監修
行政書士法人杉山事務所
所属行政書士会:大阪会 / 登録番号:22260069

親が亡くなったという知らせは、ある日突然訪れます。深い悲しみの中にいても、残された遺族には休む間もなく膨大な事務手続きが待ち構えています。何から手を付ければよいのか、期限はいつまでなのか、不慣れな作業に不安を感じる方は少なくありません。この記事では、親が亡くなった直後から14日後以降の相続手続きまで、時系列に沿って迷わず進めるための具体的な順番と注意点を詳しく解説します。
親が息を引き取った直後は、精神的な動揺が激しい時期ですが、最も時間的猶予がない手続きが集中します。まずは、医師から発行される書類の受け取りと、遺体の安置場所の確保、そして葬儀社の決定を最優先に進める必要があります。
病院で亡くなった場合は担当医から、自宅で急死した場合は警察の検視を経て死体検案書(死亡診断書と同じ用紙)が発行されます。この書類は、後の死亡届提出や生命保険の請求、銀行口座の手続きなど、あらゆる場面で必要になります。役所に原本を提出すると戻ってこないため、必ず10枚程度はコピーを取っておきましょう。写真に撮ってデータとして保存しておくことも強く推奨します。
家族や親族への連絡はもちろん、先祖代々のお墓を管理している菩提寺(ぼだいじ)がある場合は、すぐに連絡を入れます。お寺側の都合を確認せずに葬儀の日程を決めてしまうと、納骨を拒否されるなどのトラブルに発展しかねません。まずは電話で逝去を伝え、お布施の確認や枕経(まくらぎょう)の依頼を行いましょう。
病院の霊安室に遺体を安置できる時間は数時間程度と短いため、急いで葬儀社を決めなければなりません。病院から提携の葬儀社を紹介されることもありますが、断っても失礼にはあたりません。費用やサービス内容を比較する余裕がない場合でも、電話応対の丁寧さや明確な見積もりを出してくれるかどうかを確認し、信頼できる業者を選びましょう。
葬儀社が決まったら、遺体を自宅または葬儀社の専用安置所へ搬送してもらいます。病院への支払い(入院費の精算)はこのタイミングで行うのが一般的です。夜間や休日の場合は後日の精算になることもありますが、身の回り品の整理と撤収は搬送と同時に行う必要があります。介護施設で亡くなった場合も同様の対応となります。
死亡を知った日から7日以内に、故人の本籍地または届出人の所在地の市区町村役場へ死亡届を提出します。多くの場合、葬儀社が代行してくれます。死亡届を受理してもらうと、同時に火葬許可証が発行されます。これがなければ火葬を行うことができないため、非常に重要な書類です。火葬当日まで葬儀社が保管してくれることが一般的ですが、紛失しないよう注意しましょう。

一般的に、亡くなった翌日の夜に通夜が行われます。祭壇の設営や遺影写真の選定、供花の手配などを葬儀担当者と打ち合わせます。通夜振る舞い(食事)の準備や、香典返しの数の確認など、短時間で多くの決定を下す必要があります。参列者の人数を予測するのは難しいため、予備を多めに用意できる葬儀社を選ぶと安心です。
故人との最後のお別れの場となります。弔辞や弔電の披露、献花などが行われます。喪主は参列者に対して挨拶を行う必要があるため、あらかじめ短く簡潔な文面を用意しておくと、緊張の中でも落ち着いて対応できます。最近では親族のみの家族葬も増えていますが、故人の交友関係を考慮して形式を選びましょう。
告別式が終わると火葬場へ移動します。火葬場には火葬許可証を必ず持参してください。火葬には1時間から2時間程度かかり、その間、遺族は控室で待機します。火葬後の収骨(お骨上げ)は、地域の慣習に従って行われます。火葬にかかる費用(火葬場使用料)は、自治体によって無料から数万円まで幅があります。
火葬が終了すると、火葬許可証の裏面に火葬済の印が押された埋葬許可証が返却されます。これは納骨の際に必ず必要になる書類です。紛失すると再発行に手間がかかるため、骨箱と一緒に大切に保管してください。多くの場合は、骨箱を包む布や箱の中に一緒に入れられます。
本来は亡くなってから7日目に行う初七日法要ですが、現在では遺族や親族が再び集まる負担を軽減するため、葬儀当日に合わせて行う繰り上げ初七日が主流となっています。火葬から戻った後、還骨法要(かんこつほうよう)とあわせて行われることが多いです。お寺様への御車代や御膳料の準備も忘れずに行いましょう。
ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:亡くなった直後は冷静な判断が難しいもの。無理に一人で抱え込まず、信頼できる親族や専門家と相談しながら、一つずつ確実に進めていきましょう。
葬儀が無事に終わっても、まだ一息つくことはできません。葬儀費用の支払いや、公的な給付金の申請、年金の手続きなど、期限が短いものが多いため、優先順位をつけて動く必要があります。
葬儀費用の支払いは、葬儀が終わってから数日以内に行うのが一般的です。現金払いのほか、銀行振り込み、クレジットカード払いに対応している葬儀社も増えています。親の預金口座が凍結されている場合は、遺産分割前でも一定額を引き出せる仮払い制度の利用も検討しましょう。まとまった現金が必要になるため、あらかじめ準備しておくとスムーズです。
葬儀費用そのものは相続税の控除対象になりますが、所得税の医療費控除の対象にはなりません。一方で、亡くなる直前までにかかった入院費や治療費は医療費控除の対象となります。領収書は後の税務申告で必ず必要になるため、ファイルにまとめて保管してください。お寺へのお布施など領収書が出ないものについては、メモ書き(日付、金額、名目)を残しておきましょう。
故人の居住地や状況によって手続きを行う場所が異なります。主な窓口と内容を比較表にまとめました。
| 場所 | 主な手続き内容 | 期限の目安 |
|---|---|---|
| 住所地の市区町村役場 | 世帯主変更届、住民票の除票取得、健康保険の返却、介護保険の資格喪失 | 14日以内 |
| 年金事務所 | 年金受給権者死亡届、未支給年金の請求 | 厚生年金10日以内 / 国民年金14日以内 |
| 最寄りの警察署 | 運転免許証の返納 | 速やかに |
世帯主が亡くなった場合、残された世帯員が2人以上のときは14日以内に世帯主変更届を提出します。また、国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合は、保険証を返却し、葬祭費の支給申請を行いましょう。自治体によりますが、3万円〜5万円程度の給付が受けられます。介護保険証の返却も忘れずに行います。
年金を受給していた場合、受給を停止する届出が必要です。厚生年金は死亡から10日以内、国民年金は14日以内と期限が非常に短いため注意してください。手続きが遅れると年金が過払いになり、後で返還する手間が発生します。また、故人が受け取っていなかった月の年金を遺族が請求できる未支給年金の手続きも同時に行いましょう。
故人が運転免許証を所持していた場合、警察署または運転免許センターへ返納します。返納自体に法的な厳格な期限はありませんが、身分証明書として悪用されるリスクを防ぐため、早めに対応するのが賢明です。あわせて、遺品の中から車検証が見つかった場合は、車の名義変更や廃車手続きも検討し始める必要があります。
ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:役所の手続きは一度で終わらせるのがコツです。事前に各窓口で必要な持ち物を電話確認し、戸籍謄本などは多めに取得しておきましょう。
葬儀や公的な届け出が一段落したら、次は故人が契約していた民間サービスの整理に移ります。これらは「放っておいても勝手に止まらない」ものが多く、放置すると月額料金が発生し続けてしまいます。
故人が一人暮らしだった場合は解約を、家族が同居を続ける場合は名義変更を行います。特に冬場や夏場など、急に止めると困るインフラについては、相続人が誰になるか決まる前でも暫定的に名義変更が可能です。検針票や請求書を手元に用意し、各カスタマーセンターへ連絡しましょう。最近ではWebサイトから手続きができる会社も増えています。
携帯電話やスマートフォンの解約には、店舗へ行く必要があるケースが多いです。故人の死亡がわかる書類(死亡診断書のコピー等)と、手続きに行く人の本人確認書類、端末本体を持参しましょう。インターネットのプロバイダー契約や、動画配信サービスなどのサブスクリプションは、気づかずに課金が続きやすいため、通帳やカードの利用明細を細かくチェックすることが重要です。
クレジットカードは、名義人が亡くなった時点で契約は無効となりますが、カード会社に連絡しない限り年会費や定期払いの決済が止まりません。早急にカード会社へ連絡し、退会手続きを行いましょう。なお、ポイントが貯まっている場合、規約によっては遺族が引き継げることもあるため、確認してみる価値はあります。また、カードに付帯している公共料金の支払い設定もあわせて確認が必要です。
故人が生命保険に加入していた場合、保険金の請求を行います。請求期限は一般的に3年以内ですが、葬儀費用や当面の生活費に充てるためにも、14日後を目安に書類を取り寄せましょう。保険金は指定された受取人の固有の財産となるため、遺産分割協議を待たずに受け取ることができ、即効性のある資金源となります。
相続をスムーズに進めるための鍵となるのが遺言書です。自宅の金庫や仏壇、公証役場、法務局などに保管されていないか確認しましょう。もし公正証書遺言以外の遺言書(自筆証書遺言など)が見つかった場合、勝手に開封してはいけません。家庭裁判所での検認手続きが必要になります。これを無視して開封すると過料が科せられる可能性があるため注意してください。
亡くなってから14日を過ぎる頃から、本格的な遺産相続の準備に入ります。まずは、すべての銀行口座、不動産、有価証券などを洗い出し、財産目録を作成します。相続人全員で誰が何を継ぐかを話し合う遺産分割協議を行い、合意が得られたら協議書を作成します。相続放棄を検討する場合は3ヶ月以内、相続税の申告が必要な場合は10ヶ月以内という期限があるため、ここからは専門家のサポートを受けるのが最も安心です。
ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:民間サービスの解約は数が多く大変ですが、通帳の引き落とし履歴を見るのが一番の近道です。焦らずリストを作って一つずつ消していきましょう。
金融機関が死亡を把握すると口座は凍結されますが、2019年から始まった預貯金の仮払い制度を利用すれば、遺産分割協議前でも一定額(上限150万円、または法定相続分の3分の1×1/3)を引き出すことが可能です。窓口で除籍謄本や印鑑証明書などを提示して申請してください。また、葬儀費用に限り、生命保険の受取金を充てるのが一般的です。
まずは期限が短いものから着手しましょう。死亡から7日以内の死亡届、10〜14日以内の年金・健康保険の手続きが最優先です。次に、月額料金がかかる民間サービスの解約を進めます。不動産の登記(名義変更)や相続税の申告は少し余裕がありますが、全体像を把握するために、早めに専門家(行政書士や司法書士)へ相談し、スケジュールを立ててもらうのが最も効率的です。
法的な義務としてすべての事務手続きを行う必要はありませんが、火葬や埋葬を行わずに放置することは死体遺棄罪に問われる恐れがあります。また、借金がある場合は3ヶ月以内に相続放棄の手続きを家庭裁判所で行う必要があります。手続きが心理的に苦痛な場合は、死後事務委任契約の内容を代行してくれる専門家や、行政のサポートを検討してください。
親が亡くなった時の手続きは、死亡届から始まり、葬儀、年金、公共料金、そして遺産相続へと続く非常に長く複雑な順番で進んでいきます。
一人で全てをこなそうとすると心身ともに疲弊してしまいますので、優先順位を確認し、家族や信頼できるパートナーと役割を分担することが大切です。
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