実家じまいの補助金と税金の特例を徹底解説

実家じまい 補助金
監修
行政書士法人杉山事務所
所属行政書士会:大阪会 / 登録番号:22260069

実家じまいは、片付けや解体などの大きな費用がかかるため、経済的な不安を抱える方が少なくありません。親が亡くなったり老人ホームに入所したりして、実家が空き家になるケースが増える中、資金面で悩まれるのは当然です。この記事では、実家じまいの負担を劇的に減らすために国や自治体が提供している補助金・支援制度や、売却時に支払う税金を大幅に安くできる特例について、わかりやすく解説します。費用を少しでも抑え、トラブルのない形で実家じまいを進めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

実家じまいの費用負担を軽くする自治体の解体工事補助金と支援金制度

自治体が提供する主な実家じまい補助金の種類

  • 老朽危険空き家の解体費用補助金
  • 景観や安全を守るための除却補助金
  • 空き家を再利用するための改修リフォーム補助金

老朽危険空き家の解体費用補助金

多くの自治体が導入しているのが、放置すると倒壊の危険性がある古い建物を解体する際に出る補助金です。主に昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された、現行の耐震基準を満たしていない木造住宅が対象となります。自治体の職員が現地調査を行い、建物の老朽度や危険度を判定し、基準を満たした場合に解体費用の一部が支給されます。倒壊によって近隣住民や通行人に危害が及ぶのを防ぐための重要な制度です。

景観や安全を守るための除却補助金

特定の景観保護地区や都市計画の区域内において、地域の景観維持や防災機能の向上を目的に実施されている補助金制度です。建物の危険度に加えて、地域の安全性向上や景観の美観を損なわないようにするために空き家を撤去する場合に活用できます。自治体によっては、危険な空き家と判定されていなくても、跡地の利用計画があることなどを条件に解体費用を補填してくれるケースがあります。

空き家を再利用するための改修リフォーム補助金

実家を壊して更地にするのではなく、第三者に賃貸したり、自身で住み直したりするためにリフォームやリノベーションを行う際に利用できる補助金です。また、これに伴う家財道具や遺品の整理(処分費用)に対して補助金を出す自治体も増えています。地域活性化や移住促進、空き家の有効活用を目指す自治体が積極的に取り組んでおり、解体ではなく残す選択をする場合に有効な手段となります。

補助金を申請する際にかかる費用や受け取れる上限額の目安

補助金の種類補助率の目安補助上限額の目安主な適用条件
老朽危険空き家解体補助解体費用の3分の1~5分の430万円~100万円程度旧耐震基準の木造住宅、倒壊の恐れがあると判定された建物
都市計画・景観維持除却補助解体費用の2分の1~3分の220万円~50万円程度指定の景観地区・防災地区内にある空き家
空き家改修・片付け補助リフォーム・処分費用の2分の15万円~100万円程度空き家バンクへの登録、改修後の居住または賃貸利用

実家じまい補助金を確実に受け取るための申請手続き手順

  1. 事前相談と現地調査の依頼
  2. 補助金の交付申請書と必要書類の提出
  3. 交付決定の通知後に解体工事を契約
  4. 解体工事の完了報告と補助金の請求

事前相談と現地調査の依頼

補助金を利用するための第一歩は、実家がある市役所や町村役場の空き家対策担当窓口へ相談することです。補助金の多くは、建物の状況を自治体の担当者が確認し、危険度や老朽度が基準を満たしているかを審査する現地調査から始まります。この相談や調査をせずに、所有者の独断で解体会社に依頼してしまうと、補助金制度の対象から完全に外れてしまうため注意が必要です。

補助金の交付申請書と必要書類の提出

現地調査の結果、補助対象となる可能性があると判断されたら、正式に交付申請を行います。申請時には、登記事項証明書(登記簿謄本)、実家の位置図や写真、複数の解体業者から取り寄せた見積書の写し、親の相続人全員の同意書など、多くの書類が必要です。必要書類の不備があると手続きが遅れてしまい、その年度の予算上限に達して受付が締め切られてしまうリスクもあります。

交付決定の通知後に解体工事を契約

自治体から補助金の交付決定通知書が届いてから、初めて解体業者と正式な工事請負契約を結びます。これが非常に重要なポイントであり、交付決定の前に契約を結んだり工事に着手したりすると、補助金が一切受け取れなくなります。必ず自治体からの通知書が手元に届いたことを確認した上で、解体業者に工事を開始してもらうよう指示をしてください。

解体工事の完了報告と補助金の請求

解体工事が完了し、敷地が更地になったら、工事代金を解体業者に支払います。その後、工事完了証明書や領収書、工事前・工事中・工事後の写真などの証拠書類を揃えて、自治体に実績報告書を提出します。自治体の最終検査に合格すると、指定した銀行口座に補助金が振り込まれます。補助金は原則として後払いとなるため、解体費用は一度自己負担で支払う必要がある点を覚えておきましょう。

ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:実家じまいの補助金は、解体工事を契約する前の事前申請が絶対条件となる自治体がほとんどです。契約や着工を急いでしまうと、せっかく数十万円の補助が受けられるチャンスを逃してしまうため、必ずスケジュールに余裕を持って自治体の窓口へ確認しましょう。

実家の売却時に譲渡所得税が大幅に安くなる3000万円特別控除の特例

相続した空き家の売却で適用できる3000万円特別控除の適用要件

  • 昭和56年5月31日以前に建築された旧耐震基準の建物であること
  • 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
  • 売却額が1億円以下であること
  • 売却の際までに耐震補強をするか更地にして引き渡すこと

昭和56年5月31日以前に建築された旧耐震基準の建物であること

この特例(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例)は、古い空き家の発生を抑制するために作られた制度です。そのため、適用対象となる建物は昭和56年5月31日以前に建てられたものに限られます。また、亡くなった親が相続の直前まで一人で暮らしていた(老人ホーム等への入所も一定の要件で可)ことが必要で、親と同居していた家族が引き続き住んでいる場合や、他に賃借人がいた場合は対象外となります。

相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること

特例を適用するためには、売却のタイミングに期限が設けられています。親が亡くなった日(相続開始日)から起算して、3年を経過する日の属する年の12月31日までに実家を売却しなければなりません。例えば、令和5年中に相続が開始した場合、令和8年12月31日までに引き渡しまで完了させる必要があります。売却の手続きには時間がかかるため、猶予があると思わず、早めに動くことが大切です。

売却額が1億円以下であること

売却した家屋と土地の譲渡価額の合計が1億円以下であることが要件です。この1億円の判定は、相続人が複数いて分割して売却した場合であっても、実家全体の合計額で計算されます。また、相続人が別々の時期に売却したとしても、全体で1億円を超えてしまえば特例の適用は受けられません。都市部の一等地など、資産価値が高い実家を売却する際には事前に価格を注視しておく必要があります。

売却の際までに耐震補強をするか更地にして引き渡すこと

旧耐震の建物はそのまま売却しても適用されず、新耐震基準を満たすリフォームをして引き渡すか、建物を解体して更地にしてから売却する必要があります。なお、近年の法改正(令和6年1月1日以降の譲渡)により、売却の時点では旧耐震のままであっても、引き渡した翌年の2月15日までに買主が耐震リフォームをするか更地にした場合でも特例が適用できるようになり、要件が大幅に緩和されました。

空き家特例とマイホーム売却時の3000万円特別控除の違い

比較項目相続空き家の3,000万円特別控除(空き家特例)マイホーム売却時の3,000万円特別控除
主な対象者一人暮らしの親から実家を相続した人自分が現在住んでいる自宅を売却する人
建物の建築時期昭和56年(1981年)5月31日以前の建物のみ制限なし(新しい建物でも適用可能)
居住の条件親が死亡直前まで一人で居住(老人ホーム入所も可)自分が居住している(または住まなくなって3年以内)
売却時の状態耐震基準を満たすか、更地にする必要がある現状のままで売却して問題ない
譲渡価額の制限1億円以下であること制限なし

ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:相続した空き家の特例は、令和6年(2024年)以降の売却からルールが緩和され、売却後に買主が耐震工事や更地化を行う場合でも適用可能になりました。こうした最新の税法変更を知っておくことで、売却交渉がスムーズになり、手取り額を大きく増やすことができます。

実家じまいを放置したままにするデメリットとリスク

空き家のまま管理を怠ることで発生する深刻な問題

  • 特定空家等に指定されて固定資産税が最大6倍になる
  • 老朽化による建物倒壊や不法侵入などの安全上のリスク
  • 近隣住民からの苦情や損害賠償を請求されるリスク

特定空家等に指定されて固定資産税が最大6倍になる

実家を放置して空き家のままにしておくと、自治体から特定空家等、あるいは管理不全空家等に指定される恐れがあります。これらに指定され、改善勧告を受けると、これまで土地に適用されていた住宅用地の課税標準の特例(固定資産税を6分の1などに減額する特例)から除外されてしまいます。その結果、土地に対する固定資産税の負担が最大6倍にまで跳ね上がり、経済的な負担が激増してしまいます。

老朽化による建物倒壊や不法侵入などの安全上のリスク

人が住まなくなった家は、驚くほどの速さで老朽化が進みます。特に湿気による木材の腐食やシロアリ被害は深刻で、台風や大雪、地震といった自然災害時に建物が倒壊するリスクが高まります。また、手入れのされていない庭木が繁茂し、郵便ポストが放置されていると、不審者の不法侵入や不法投棄、最悪の場合は放火などの犯罪の温床になりやすく、地域全体の治安悪化を招きます。

近隣住民からの苦情や損害賠償を請求されるリスク

空き家から異臭が発生したり、害獣や害虫が大量発生したりすることで、近隣住民からクレームが入ることは珍しくありません。さらに重大なリスクとして、強風で屋根瓦や看板が飛んで他人の車を傷つけたり、外壁や塀が崩れて通行人に怪我をさせたりした場合、所有者である相続人が多額の損害賠償責任を負わされることになります。たとえ故意でなくても、所有者としての責任(工作物責任)は免れません。

ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:実家を放置していると、近隣へのご迷惑だけでなく、高額な税金や賠償問題に巻き込まれる恐れがあります。まだ大丈夫と先延ばしにせず、まずは現状の把握と、これからの片付けや処分の方針を家族で話し合うことが、トラブルを防ぐ一番の方法です。

実家じまいと補助金の活用に関してよく寄せられる質問

実家を解体すると固定資産税が上がると聞きましたが本当ですか

結論から申し上げますと、本当です。土地の上に住宅が建っていることで、固定資産税が大幅に安くなる住宅用地の特例が適用されていますが、家を解体して更地にしてしまうと、この特例が受けられなくなります。そのため、翌年からの土地の固定資産税は実質的に3倍から6倍程度に跳ね上がります。ただし、解体後すぐに売却をして手放す予定がある場合や、そのまま放置して特定空家等に指定され、どのみち増税になるリスクを考えれば、早期に解体して更地にし、流通可能な状態にする方がトータルで安く済むケースも多々あります。

補助金以外に実家じまいの費用を安く抑えるコツはありますか

  • 残置物のうち自分で処分できるものは自治体のゴミ回収を利用する
  • 複数の解体業者から相見積もりを取る
  • 売却時に遺品整理や解体の費用を相殺する契約にする

残置物のうち自分で処分できるものは自治体のゴミ回収を利用する

業者に家財整理や遺品整理のすべてを丸投げすると、費用は高額になります。特に衣類、本、食器、プラスチック製品などの細々とした家庭ゴミは、可能な限り自分たちで分別し、自治体の通常のゴミ回収や粗大ゴミ回収を利用して処分しておくのが鉄則です。業者に依頼する荷物の量を減らすだけで、遺品整理にかかる費用を10万円単位で節約することができます。

複数の解体業者から相見積もりを取る

解体工事を依頼する際は、1社だけで決めず、必ず複数の業者から見積もりを依頼する相見積もりを行いましょう。解体工事には定価がなく、周辺の道路状況や重機が入るかどうかによって費用が大きく異なります。また、業者によって得意分野や職人の確保状況が異なるため、3社程度を比較することで、適正価格を見極め、最も条件の良い業者を選ぶことができます。

売却時に遺品整理や解体の費用を相殺する契約にする

手元に解体費用や片付け費用が足りない場合は、現状有姿(そのままの状態)で不動産会社などに買い取ってもらい、売却代金から遺品整理費用や解体費用を差し引いて精算する契約(費用相殺)にできないか交渉してみましょう。これにより、事前に高額な自己資金を用意する必要がなくなり、手元の資金不足を心配することなく安全に実家じまいを進めることが可能になります。

ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:実家じまいはお金の問題だけでなく、家族間の思い出や感情が複雑に絡み合うため、精神的な負担も大きくなりがちです。まずは引き出しを一つ片付けることから始め、大きな契約や法律の手続きは無理をせず私たちのような専門家にご相談ください。

まとめ

実家じまいで利用できる補助金は、自治体ごとに要件や上限額が異なり、工事や片付けに着手する前の申請が必須となる一方で、売却時には相続空き家の3,000万円特別控除などの強力な税金軽減の特例を活用することができます。

これらのお得な制度はすべて自分で調べて期限内に申請しなければ受け取れないため、損をしないためには、相続や不動産の専門知識を持ったアドバイザーに初期の段階から相談することが極めて重要です。

ニコニコ終活は、実家じまいや相続、死後事務などに関する不安を全国どこからでも、何度でも完全に無料でご相談いただけますので、費用を少しでも抑えたい、あるいは手続きで失敗したくないと思われた方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

ニコニコ終活
終活・家族代行・身元保証相談アドバイザー
株式会社サルソニードが運営する、無料の終活・家族代行・身元保証をサポートするニコニコ終活です 。
終活で起きる悩み(家族への配慮、親族トラブル、相続相談、介護等)を網羅的にサポートしていきます。お気軽にご相談ください。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次