監修
行政書士法人杉山事務所
所属行政書士会:大阪会 / 登録番号:22260069

親が亡くなった後や老人ホームに入所した後に残された実家をどう整理するかは、多くの家族が直面する大きな問題です。その中でも、片付けや解体、手続きにかかる費用がどれくらいになるのか不安を抱える方は少なくありません。この記事では、実家じまいに必要な費用の相場や内訳、さらには出費を最小限に抑えるための具体的なポイントを解説します。
実家じまいにかかる費用は、家財道具の処分から建物の解体、登記手続き、さらにはお墓や仏壇の整理にいたるまで非常に多岐にわたります。全体像を把握するために、それぞれの相場を一覧で解説します。
| 項目 | 費用の目安 | 主な作業・手続き内容 |
|---|---|---|
| 遺品整理・家財処分 | 15万円〜100万円 | 家具や家電、衣類などの生活用品の片付け、搬出、処分 |
| 建物の解体工事 | 100万円〜300万円 | 一戸建ての解体、更地化、廃材の処分(坪数や構造で変動) |
| 不動産の登記・手続き | 5万円〜15万円 | 相続登記(名義変更)、建物の滅失登記、司法書士への報酬 |
| お墓・仏壇の整理 | 10万円〜100万円 | 仏壇の魂抜き・処分、墓じまい(遺骨の取り出し、墓石の撤去) |
実家じまいを始めるにあたり、最初に最も重要なプロセスが親の意思確認と家族間での話し合いです。親がまだ健在で意思疎通ができる状態であれば、将来実家をどうしたいのか、片付けを始めても良いかなどを丁寧に確認します。親の持ち物である以上、本人の同意なしに進めると大きなトラブルに発展します。また、兄弟姉妹などの親族とも事前に話し合い、実家じまいにかかる費用の負担割合や、売却した際の利益の分配方法などを決めておくことで、将来的な遺産争いを未然に防ぐことができます。
方針が決定したら、実家の中にある家財道具や遺品の整理を行います。実家には数十年にわたって蓄積された生活用品が大量に残されていることが多く、これを仕分ける作業は想像以上に時間と体力を消耗します。貴重品や形見分けする思い出の品、リサイクルショップに売却できるもの、ゴミとして処分するものに分類していきます。自分たちだけで片付けるのが難しい場合は、専門の遺品整理業者に依頼することになります。間取りや荷物の量によって費用が大きく変動するため、どの程度の荷物があるかを事前に把握しておくことが大切です。
実家が親の名義になっている場合、売却や解体を行うためにはまず名義変更(相続登記)を行う必要があります。相続登記の申請が法的に義務化されており、期限内に手続きを行わないと過料の対象となる可能性があるため、早めの対応が不可欠です。登記手続きは法務局で行いますが、必要書類の収集や書類作成が複雑なため、司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。登記完了後、家をそのまま売却するのか、解体して更地にしてから売却するのか、または賃貸として活用するのかといった具体的な方針を決定します。
実家を更地にして売却、あるいは土地として譲渡する場合は、建物の解体工事を手配します。解体業者に依頼し、建物を解体して整地してもらいます。解体が完了した後は、1ヶ月以内に建物の滅失登記を行う必要があります。これを怠ると、存在しない建物に固定資産税がかかり続けたり、土地の売却ができなくなったりします。不動産の売却が成立した後は、売却によって得た利益(譲渡所得)に対して所得税や住民税が課税されるため、必要に応じて確定申告を行います。控除や特例を活用することで、税負担を大幅に減らすことができます。

実家じまいの費用は建物の広さや荷物の量で大きく変動します。まずは家族全員で話し合い、実家をどう活用・処分するかの方向性を早めに共有しておくことが、余計なトラブルや余分な出費を防ぐ最大の近道です。
実家じまいは、何も対策をしないまま進めると総額で数百万円という大きな自己負担が発生してしまいます。少しでもコストを抑えて賢く整理を進めるための、具体的な削減ポイントを解説します。
遺品整理業者にすべての作業を丸投げすると、人件費や処分費用が上乗せされ、費用は高額になります。少しでも費用を浮かせるためには、自分で処分できるものは事前に片付けておくことが基本です。地域の一般ゴミや粗大ゴミの収集サービスを利用すれば、業者に依頼するよりもはるかに安く処分できます。
また、まだ使える家具や家電、ブランド品、美術品、趣味のコレクションなどは、リサイクルショップやフリマアプリ、オークションサイトに出品して売却しましょう。処分費用を削りつつ、臨時収入を得ることができる一石二鳥の方法です。


遺品整理や建物の解体を業者に依頼する際は、必ず複数の会社から見積もり(相見積もり)を取得してください。1社だけで決めてしまうと、その価格が適正であるかどうかの判断がつかず、相場より高い料金を支払わされてしまうリスクがあります。少なくとも3社程度から同じ条件で見積もりをとり、内訳を細かく比較しましょう。見積もり金額が極端に安すぎる業者は、後から追加料金を請求してきたり、不法投棄を行ったりする悪質な業者である可能性があるため注意が必要です。信頼できる対応と明確な料金表示の会社を選ぶことが重要です。


現在、多くの自治体で空き家対策の一環として、建物の解体工事に対する補助金や助成金の制度を設けています。条件を満たせば、解体費用の一部(数十万円から最大で100万円程度)を自治体が支援してくれるため、経済的な負担を劇的に減らすことができます。補助金の適用条件は自治体ごとに異なり、老朽化が著しい空き家であること、新耐震基準に適合していないこと、所有者の所得制限があることなどが挙げられます。ただし、工事着工前に申請しなければ受け取れない自治体がほとんどであるため、必ず解体業者と契約する前に地元の役所に確認しましょう。
実家じまいの費用を最も確実に下げる方法は、親が元気なうちに生前整理をスタートさせることです。親が存命であれば、何が必要で何が不要なのかを直接確認しながら進められるため、仕分けのスピードが飛躍的に上がります。一度にすべてを片付けようとせず、例えば、今週末はクローゼットの一部を片付けるといったように、少しずつ時間をかけて不用品を減らしていきます。これにより、親が亡くなった後の遺品整理のボリュームが最小限に抑えられ、業者に支払う高額なサービス利用料を大幅に削減することができます。
実家を売却した際に利益(譲渡所得)が出た場合、通常はその利益に対して高い税金が課されますが、一定の条件を満たすことで税制上の特例を受けられます。代表的なものが、被相続人の居住用家屋等に係る譲渡所得の特別控除(空き家に係る3000万円の特別控除)です。相続した実家を更地にして売却する、あるいは新耐震基準に適合するようにリフォームして売却する場合、譲渡所得から最大3,000万円まで控除されます。この特例を適用できれば、売却にかかる税金コストを実質ゼロにできるため、事前に税理士や専門家に適用条件を確認しておくことが大切です。



すべてを業者任せにすると費用は膨らみますが、自分たちで少しずつゴミ出しをしたり、フリマアプリで売却したりするだけで、数万円から数十万円の節約になります。また、補助金の確認は解体工事を着工する前に行うことが必須ですのでご注意ください。
実家じまいは手続きが繁雑で手間がかかるため、ついつい先延ばしにしてしまいがちです。しかし、空き家のまま放置を続けると、経済的にも安全面でも甚大なペナルティを課されることになりかねません。
住宅が建っている土地には住宅用地の特例が適用されており、固定資産税が最大で6分の1に減額されています。しかし、管理が怠られた放置空き家は、自治体から特定空き家や管理不全空き家に指定される可能性があります。この指定を受けると、改善勧告に従わなかった場合に住宅用地の特例が解除され、翌年から土地の固定資産税が最大6倍に跳ね上がってしまいます。さらに、自治体からの命令に従わないと、最大50万円以下の過料が科されるという厳しいペナルティも存在します。
誰も住んでいない木造家屋は、風通しが悪くなることで湿気がこもり、急速に劣化が進みます。老朽化した家屋は、大型の台風や地震などの自然災害が発生した際に、屋根瓦が飛散したり建物自体が倒壊したりする危険性が極めて高くなります。もし倒壊した建物が道路を塞いだり、隣家に損害を与えたり、通行人にケガを負わせたりした場合、所有者に対して数千万円から数億円規模の巨額の損害賠償責任が発生する可能性があります。また、人目のない空き家は放火の標的になりやすく、犯罪の温床になるリスクも孕んでいます。
不動産は放置すればするほど価値が下がり続けます。雨漏りやカビ、庭木の繁茂によって、買い手がリフォームをしても住めない状態だと判断すれば、更地にしなければ売れなくなり、解体費用を売主が負担せざるを得なくなります。また、放置している間も、実家の状態を維持するために定期的に現地へ通う交通費や、水道・電気の基本料金、火災保険料、草刈りを外注する費用などが毎月累積していきます。長期的には、早めに実家じまいを完了させておく方が圧倒的にトータルのコストは低くなります。
ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:誰も住んでいない家は驚くほどの速さで傷んでいきます。維持費や固定資産税を支払い続けるのは精神的にも経済的にも大きな負担です。後回しにせず、早めに専門家へ相談し、決断を下すことが大切です。
実家じまいを計画する上で、多くの方が抱きがちな疑問や不安とその回答を分かりやすくまとめました。
実家じまいの費用は、基本的には家の所有者である親本人が自身の資産から支払うのが原則です。しかし、親が認知症を発症して財産を動かせない場合や、資金が不足している場合は、子供たちが協力して負担する必要があります。その際は、兄弟姉妹で平等に折半するか、将来実家を相続して売却益を得る予定の人が多めに負担するなど、事前に話し合って合意書などの書面にしておくことが大切です。家族間でなあなあに進めると、後から深刻な感情対立を招く原因となります。
実家じまいに伴い、仏壇や神棚を処分する場合は、一般的な家具と同様に粗大ゴミとして処分する前に、お寺の僧侶や神社の神職を招いて閉眼供養(魂抜き)の儀式を行うのが一般的です。この際、僧侶や神職にお渡しするお布施や初穂料の相場は1万円〜5万円程度です。その後、仏壇・神棚自体の引き取り・処分を専門業者や仏壇店に依頼する場合は、サイズに応じて2万円〜5万円程度の費用が追加で必要になるため、全体で3万円〜10万円ほどを見込んでおくと良いでしょう。
実家が遠方にあり、片付けに通うのが難しい場合は、鍵を預けて立ち会い不要で作業を完了してくれる遺品整理業者に依頼するのが最適です。遠方専門のプランを設けている業者もあり、作業前後の様子を写真や動画、オンライン通話などで報告してくれるため、現地へ赴く交通費や宿泊費、何よりも時間と労力を大幅に節約できます。依頼する際は、処分してほしくない貴重品や形見分けの品リストを事前に細かく作成し、業者との間で誤廃棄が起きないよう指示を徹底することがトラブルを防ぐカギとなります。
ニコニコ終活アドバイザーからの一言アドバイス:遠方の実家じまいや親族間のお金の話は、当事者だけでは感情的になり解決が長引くこともあります。第三者の専門家に間に入ってもらうことで、冷静かつスムーズに話がまとまるケースが非常に多いです。
実家じまいの費用は、遺品整理、建物の解体、登記手続きなど、様々な要素が重なり、トータルで数十万円から数百万円という大きな経済的負担を伴います。
後回しにすることで、固定資産税の急増や建物の老朽化といった深刻なリスクが膨らむため、親が元気なうちから少しずつ生前整理を始め、計画的な対策を進めていくことが賢明な解決策です。
ニコニコ終活は全国対応で、何度でも完全に無料で実家じまいや相続、死後事務に関するご相談をお受けしています。お客様一人ひとりの状況に寄り添い、最適なアドバイスをご提供いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

