監修
行政書士法人杉山事務所
所属行政書士会:大阪会 / 登録番号:22260069

誰も住まなくなった実家の処分に悩む人が増えています。親が亡くなって相続したものの、遠方に住んでいるため管理が難しかったり、将来的に空き家になって周囲に迷惑をかけるのを防ぎたかったりと、理由は人それぞれです。実家を処分するにあたって、一番の懸念点となるのが費用面ではないでしょうか。
実家の処分には、大きく分けて家の中の荷物を整理する片付け費用と、建物を解体して更地にする解体費用の2段階で大きなお金が必要になります。
さらに、売却や手続きに伴う登記費用や税金なども発生するため、事前に全体像を把握しておくことが欠かせません。この記事では、終活アドバイザーの視点から、実家処分に必要なあらゆる費用相場を詳しく解説します。
| 間取り | 費用相場 | 作業人数の目安 | 作業時間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1R・1K | 3万円〜8万円 | 1〜2名 | 1〜2時間 |
| 1DK・1LDK | 5万円〜20万円 | 2〜4名 | 2〜6時間 |
| 2DK・2LDK | 9万円〜30万円 | 2〜5名 | 2〜8時間 |
| 3DK・3LDK | 15万円〜50万円 | 3〜8名 | 4〜12時間 |
| 4LDK以上 | 22万円〜60万円以上 | 4〜10名 | 6〜15時間 |
実家の片付け費用は、部屋の広さだけでなく、残されている荷物の総量や不用品の処分方法によって変動します。一軒家の場合、長年蓄積された生活用品や大型の家具、家電、納戸や物置に眠る古い荷物が非常に多いため、間取りが3LDKや4LDK以上になると30万円から50万円を超えるケースも珍しくありません。また、家の中が荒れていてゴミ屋敷化している場合や、害虫の駆除、消臭が必要な特殊清掃が伴う場合は、通常の片付け費用に加えてさらに高額なオプション費用が発生します。逆に、リサイクル価値のある美術品や家電、貴金属などを業者が買い取ってくれる場合は、その買取額を片付け費用から差し引いてもらえるため、実際の自己負担額を大きく減らすことが可能です。
| 建物の構造 | 1坪あたりの解体費用目安 | 30坪の住宅を解体した場合の総額目安 |
|---|---|---|
| 木造(一戸建てに多い) | 3万円〜5万円 | 90万円〜150万円 |
| 軽量鉄骨造・重量鉄骨造 | 5万円〜7万円 | 150万円〜210万円 |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 6万円〜9万円 | 180万円〜270万円 |
建物を解体して更地にする場合の費用は、建物の構造と延べ床面積(坪数)によって算出されます。一般的な木造の戸建て住宅(約30坪)であれば、約90万円から150万円が解体工事の相場です。ただし、この坪単価による計算は建物本体の取り壊し費用のみを指していることが多く、実際にはそれ以外の付帯工事費や追加費用が発生します。例えば、実家の周囲を囲むブロック塀や門扉の撤去、庭木や大きな庭石の処分、物置やカーポートの解体などは別途費用がかかります。さらに、解体する実家の前の道路が極端に狭く、解体用の大型重機や廃棄物を運び出すトラックが入れない場合、すべてを手作業で解体・搬出する必要があるため、人件費が上乗せされて費用が1.5倍から2倍近くに跳ね上がることもあります。また、古い建物で有害物質のアスベストが使用されている場合は、その安全な撤去と処分に数十万円の追加費用がかかるため注意が必要です。
| 費用の項目 | 費用の概要 | 一般的な金額の目安 |
|---|---|---|
| 相続登記費用 | 亡くなった親から相続人へ不動産の名義を変更する手続き。登録免許税(固定資産税評価額の0.4パーセント)と司法書士への報酬が発生します。 | 司法書士報酬と登録免許税を合わせて5万円〜15万円程度 |
| 不動産売却の仲介手数料 | 不動産会社に実家の売却を依頼し、成約した際に支払う手数料です。法律で上限額が定められています。 | 売却価格の3パーセントプラス6万円(消費税別)が上限 |
| 印紙税 | 実家の不動産売買契約書を作成する際に貼付する収入印紙の代金です。売却価格に応じて段階的に定められています。 | 売却価格によって数千円〜数万円程度 |
| 譲渡所得税 | 実家を売却したことによって得た利益(譲渡所得)に対して課される所得税と住民税です。相続後の空き家売却における3000万円特別控除などの特例もあります。 | 利益額や所有期間によって異なり、特例適用で0円になる場合もあります |
実家を売却したり処分したりするためには、単に建物を片付けて壊すだけでなく、法律上の手続きに伴う出費も見ておく必要があります。特に、親が亡くなった後に実家を売る場合、まずは不動産の所有者名義を親から相続人(子など)へ変更する相続登記を完了させなければ売却手続きを進めることができません。相続登記は自分で行うことも可能ですが、戸籍謄本の収集や登記申請書の作成は複雑なため、司法書士に依頼するのが一般的です。また、不動産の売却が完了した際には、仲介してくれた不動産会社に支払う仲介手数料が大きな割合を占めます。売却して利益が出た場合には所得税や住民税などの税金がかかりますが、一定の条件を満たせば税金を大幅に減らせる控除の特例を利用できるため、売却を検討する際は必ず税金の仕組みについても調べておきましょう。
ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:実家処分には様々な費用がかかりますが、一気にすべてを支払うわけではありません。段階ごとに必要な金額を把握し、余裕を持って資金計画を立てることで、突然の出費に慌てずに済みますよ。
実家の処分費用の中で、自分たちの努力次第で最も大きく節約できるのが、最初の片付け(不用品処分)の段階です。片付け専門業者や遺品整理業者にすべての作業を丸投げすると、作業スタッフの人件費や、大量の荷物を一度に運搬するためのトラック代、処分代がそのまま請求されるため、数十万円規模の出費になります。これを防ぐためには、業者を呼ぶ前に、自分たちの手で処分できるものを少しずつでも片付けておくことが非常に効果的です。例えば、衣類や本、雑誌、食器、小さな日用品、可燃ゴミや不燃ゴミといった地域の通常の自治体回収に出せるものは、毎週のゴミの日にコツコツと出しておくだけで、業者に引き取ってもらう全体の荷物量が劇的に減少します。また、大きな家具やまだ使える家電製品、趣味の道具や貴金属などは、リサイクルショップの出張買取や、フリマアプリでの売却を利用することで、処分費用を支払うどころかお金に変えることができるため、実質的な処分費用を大幅に浮かせることができます。
実家の片付けや解体工事を業者に依頼する際、絶対に避けるべきなのは、最初に見つけた1社だけで即決契約してしまうことです。業者によって料金体系やサービス内容には大きな開きがあり、同じ規模の家であっても、見積もり金額に10万円から数十万円もの差が出ることが日常茶飯事です。必ず最低でも3社程度から、同一の条件で現地調査と見積もりを出してもらう相見積もりを行いましょう。相見積もりを取ることで、その工事や作業の適正価格(相場)が把握できるようになります。また、見積もり書を比較する際は、総額だけでなく内訳を細かく確認することが重要です。何が基本料金に含まれており、どのような場合に追加料金が発生するのかが明記されている業者を選びましょう。他社の見積もりを提示して相談することで、割引やより良い条件を提示してもらえることもあります。何より、強引な勧誘をせず、丁寧に対応してくれる信頼性の高い業者を見極めるための最良の方法が相見積もりです。
実家の処分、特に建物の解体工事には多額の費用がかかるため、多くの地方自治体が空き家対策や防災対策の一環として、各種の補助金や助成金制度を設けています。例えば、倒壊の危険性がある古い家屋を取り壊すための老朽危険空き家解体撤去補助金や、景観の維持を目的とした空き家解体補助金などがあります。これらの制度を利用できれば、解体にかかる費用の3分の1から2分の1、金額にして最大で30万円から100万円以上が自治体から支給されるため、自己負担を劇的に減らすことができます。ただし、これらの補助金制度には非常に厳しい条件が設けられていることが多く、例えば、一定の期間以上空き家になっていること、築年数が一定以上経過していること、耐震基準を満たしていないことなどが求められます。さらに、解体工事を契約したり着工したりした後に申請しても補助金は受け取れません。必ず解体工事の契約を結ぶ前に、実家がある市役所や町村役場の窓口、または自治体の公式ホームページで確認と申請の手続きを進めることが鉄則です。
ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:自分での片付けや補助金の申請は手間がかかりますが、そのひと手間で数十万円以上の節約になることも珍しくありません。時間を味方につけて、賢くお得に進めましょう。
実家の処分におけるトラブルの多くは、親が他界した後に発生する相続問題と密接に結びついています。親の遺した財産が実家という不動産だけであった場合、それを兄弟姉妹でどのように分けるかで意見が分かれ、長年の良好な家族関係が一瞬にして崩れてしまうことが少なくありません。例えば、一人は思い出のある実家を残したいと主張し、もう一人は実家を売ってお金にして均等に分けたいと主張した場合、合意点を見つけるのは困難です。親が元気なうちに実家の価値がいくらになるのかを査定し、処分費用がどれくらいかかるのかを明確にしておくことで、相続が発生した際の手続きや分け方をあらかじめ遺言書などで決めておくことができます。生前に家族全員で実家の処分について話し合い、共通の認識を持っておくことは、将来の不必要な対立を未然に防ぎ、相続を円満に進めるための最も強力な防壁となります。
実家は親にとって、長年の生活が詰まった思い出深い場所です。親の意思を無視して子どもたちが勝手に処分を進めようとすると、親は自分の人生や思い出を否定されたように感じてしまい、心を閉ざして片付けや生前整理を拒否してしまう原因になります。また、親の健康状態が悪化したり、認知症などが進行して自己の判断能力が失われてしまったりすると、法律上、実家の売却や契約手続きを親の意志だけで行うことができなくなり、成年後見人の選任が必要になるなど手続きが非常に複雑化し、追加の費用や時間がかかります。親が心身ともに健康で、自分の希望を明確に伝えることができる生前のうちに、実家をどうしていきたいかを聞き取ることは非常に重要です。売却した資金を老人ホームの入居費や医療費に充てたい、特定の誰かに住んでほしいなど、親自身の希望を尊重した処分方法を一緒に計画することで、親も納得して前向きに生前整理に取り組むことができます。
親が亡くなった後の実家処分には、法的な時間制限や維持コストが重くのしかかります。例えば、相続税の申告期限は被相続人の死亡を知った翌日から10ヶ月以内と定められており、もし相続税が発生する場合はそれまでに実家を売却して納税資金を作らなければならないという焦りが生じます。また、空き家の状態が続くと、毎年かかる固定資産税や都市計画税に加えて、建物の維持管理費、遠方からの移動費など、所有しているだけでお金がどんどん出ていってしまいます。このような焦りや時間的余裕のなさから、相場よりもかなり低い価格で買い叩かれてしまったり、不適切な業者と高額な契約を結んでしまったりするケースが後を絶ちません。これに対して、親が元気な生前のうちから準備を始めておけば、1年、2年といった長期的なスパンで不動産会社を選別し、最も良い条件で買ってくれる買い手をじっくりと探すことができます。時間の猶予がそのまま、実家を少しでも高く売り、手放すための最大の武器になるのです。
ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:実家の処分を切り出すのは少し勇気がいりますが、これからも安心して過ごしてほしいからという前向きな姿勢で話しかけると、親御さんも心を開いてくれやすいですよ。
実家処分を始めるにあたって、最初に何よりも優先すべきなのは、実家に関係する家族や親族全員が話し合いの場を持ち、処分の方針について合意を形成することです。特に実家の名義が親のままである場合、将来的にその不動産を相続する権利を持つすべての人たちの合意が不可欠になります。誰か一人が自分の判断だけで処分を進めてしまうと、他の家族から「大切な思い出の品を勝手に捨てられた」「実家の売却資金の分配が不公平だ」といった大きな不満が噴出し、解決が極めて難しい感情のもつれや金銭トラブルへと発展します。いつまでに処分を完了させるのか、処分の手続きに必要な費用は誰がどのような割合で負担するのか、売却して得た利益はどのように分けるのかといった具体的な内容を、全員が冷静に話し合える段階でクリアにしておくことが、実家処分を円滑に進めるための絶対条件です。
家族の間で方針の合意が取れたら、次の段階として実家の中にある長年の生活用品や家財道具を整理・片付けしていきます。実家じまいの中で最も時間と体力を奪われるのがこの作業です。いきなり業者を呼んで丸投げするのではなく、まずは家族全員で実家に集まり、親にとってこれからも生活に必要なもの、家族や親族で引き取りたい思い出の品や形見、そして不要なものへと分別していきます。この分別作業は、実家の思い出に区切りをつける大切な精神的プロセスでもあります。形見分けが終わった後、個人では搬出や処理が難しい大型のタンス、ベッド、古い冷蔵庫、大量の不要品は、プロの不用品回収業者や遺品整理業者を呼んで一気に片付けてもらいます。家の中を完全に空っぽにしておくことは、その後に解体工事をスムーズに進めたり、不動産会社による売却の査定を適正に受けたりするために欠かせない事前準備となります。
実家の中が片付いて空になったら、いよいよ建物の処分方法を最終決定し、業者に依頼する最終段階に入ります。選択肢としては、大きく分けて建物を解体して更地にしてから土地として売却するか、建物はそのまま残し、古家付き土地として売却するかの2つがあります。更地にする場合は、買い手がすぐに新しい家を建てられるため、不動産市場での需要が高く、早く高い価格で売却しやすいというメリットがありますが、100万円単位の解体費用を先払いで用意しなければなりません。一方、建物を残したまま売却すれば初期費用はかかりませんが、買い手から解体費用分の値引きを要求されたり、建物が古すぎてなかなか買い手がつかなかったりするリスクがあります。さらに、実家を更地にすると、土地にかかる固定資産税の減額特例が適用外となり、翌年からの固定資産税が最大で6倍に上がってしまうという法律上の注意点もあります。自分たちの実家がどちらの方法で売却・処分するのが最も経済的かつ合理的か、信頼できる不動産会社や終活の専門家と綿密に相談して、実行に移しましょう。
ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:手順を一つずつ確実にクリアしていくことで、実家処分という大きな山も無理なく乗り越えられます。一人で抱え込まず、ご家族や専門家を大いに頼ってくださいね。
実家に何十年分もの荷物や不要品が山積みになっているのを見ると、あまりの物量に圧倒され、どこから片付けを始めればよいのか分からず立ち尽くしてしまう方が非常に多くいらっしゃいます。このような場合は、家全体を一度に片付けようとせず、まずは最も狭くて判断に迷わない場所からスタートするのが鉄則です。例えば、玄関、洗面所、トイレ、廊下など、思い出の品や重要書類が置いてある確率が低く、かつスペースの狭い場所から手をつけていきましょう。小さな場所を一つずつ片付けてきれいになったという達成感を積み重ねることで、作業へのモチベーションを維持しやすくなります。また、仕分けをする際は、残すもの、捨てるものに加えて、判断に迷うものを入れるダンボールを1箱用意しておき、悩んだらすぐに保留箱に入れるようにすると、手が止まるのを防ぐことができます。数ヶ月経っても保留箱の荷物が必要にならなければ、その時に安心して処分することができます。
築年数が40年や50年を経過している古い木造の戸建てであっても、解体工事をせずそのままの状態で売りに出すことは十分に可能です。不動産市場ではこれを古家付き土地と呼びます。購入を検討する買い手は、古い家をそのまま取り壊して新しい家を建てる目的で土地を探しているケースが多いため、解体費用は購入した買い手側の負担となります。売主側から見れば、売却前に100万円から200万円といったまとまった解体費用を用意する必要がなく、経済的な負担やリスクが非常に少ない点が大きなメリットです。ただし、更地に比べて買い手が付きにくく売却までに時間がかかることや、売却価格が周辺の土地相場から解体費用分をあらかじめ差し引いた金額に設定されることが一般的であるため、結果的に手元に残る資金が少なくなる傾向があります。また、建物が古くても魅力的な梁や柱がある古民家風の住宅であれば、近年増えているリノベーション目的の買主に対して、建物の個性を活かして高く売却できる可能性もあります。
自分の生活拠点と実家が大きく離れている遠方に住んでいる場合、実家の片付けや処分のために仕事の休みを取って何度も実家に往復することは、精神的にも肉体的にも、また新幹線代や高速道路代といった金銭的にも極めて大きな負担になります。このような状況であれば、全ての工程を自分たちで行おうとせず、現地での作業をワンストップで代行してくれる専門業者を頼るのが最も賢い解決方法です。現在の遺品整理業者や不用品回収業者、解体業者の多くは、見積もりから契約、実際の作業完了までのすべての工程において、依頼者が現地に直接立ち会うことなく進められるサービスを提供しています。鍵の受け渡しを郵送などで行い、片付けや解体作業の様子を写真や動画、ビデオ通話などで随時確認しながら進めることができるため、一度も実家に足を運ぶことなく実家じまいを完了させることも可能です。業者を選ぶ際は、こうした遠隔での対応に慣れており、丁寧な進捗報告を行ってくれる実績のある会社を選ぶようにしましょう。
ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:遠方にお住まいの方や、お仕事でお忙しい方ほど、プロの力を上手に借りるのが賢い選択です。余計なストレスを減らし、ご自身の生活を守ることを最優先にしてください。
実家の処分費用は、荷物の量や建物の大きさ、構造などによって大きく変わり、片付けと解体の2段階でまとまった資金が必要となりますが、生前整理や相見積もりをうまく取り入れることで、費用を大幅に抑えることが可能です。
実家の処分は、単なる費用の問題だけでなく、相続の手続きや家族間の感情のすれ違い、遠方からの管理など、多くの複雑な要素が絡み合うため、早めに信頼できるプロに相談しながら進めることが、将来のトラブルを防ぐための最も安心な解決策となります。
ニコニコ終活では、実家の片付け、建物の解体、不動産の売却、相続手続きや家族間トラブルの解消まで、実家処分に関するあらゆるお悩みに全国対応で、何度でも完全に無料でご相談を承っておりますので、まずはどうぞお気軽にお問い合わせください。