制度を利用して土地を手放せるのは、相続または遺贈によってその土地を取得した個人に限られます。たとえば、ご自身でお金を出して購入した土地や、生前に贈与を受けた土地などは制度の対象外となります。また、法人が所有している土地も申請することはできません。

ご自身で手続きを進める際は、まず対象の土地がどのようにしてご自身の手元に渡ってきたのか、登記簿謄本などを取得して取得原因を明確にしておくことが第一歩となります。長年放置されている土地の場合、名義が祖父母のままになっているケースもあるため、まずはご自身の名義へ相続登記を行う必要があります。

建物ありや境界不明確など引き取ってもらえない土地の条件

相続した土地であっても、国がどのような土地でも無条件で引き取ってくれるわけではありません。国の管理に過度な負担や費用がかかる土地は、引き取りの対象外として明確に定められています。審査の段階で以下の状態に当てはまることが発覚すると、引き取りは却下されます。

  • 古い空き家や倉庫などの建物が建っている土地
  • 隣の土地との境界線が明確でない土地
  • 土壌汚染が確認されている土地
  • 住宅ローンなどの担保権が設定されている土地
  • 通路や墓地として他人に使用されている土地

ご自身で申請する際は、これらの除外条件に当てはまっていないか、事前に現地へ赴いて目視で確認する作業が不可欠です。特に山林や農地の場合、隣接する土地の所有者と境界線について共通の認識を持てているかを確認する作業は、個人で行うには骨が折れる部分でもあります。

自分で相続土地国庫帰属制度の手続きを進める3つのステップ

申請要件を満たしていることが確認できたら、実際に法務局への申請手続きに入ります。ご自身で手続きを進める場合、窓口での相談から必要書類の作成、そして負担金の納付まで、いくつかの段階を踏む必要があります。ここでは、全体像を把握しやすくするために具体的な手続きの流れを3つのステップに分けて解説します。

手続きの全体像は以下の通りです。

  1. 管轄の法務局への事前相談と予約
  2. 必要書類の準備と法務局本局への提出
  3. 審査通過後の負担金納付と所有権の移転

それぞれのステップで行うべき具体的な作業を見ていきましょう。

ステップ1:管轄の法務局への事前相談と予約方法

手続きを始めるにあたり、まずは手放したい土地が本当に制度の対象になり得るのか、管轄の法務局に事前相談を行うことが強く推奨されています。事前相談は完全予約制となっており、土地の所在地を管轄する都道府県の法務局本局(または一部の地方法務局)で対応してもらえます。

予約の手続きは、法務局手続案内予約サービスというインターネット上のシステムを利用するのが一般的です。相談の際には、登記事項証明書や法務局で取得できる公図、現地の状況がわかる写真などを持参すると、よりスムーズかつ的確なアドバイスを受けることができます。ご自身の足で書類を集める必要があるため、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。

ステップ2:必要書類の準備と法務局本局への提出

事前相談で問題がないと判断できたら、正式な承認申請書を作成し、必要書類を準備します。ここがご自身で手続きを行う上で最も手間がかかる部分です。

単に申請書に記入するだけでなく、土地の位置を示す図面を作成したり、土地の境界点や全体像がわかるように現地で写真を撮影したりと、ご自身で作成・用意する書類が数多く存在します。書類が整ったら、土地の所在地を管轄する法務局本局の不動産登記部門へ、窓口への持参または郵送で提出します。その際、土地1筆あたり1万4,000円の審査手数料を収入印紙で納付する必要があります。

ステップ3:審査通過後の負担金納付と所有権の移転

書類の提出後、法務局による書面審査や実地調査が行われます。無事に審査を通過して国の引き取りが承認されると、法務局から承認の通知とともに負担金の納付通知が届きます。

この負担金は、国が今後の土地を管理するための費用として納めるものです。通知が届いてから30日以内に指定された額を日本銀行や税務署を通じて納付することで、手続きは完了となります。納付が確認された時点で、土地の所有権が正式にご自身から国へと移転します。期限を過ぎると承認が取り消されてしまうため、速やかな納付が必要です。

相続土地国庫帰属制度を自分で利用する際にかかる費用一覧

自分で手続きを行う場合、専門家への依頼報酬はかかりませんが、国へ支払う法定費用は必ず発生します。申請時にかかる審査手数料と、引き取り承認後にかかる負担金の2種類について、それぞれの違いと費用の目安を把握しておくことが大切です。

以下の表で、2つの費用の概要を比較しています。

費用の種類支払うタイミング金額の目安支払い方法
審査手数料申請書類の提出時土地1筆あたり1万4,000円収入印紙
負担金審査承認後(通知から30日以内)原則20万円(面積等により変動)現金納付

それぞれの費用について、算定の基準や注意点をさらに詳しく解説します。

審査手数料の計算方法と納付時の注意点

審査手数料は、法務局に申請を行う際にかかる行政手数料です。金額は土地の広さにかかわらず、土地1筆あたり一律で1万4,000円と定められています。複数の土地をまとめて申請する場合は、筆数分の手数料が必要になります。

注意すべき点は、この手数料はあくまで審査を行うための費用であるということです。万が一、審査の結果として引き取りが不承認になった場合や、途中でご自身から申請を取り下げた場合でも、一度納付した審査手数料は一切返還されません。そのため、事前相談でしっかりと対象要件を確認し、無駄な出費を防ぐことが重要になります。

10年分の管理費にあたる負担金の目安と算出基準

負担金は、国が引き取った土地を今後10年間にわたって管理するために必要な費用の一部をご自身で負担するものです。多くの一般的な宅地や農地、森林については、面積にかかわらず一律で20万円と定められています。

ただし、一部の市街地にある宅地や農地、面積が広大な森林などについては、面積に応じて負担金が算定される仕組みになっており、場合によっては数十万円から数百万円単位になることもあります。ご自身の土地が定額の20万円で済むのか、あるいは面積に応じて加算されるのかは、事前相談の段階でおおよその目安を確認しておくことをお勧めします。

相続土地国庫帰属制度を自分で手続きする際のよくある質問

相続土地国庫帰属制度を自力で進めるにあたって、多くの方がつまずきやすい疑問点や不安に感じるポイントをまとめました。手続きをスムーズに進めるための参考にしてください。

共有名義の土地でも自分で申請できますか?

共有名義の土地であっても申請は可能ですが、共有者全員で共同して申請を行う必要があります。ご自身の持ち分だけを単独で国に引き取ってもらうことはできません。ご自身で手続きを進める場合は、他の共有者全員から合意を得た上で、代表者が手続きを行うか、全員で協力して必要書類を揃えることになります。親族間で意見がまとまらない場合は手続きが難航するため、早めの話し合いが重要です。

申請書の書き方が分からない場合はどうすればよいですか?

法務省の公式ウェブサイトには、申請書の記載例や必要書類のフォーマットが豊富に用意されています。まずはそれらの記入例を参考にご自身で作成してみるのが基本です。どうしても分からない部分がある場合は、法務局の窓口での事前相談の際に書き方の質問をすることができます。ただし、法務局の担当者はあくまで手続きの案内をする立場であり、代わりに書類を作成してくれるわけではありません。ご自身での作成が難しいと感じた場合は、司法書士や行政書士などの専門家へ相談することも検討してください。

まとめ:相続土地国庫帰属制度を自分で進めるか迷ったら

相続土地国庫帰属制度はご自身で申請手続きを行って不要な土地を手放すことができる制度です。

ニコニコ終活としては、自力での手続きは専門家への依頼費用を抑えられる反面、書類の作成や境界の確認など専門的な負担も大きいため、ご自身の状況に合わせて無理なく進めることが大切だと考えています。

ニコニコ終活は全国対応で、相続や終活に関するお悩みを何度でも完全に無料でご相談いただけますので、手続きに不安を感じたらぜひお気軽に無料相談をご利用ください。

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