実家じまいは国の制度で解決!空き家処分に役立つ補助金と特例の活用法

親が亡くなったり老人ホームに入所したりしたことで、誰も住まなくなった実家の処分に頭を悩ませる方は後を絶ちません。
遠方に住んでいるため様子を見に行く余裕がない、解体するにも数百万円もの高額な費用がかかる、売却したくても買い手が見つからないなど、実家じまいには多くの不安や悩みが重なります。
しかし、誰も住まない実家をそのまま放置しておくと、将来的に多額の税金が科されたり、法律上の罰則を受けたりする恐れがあります。実は、こうした空き家問題に対処するため、国や自治体は様々な支援策を用意しています。
実家じまいに活用できる国の制度と空き家処分をサポートする3つの仕組み
相続した不要な土地を国に引き渡す相続土地国庫帰属制度
相続した土地をどうしても管理できない場合に、一定の条件をクリアすることでその土地を手放して国に引き取ってもらえる制度が始まりました。実家が遠方にあり、今後も利用する予定がない場合に役立つ制度ですが、利用にあたってはいくつかの重要な注意点があります。まずはこの制度のメリットとデメリットについて把握しておきましょう。
- 将来にわたる管理の手間や固定資産税の負担から永久に解放されるメリット
- 建物は引き取ってもらえず高額な解体費用や国への負担金が自己負担になるデメリット
将来にわたる管理の手間や固定資産税の負担から永久に解放されるメリット
実家から遠く離れて暮らしていると、敷地の草刈りや建物の破損状況を確認するために定期的に往復するだけでも、時間と体力の限界を感じるものです。近隣住民から苦情が来ないかとヒヤヒヤする精神的なストレスも軽視できません。また、誰も利用していなくても土地を所有している限り、毎年確実に固定資産税の請求が届きます。相続土地国庫帰属制度を利用して土地を国に引き渡すことができれば、こうした終わりの見えない草刈りや見回りの手間、さらには将来にわたって払い続けるはずだった固定資産税の負担から一生涯解放されるため、精神的にも金銭的にも非常に大きな安心を得ることができます。
建物は引き取ってもらえず高額な解体費用や国への負担金が自己負担になるデメリット
この制度は、どんな土地でも無条件に引き取ってくれる魔法のゴミ箱ではありません。国が引き取りを認めるのは、原則として建物が残っていない更地の状態に限られます。そのため、実家を建物ごと国に引き渡すことはできず、事前にご自身の手で家を解体しなければなりません。木造住宅の解体には一般的に150万から300万円程度の大きな費用がかかります。さらに、無事に国の厳しい審査を通過したとしても、国がその土地を今後10年間にわたって管理するために必要な負担金として、1区画につき原則20万円を国へ納付しなければなりません。タダで手放せるわけではなく、最終的に車が一台買えるほどのまとまった自己負担が発生する点が大きなデメリットです。
相続土地国庫帰属制度を利用するための具体的な手続きの流れ
相続した実家の土地を国へ返す手続きは、法務局を窓口として以下の順番で慎重に進めていくことになります。
- 法務局での事前相談と必要書類を揃えての申請
- 法務局による書類審査と実地調査および10年分の管理負担金の納付
法務局での事前相談と必要書類を揃えての申請
まずは、実家がある地域を管轄している法務局へ行き、その土地が制度の対象に当てはまりそうかどうか事前相談を行います。申請に必要な書類は、土地の位置図や境界の状況を示す写真、申請者の本人確認書類など多岐にわたります。書類を整えたら、土地1区画につき1万4千円の審査手数料を納付して、正式な申請手続きを行います。この段階で隣の土地との境界が曖昧な場合や、土壌汚染の疑いがある場合は、測量や土壌調査を個人負担で行う必要があるため注意しましょう。
法務局による書類審査と実地調査および10年分の管理負担金の納付
申請が受理されると、法務局の担当官による徹底的な書類審査と、現地に赴いての厳しい実地調査が行われます。ここで、地中にコンクリートの破片やゴミが埋まっていないか、他人が勝手に通路として使っていないか、崖地のように崩落の危険がないかなどがチェックされます。審査には数ヶ月から1年近い時間がかかることも珍しくありません。無事に国の承認が下りた場合は、通知が届いてから30日以内に10年分の管理費用に相当する負担金(一般的な住宅地であれば20万円)を納付します。この納付が確認された時点で、初めて土地の所有権が国へと移転します。
実家の解体費用を抑える自治体の空き家対策補助金制度
実家じまいを進める上で最大の壁となるのが、高額な建物の解体費用です。国は空き家問題の解決を急ぐため、全国の地方自治体に対して財政的な支援を行っており、多くの自治体が独自の解体補助金制度を設けています。主な補助金の種類について詳しく見ていきましょう。
- 倒壊の危険がある古い家屋を対象とした老朽危険家屋解体工事補助金
- 街の景観や地域の防災性を高めるための除却補助金
倒壊の危険がある古い家屋を対象とした老朽危険家屋解体工事補助金
長年放置され、屋根が抜け落ちたり柱が腐食したりして、いつ崩れてもおかしくないような危険な状態にある空き家を対象とした補助金です。倒壊して近隣住民に怪我をさせたり、道路を塞いでしまったりするのを防ぐために、自治体が解体費用の一部を補填してくれます。補助金額は自治体によって差がありますが、解体工事にかかった費用の3分の1から2分の1程度、上限額として30万円から100万円程度が支給されるケースが多く、高額な工事費を大幅に浮かせることができます。
街の景観や地域の防災性を高めるための除却補助金
建物の劣化がそこまで深刻ではない場合でも、景観保護指定区域や、避難経路となる道路沿いに実家がある場合には、街全体の景観維持や災害時の避難ルート確保を目的とした除却(解体)補助金が使えることがあります。観光地に近い実家や、木造住宅が密集している地域でよく見られる制度です。危険性が低い建物であっても、自治体の推進する政策エリアに合致していれば申請が認められる可能性があるため、あらかじめ確認する価値が十分にあります。
自治体の解体補助金を申請して受給するまでの基本的な手順
解体補助金を活用してお得に実家じまいを行うためには、申請のタイミングが極めて重要です。以下の手順を正しく踏む必要があります。
- 解体工事業者に見積もりを依頼し工事着手前に自治体へ申請する
- 交付決定の通知を受けてから解体工事を開始し実績を報告する
解体工事業者に見積もりを依頼し工事着手前に自治体へ申請する
補助金を申請する際、最も注意しなければならないのが、必ず解体工事の契約や着手をする前に手続きを行わなければならないという点です。すでに工事が始まっていたり、終わってしまったりしている場合は、いかなる理由があっても一切補助金は支給されません。まずは複数の解体業者から相見積もりを取り、計画書や見積書を揃えて自治体の窓口へ事前申請を行います。自治体職員が実地調査を行い、補助の対象基準を満たしているかどうかを審査します。
交付決定の通知を受けてから解体工事を開始し実績を報告する
自治体から補助金の交付決定通知書を受け取ったら、ようやく解体工事業者と正式な契約を結び、実際の取り壊し工事をスタートさせます。工事が無事に完了した後は、解体後の更地の写真や、業者に支払った領収書、廃棄物の処分証明書(マニフェスト)などの必要書類をまとめ、実績報告書を自治体に提出します。最終的な確認が完了した後に、指定した銀行口座へ補助金が振り込まれます。補助金は後払いとなるため、一度はご自身で解体費用を全額支払う必要がある点に注意してください。
売却時の税金を大幅に減らす2つの税制上の特別控除措置
実家を売りに出して買い手が見つかったとしても、売却によって得られた利益に対しては譲渡税という高い税金が科されます。しかし、国は空き家の発生を防ぐために、売却時の税金を大幅に減額できる非常に強力な特例を用意しています。
- 相続した空き家を売却したときに使える3000万円の特別控除
- 低未利用土地などの売却時に使える100万円の特別控除
相続した空き家を売却したときに使える3000万円の特別控除
相続によって引き継いだ空き家やその土地を売却した際、売却益から最大3000万円までを差し引くことができる極めて節税効果の高い制度です。専門用語では、被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例と呼びます。例えば、実家を売って得た利益が2000万円だった場合、この特例を適用すれば利益がゼロと見なされ、本来かかるはずだった数百万円の税金が完全に免除されます。適用するためには、昭和56年5月31日以前に建てられた家であることや、相続開始から3年が経過する年の年末までに売却することなど、細かい要件をクリアする必要があります。
低未利用土地などの売却時に使える100万円の特別控除
都市計画区域内にある、長年活用されていない土地や空き家を、売却価格500万円以下(一定の要件を満たす場合は800万円以下)という比較的安価な金額で売却した際、売却益から最大100万円を控除できる制度です。地方の安価な土地は、売りに出しても買い手がつきにくく、売却価格が低くなりがちですが、この制度を使えば取引に伴う税負担を極限まで抑えることができます。空き地を買い取って駐車場や住宅として有効活用してくれる買主への売却を促すために国が用意した、地方の実家じまいを力強く後押ししてくれる制度です。
ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:国や自治体が用意している支援制度は、一見すると非常にお得に見えますが、どれも高度な書類作成や厳しい要件設定が課されています。損をしないためには、最初の段階でどの制度がご自身のケースに適用できるか、専門家にしっかりと相談することが近道ですよ。
実家じまいを今すぐ進めるべき理由と放置するリスク
2024年4月からスタートした相続登記の申請義務化
これまでは、親が亡くなって実家を相続しても、名義変更の手続きを行わずに放置していても罰則はありませんでした。しかし、所有者が分からない土地が増えて社会問題化したため、法改正によって不動産の名義変更手続きが完全に義務化されました。
- 相続を知った日から3年以内に不動産の名義変更手続きを行う義務
- 正当な理由なく放置した場合に科される10万円以下の過料ペナルティ
相続を知った日から3年以内に不動産の名義変更手続きを行う義務
法改正により、自分が不動産を相続したことを知った日から3年以内に、必ず法務局で名義変更の手続き(相続登記)を行わなければならなくなりました。2024年4月1日より前に発生していた古い相続であっても、登記が終わっていなければすべて義務化の対象となります。遠方の実家だからと放置しておくことは法律上許されず、実家じまいを行う前提として、まずは名義を自分たちのものに正しく書き換えることが国から強く求められています。
正当な理由なく放置した場合に科される10万円以下の過料ペナルティ
もし、名義変更をしないまま3年の期限を過ぎて放置し続けた場合、正当な理由がないと判断されると、10万円以下の過料という金銭的なペナルティが科される可能性があります。また、名義変更を怠ったままにしておくと、いざ実家を売却しようとしたり、補助金を申請しようとしたりしたときに、現在の所有者が誰なのか証明できず、手続きが一切進められないという致命的な事態に陥ります。
固定資産税が最大6倍になる特定空き家と管理不全空き家の指定リスク
実家を空き家のまま放置し、適切な管理を行わずにいると、自治体から周囲に悪影響を及ぼす恐れがある危険な空き家としてロックオンされることになります。
- 住宅用地特例が解除され固定資産税の負担が最大6倍に跳ね上がるリスク
- 行政から修繕や撤去の指導・勧告を受け最終的には強制執行されるリスク
住宅用地特例が解除され固定資産税の負担が最大6倍に跳ね上がるリスク
通常、住宅が建っている土地には固定資産税を最大6分の1に減額する住宅用地の特例という税金の優遇措置が適用されています。そのため、ボロボロであっても家さえ残しておけば、更地にするよりも税金が安く済んでいました。しかし、自治体から特定空き家や、その前段階である管理不全空き家に指定され、改善のための勧告を受けると、この減額特例がすべて剥奪されてしまいます。その結果、翌年から土地にかかる固定資産税が最大で一気に6倍近くまで跳ね上がり、ただ持っているだけで毎年莫大な税金を搾り取られる恐れがあります。
行政から修繕や撤去の指導・勧告を受け最終的には強制執行されるリスク
指定を受けると、税金が高くなるだけでなく、自治体から速やかに建物の修繕やゴミの撤去、あるいは建物の解体を行うように繰り返し指導や勧告を受けることになります。これらを無視し続けると、最終的には行政代執行という形で、自治体があなたの代わりに実家を強制的に解体・撤去します。恐ろしいことに、そのときにかかった莫大な解体費用はすべて所有者であるあなたに全額請求され、支払わなければ財産を差し押さえられることになります。
一般空き家と特定空き家の状況や税負担の比較
| 状態区分 | 定義や具体的な特徴 | 土地に対する固定資産税の措置 |
|---|---|---|
| 一般空き家 | 誰も住んでいないものの、定期的に換気や草刈りが行われ、適切に維持管理されている状態 | 住宅用地特例が適用されるため、更地にするよりも税額が最大6分の1に軽減されている |
| 管理不全空き家 | 窓が割れたまま、あるいは敷地の草木が伸び放題で、放置すると「特定空き家」になる恐れがある不十分な管理状態 | 自治体から改善の指導・勧告を受けると、住宅用地特例の優遇措置が解除され、更地と同等の税額に引き上がる |
| 特定空き家 | 建物の倒壊や外壁の落下危険が非常に高く、ゴミの放置による悪臭や害虫発生など、周囲の安全や衛生に著しい実害が出ている状態 | 自治体からの勧告により住宅用地特例が完全に解除され、固定資産税の負担額が元の最大6倍にまで急増する |
ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:誰も住んでいないからと放置し続けることは、今や百害あって一利なしと言えます。法改正や税制の変更により、所有しているだけで大切なご家族の財産が目減りしていく前に、一刻も早く専門家のアドバイスを受けて動き出すことが重要です。
実家じまいの国の制度に関するよくある質問
実家の家財道具や遺品整理の費用は国の制度で安くなりますか
国が直接実施している全国共通の家財処分向け補助金はありません。ただし、一部の先進的な地方自治体では、空き家バンクへの登録を条件として、家の中の荷物処分や遺品整理にかかった費用の一部(最大10万から20万円程度)を補助する空き家残置物撤去補助金などの制度を設けている場合があります。実家がある地域の役所に、家具や不用品の処分に使える予算や補助制度がないか、事前に問い合わせてみることを強くおすすめします。
相続土地国庫帰属制度は山林や農地でも利用できますか
山林や農地であっても、法律上の要件をクリアできれば相続土地国庫帰属制度を利用して国に引き渡すことは可能です。しかし、実務上は極めてハードルが高いのが現実です。山林の場合は隣の土地との境界線がはっきりしないことが多く、測量に膨大な費用がかかるため却下されやすい傾向にあります。また、農地の場合も土地改良区の除外手続きや、周辺の農業用水路の管理責任など、クリアすべき専門的な障壁が非常に多く、素人が個人で申請を通すのは至難の業です。
解体補助金は工事が終わった後からでも申請できますか
原則として、事後の申請は一切認められません。ほぼすべての自治体において、解体工事の契約を結ぶ前、あるいは工事に着手する前に申請書を提出し、自治体からの交付決定通知を受け取ってからでなければ、補助金を一円も受け取ることはできません。事後申請をしてしまい、何十万円もの補助金を丸ごと受け取り損ねて後悔するご家族は後を絶ちませんので、必ず工事の見積もりが出た一番最初の段階で、役所の窓口や専門家に相談してください。
ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:国の制度や補助金はルールが細かく、申請のタイミングや順番を一度でも間違えると、せっかくの支援がすべて無効になってしまいます。少しでも手続きに迷いや不安を感じたら、工事や申請を進める前に、まずは知識のあるプロに相談して安全なステップを確認しましょう。
まとめ
実家じまいを国がサポートする制度には、いらない土地を引き渡す相続土地国庫帰属制度や、解体工事にかかる費用を抑えるための空き家対策補助金、そして売却時の税金を大幅に圧縮できる3000万円や100万円の特別控除など、知っておくだけで手元に残るお金が数百万円単位で変わる様々な支援策が存在します。
しかし、どの制度も利用するための条件が非常に厳しく、専門的な登記や税制、工事の手順が複雑に絡み合っているため、一般の方々がご自身だけで最適な手続きを選択し完遂するのは極めて困難であるというのが、私たち専門家としての率直な見解です。
ニコニコ終活では、実家じまいにまつわる国の制度の活用法から、相続登記、解体業者の選定、ご家族間のトラブル調整、死後事務委任まで、あらゆる終活の悩みを解決する専門チームが、日本全国どこからでも、何度でも完全に無料で相談をお受けしております。これ以上実家の管理で悩み、損をし続けてしまう前に、どうぞお気軽にニコニコ終活までご相談ください。